サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
災害への備え
fkaleidoscope.blog11.fc2.com
◇書評 倉都康行 <資本主義600年の中の危機> 人々は今回の金融危機をグリーンスパン流に「100年に一度」と呼び続けてきた。仮にそれが正しいとしても、金融危機の捉え方は一つとは限らない。私は、それにもう二つの座標を加えて三つの次元でこの危機を捉えるべきだと思っている。一つは1776年の米国建国以来のイデオロギー的な危機であり、もう一つは600年に垂んとする資本主義の地理的変遷の中での危機である。 米国建国以来というのは大袈裟かもしれないが、息苦しい欧州から脱出して新天地を求めた植民者らのエネルギーが、200年余を経て見事なまでに洗練された政治経済社会の構築を成し遂げたものの、その達成感が急転直下して失望・絶望・諦観の三重苦に陥っている様は尋常ではない。自らが作り上げた市場経済の行き詰まりをいま最も痛感しているのは、生みの親の米国なのである。 そして資本主義の歴史の延長線上に現在の危機を置
◇世界潮流 倉都康行 「おカネとは何か」という問い掛けほど難しい経済問題はない。貨幣の機能を説明することは簡単だが、その本質を探り始めるとどこかで堂々巡りに直面することになる。だが貨幣が無ければ経済活動は麻痺してしまう。貨幣理論が成熟しないが故に、ドルがこのまま準備通貨として利用され続けるのか、ユーロの将来はどうなるのか、といった問題に誰も明確な回答を持ちえないのだ、ということも出来るかもしれない。 マルクスは貨幣を商品形態から説明しようとして、物々交換の議論からスタートしている。現在でも貨幣は物々交換の不便さを克服しようとして誕生したものと解説されることが多い。だがそれは誰も実証することが出来ない。理論的にはオーストリアの経済学者であるKarl Mengerが1892年の論文において、貨幣が商品交換の仲介機能を果たす一つの体系を作り上げている。今日の一般金融常識もこうした見方に基づいてい
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『Financial Kaleidoscope』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く