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掃除・片付け
datchang.hatenablog.com
ある夜、信号待ちをしていた。 こんな郊外の町で、こんな時間に走る車の数は多くない。 空を見上げると、目の前を双子座流星群の火球がゆっくりと横切っていった。それはもう白々しいくらい、「さあ、願え。」と言わんばかりの速さで。 「全部うまく行け。」 これ幸いと願う自分を見付けた。今さら神も仏も霊魂も信じたりはしない。私が願ったこと、そのほとんどが叶うことはなかった。しかしそれもこれも、今日この日の為の前振りだとさえ思う私を。 つい最近まで、もはや人生の全てを棄て、金も、幸福も、家族も、命も要らない。そう思っていた私が、いまや節操もなく全部うまく行けなどと願うことの滑稽さを思った。 産気づいた妻を病院に送り届け、一旦家に帰る途だった。急いで出掛けてきたから、手袋をするのを忘れていた。ハンドルを握る手もかじかむような寒い夜だった。こういう夜の翌日は、きっと晴れるだろう。 一体、何を以て自分を達観した
「内定です、おめでとうございます!」 第一志望の企業から連絡を貰ったときは、本当に嬉しかった。某大手旅行代理店だった。 旅行業界を志望したのは、海外旅行に良い思い出しかなかったからだ。旅を企画するワクワク感に囲まれて働くのは、きっと楽しいことだと思った。実力次第で海外転勤や昇進、年収1千万円が夢ではないというところも、一度夢破れて大学院を中退しようとしている自分が次に目指す目標としては悪くないように思えた。 大学生の志望度ランキングで常に上位の企業で、総合職の倍率は600倍以上とのことだった。 SPI対策、IR分析、株価もニュースも調べ上げ、支店には客の振りをして見学して改善点をチェックし、正に万全を期して挑んだ。 参加必須の説明会も含めれば5度も本社ビルに通ってやっと勝ち取った内定だった。 その分喜びも大きい。一番最初に履歴書を提出した第一志望の企業が真っ先に内定をくれたのだ。縁を感じず
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