「夏」そのものがテーマという映画じゃない。 けれど、この映画には夏の空気がたっぷりと含まれている。 痛いぐらいに照りつける日差しや、汗をかいてべたべたする肌。 そして、風の中に感じるまとわりつくような潮の香り。 映画「海街diary」はどのシーンを切り取っても夏の気配を感じさせてくれる。 映画の舞台は鎌倉。田舎の漁村とはひと味もふた味も違う。やっぱりそこは小洒落た雰囲気を隠すことはできない。 けれど、それでもどこか懐かしい景色を感じるのは、姉妹が住んでいる家のせいかも知れない。 綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆の三姉妹が住んでいる小さな一軒家。そこは夏休みに帰省するお婆ちゃんの家のようだ。狭い間取りに細々と置かれたタンス。畳にちゃぶ台、扇風機。 縁側なんて、今どきの家にはなくて、むしろ羨ましい。 もともとお婆ちゃんが住んでいた、という設定だからちょっとした小物にも歴史があるんだろうなあと思わせ