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画力アップ
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2019年の7月24日の、たぶん午前11時30分ごろ。僕たちは毎週水曜日に働くことを、やめた。 それは夏の、暑い日の朝だった。僕と相棒のT氏は朝いちばんで集まって、10キロのランニングを終えた。見上げた空はピーカンで家から一歩出るともう、それだけで茹で上がるような気分になっていた。僕たちはビルの谷間の日陰を選んで、身を隠すように走った。それでも走り終えたときは全身から汗が吹き出して、雨上がりの傘のようになっていた。コンビニに駆け込んで、僕はオールフリーの350ミリリットル缶を、T氏はストロングゼロレモンの500ミリリットル缶を買い求め、そして乾杯した。そして厳かに誓い合ったのだ。水曜日は働かない。僕たちは決して水曜日は働かないことにしよう、と。 なぜこのような結論に達したのか。それを説明するためには、まずは僕と相棒のT氏の関係について説明する必要があるだろう。 T氏はもともとはある出版社の
06 加速するシリアルキラーの高齢化——万能の『Get Wild』コード——じゃあどうしてだれも僕の心配をしなかったんだ? ※ こんなことばかり起こっているような気がする。 7月、関西を拠点とする有名なアニメーションスタジオが、1人の男の手によって放火炎上し、35名もの犠牲者が出た。 クールジャパンを掲げるわりには、『マリオ』『ポケモン』以上の話を本気でするのがなんとなく気恥ずかしい日本国内よりも、海外のほうが重大性をいちはやく理解し、アップルやディズニーがすぐさま哀悼の意を表明した。放火した男自身も火傷(やけど)を負い、この文章を書いている段階ではまだ意識が回復していない。 男の年齢は41歳だという。 この事件を知ったとき、僕はなによりもまず、令和になったばかりの5月に、小学生の列に刃物を持って突っこんだ直後に自殺した51歳の男のことを思い出した。 41歳の放火魔も、51歳の通り魔も、ま
祖母や母からサンカ(広島を中心に分布していた無国籍人)の「ジリョウジ」の血を受け継ぐ大学生、界暈(さかい・かさ)は、ある事件をきっかけに「ジリョウジの力」に目覚めていた。やがてその力が、かつて広島であった恐ろしい出来事に自らを引き寄せてしまうとも知らずに。 いつもご愛読いただき、ありがとうございます。 本連載、津原泰水「飼育とその技能」は、下記URLに引っ越しました。 新しいURL http://www.homesha.jp/shiiku/ 更新情報はTwitterでお知らせいたします。 「三千万と聞えたが、三千円の聞き違いかの」 と慎重を期して問えば、どうして伝わったのだろうとでも問いたげな、空惚(そらとぼ)けた顔付きで振り返り、 「もうね、吃驚(びっくり)したよ」 「こっちの科白(せりふ)じゃ。改めて訊く。おまえが貸してほしいのは三千円か?」 一輝(いっき)はおれの顔を見詰めている。
目覚めた瞬間スマホを確認するようになって、もう何年になるだろう。LINEとスナップチャット、メールを確認すると、Pokémon GOを開いてポケモンを捕まえ、最後にツイッターを開きいくらかスクロールしてから、またゴロゴロする。それが私のほぼ毎日の日課だ。二度寝をしようかどうか迷いながらツイッターをスクロールしている途中、セクハラという文字が目に入り自動的に動画が無音のまま開始する。テレビの情報番組で女性たちが男性芸人から暴力と辱めを受けながら、笑顔を絶やさず対応している動画だった。眠気と怠さと嫌悪で呻き声をあげながら最後まで見て死にたくなってスマホをロックする。ここ数年日本のバラエティ番組やワイドショーを見ると死にたくなる。新居に越して改めて買い直したテレビは、配線が足りなかったのもあって、BSとネットに繋いだだけで地上波は接続していない。地上波を繋ぐケーブルは死への架け橋。 フランスでは
実らぬ愛や恋、ややこしい家族や友人……。画家の人間関係を知ると、美術鑑賞は100倍楽しめる! ルネサンスから現代まで、ムンク、フェルメール、ピカソ、クリムト、ミュシャ、バスキアなど大規模な展覧会がひかえる画家たちの作品と人生をわかりやすく解説。イラストたっぷりの楽しい美術コラムです。
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