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研究者という職業が世間一般からどういう扱いを受けているかおれはよく知らない。だがおおむねポジティブなイメージを持たれているように思う。もしくは「よく分からないけど頭のいい人達がアレコレやっている」というような類いだ。「目指せノーベル賞、だね!」というようなことを言う人もいる。思わず苦笑い…。いや、まあ、それはいいんだ。 高校を卒業してから数年の紆余曲折を経て、今おれは某大学院の農学研究科にいる。研究者を志す者、という位置づけであるわけだ。ところが以前書いたようにおれは”研究者”という職業に絶望してしまった。今日はその話をつらつらと書いてみようと思う。 研究者にならないことを決めた理由—それはおれの性格に合わないという至極勝手な我が侭だ。 小学校の時から毎年の通信簿に”好奇心旺盛”というお決まりの文句が書かれるおれは、この歳になってもまだまだその気質が衰える様子はない。新しいものを見たい、知
この世には二種類の人間がいる。 iPhoneを持っている人間と、まだiPhoneを持っていない人間だ。 2008年7月11日、Appleの革新的なモバイルデバイスたるiPhone 3Gが華々しいデビューを飾った。それよりも前から合衆国や欧州ではiPhoneは発売されていたものの、日本人はようやくこの日初めて、iPhoneを手にしたのだった。先行販売を行なったキャリアの旗艦店であるソフトバンク表参道店には数日前から待ちきれない人が並び始め、その数は最終的には1500人を越えた。ただのガジェットにしては異常とも言える注目度である。「みんなが待っていたiPhone 3G」。そのコピーに偽りがないことは発売されるよりも前に証明されたのだ。そして今日、iPhoneが発売されてから丁度一年が経ったーそう、つまりおれのiPhone 3Gの保証が切れたという訳だ。APPには加入していないので、Apple
最早手遅れである。何が?Twitter症候群だ。症状に個人差はあるものの、現在多くのコアなネットユーザー達が罹患しているこの病気は、しかしあまりその実態を知られていないようにも思えるね。Twitterのアカウントを取得してから一年と半年くらいが過ぎて、やっとおれは自分が罹っているその病気の恐ろしさを知ったよ。このままでは危険だ。人生が滅茶苦茶になってしまう。いや、既になっているかもしれない。なにしろ"最高のつぶやきカタパルト"であるところのiPhoneを手に入れてからというもの「呼吸をするようにTwitterにpostする」というTwitter症候群末期患者への揶揄がおれには現実のものとなっている。信じられないかもしれないが、自分のprofileページにアクセスして多すぎる独り言を眺めていると、明らかにpostした覚えのない文字列が、しかし明確な意味のある文章としてそこに並んでいるのだ。こ
「実は彼、料理が得意なんですよ。イタリア料理の店で働いていて」 席に着いた途端、隣に座ったid:Hashはおれを指してそう言った。向かいの二人はほう、といった表情。おい、突然なにを言い出すんだ。おれはHashの顔を見る。どや顔である。さっきまではリスナーの姿勢を貫いていたくせに…「では」ホストであるid:aureliano氏が口を開いた。「iNut君にメニューはお任せしようか」おれ以外の三人はそれがいいとでも言うように頷いている。なんてこった。 2009年6月16日。夜の中目黒に降る雨は、ますます勢いを増していた。 注文を取りに来た女性に「会話がメインなので」と断りを入れて、無難に前菜、パスタ、肉料理を二皿ずつ注文した。おれが注文している間にaureliano氏は、岩崎夏海氏は隣に座ったid:kawango氏に彼の会社での話の続きを始めていた。岩崎氏ご自身が「気付くのに長くかかり、そして今
アスファルトを跳ねる雨粒が、ジーンズの裾を濡らす。すれ違う人の傘から垂れる濁った水はこちらの肩を濡らしてやろうと襲いかかり、横殴りの雨で手に提げた紙袋はぐちゃぐちゃになっている。ちっと舌打ちをして顔を上げると、個人タクシーが車道の水たまりの上を全速力で駆け抜けて行った。 雨の東京は、冷たい。 ♪ 上京して一ヶ月が経った。それまでにも幾度となく東京の街には来ていたから、複雑な地下鉄に頭を捻ったり、物価の高さに絶望したり、人の無愛想さに傷つけられたり、ハチ公前で写真を撮らなければいけない義務感に駆られたり、そういう「トーキョーショック」を味わうことはなかったけれど、やはり住むのは初めてなので、戸惑うことがなかったわけではない。しかし、おれが少なくとも二年東京に住むことになった時「若い時に東京に住むのはいい経験になるよ」と言ってくれた人がいた。彼は、続けてこう言った。 「チャンスと情報が溢れてい
皆さんは日本という国をご存知だろうか。 世界の東の果てにある、小さな小さな島国。食、言葉、建築、生活様式といった文化、そしてその歴史においても他国とは全く違うその国には、勤勉に働き、慎ましく生きることを良しとする、日本人が住んでいる。四季にあふれた気候と、山と海に囲まれた土地で育まれた独特の美意識、価値観を持った彼らは、しかし西洋の大国と並ぶほどの経済力で世界にその名を広く知られている。俺はそんな国の、ほんの少しだけ特殊な環境で育った。 西洋文化を好む両親の下で、白人と日本人のダブル*1の幼馴染みと共に育った俺にとって、この国はあまりに小さく、物足りないものだった。物心ついた頃に北アメリカへ行った経験がその感情をさらに強くした…ヨーロッパやアメリカと違って、地味な食事、リズム感のない言葉、無愛想な人と街、内向的な国民性が、俺にはとてもつまらないものに思えた。いつか海を越えて、もっと素晴らし
それはある日の夜のことで、あと半刻もすれば日付が変わる頃、おれは内回りの山手線に乗っていた。吊革に捕まりゆらゆらと揺られると、意識がぼんやり遠ざかる気がする。だけどそれはたぶん気のせいで、一日の疲労感が眠気を誘っているのだろう。耳に飛び込んできた会話が、しかしそんな眠気を吹き飛ばした。 「だって、常に同じものを見ていたいじゃない」 「あー、それはわかる」 「自分が何かを見て感動したとき、その感動を共有出来ないのはイヤ」 「あたしもそれ思ったことある、同じもの見てたいよねー」 「そうそう」 「寝る前の星空とかさあ…」 「あ、着いたよ」 電車が西日暮里駅のホームに滑りこむ。声の主たちが降りて行くのを見送り、再び走りだした車両の窓に写り込んだ自分の顔を見た。眼鏡を外してみて、それからまたかけて、小さく頷いた。 * それはある日の夜のことで、あと半刻もすれば日付が変わる頃、おれは内回りの山手線に乗
アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本 化学オタが非オタの彼女に化学世界を軽く紹介するのための10物質 生物オタが非オタの彼女に分子生物学の世界を軽く紹介するのための10タンパク 薬オタが非オタの彼女に薬学の世界を軽く紹介するのための10個の薬剤 これらを先に読んでおくとより楽しめるかもしれません。読んでおいても楽しくないかもしれません。 まあ、どのくらいの数の菌オタがそういう彼女をゲットできるかは 別にして、 「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に 黙認してくれて、その上で全く知らない農学の世界とはなんなのか、 ちょっとだけ好奇心持ってる」 ような、ヲタの都合の良い妄想の中に出てきそうな彼女に、農学のことを 紹介するために見せるべき10菌を選んでみたいのだけれど。 (要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女に農学を 布教するのでは
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