昨年の東日本大震災を契機に、災害に対する耐性が高く、細やかな地域情報を機動的に提供できるラジオの存在感が高まっている。しかし、このようなラジオを取り巻く環境は必ずしも順風とは言えない。若者を中心としたラジオ離れ等を背景に、収入源である広告費は、1991年の2,406億円をピークに、2011年は1,247億円というほぼ半分強の水準まで落ち込んでいる。 そのようなラジオ業界において、2010年に試験配信を開始した「radiko.jp」に期待が集まっている。「radiko.jp」とは、ラジオ放送をインターネットで同時にサイマル配信(同時並行配信)する、IPサイマルラジオサービスである。本稿では、この「radiko.jp」の現状と今後の展開を概観していきたい。 「radiko.jp」は、2010年3月15日から、関東地区7局、関西地区6局によるIPサイマルラジオ協議会を主体とし、主にラジオの難聴取