ベーシック・インカム(生活上必要な費用を一人一律に給付する形態の基本所得制度。以下BI)は、ややもすると制度として論じられている。制度として妥当か、制度のバリエーションにはどのようなものがあるか、実現可能性の問題としてBIへどう移行するのか、そしてBIにどのようなメリットがあるのかといった議論である。 しかし、このレベルの議論は本質的な問題ではない。BIは勤労観や福祉観、さらには経済システムについての思想である。実現可能性から議論してしまうと、簡単に不可能という結論に至るだけに終わる。BIを主張する者は、制度として矮小化された議論に陥ってはいけない。そうではなく、BIを基本的な権利と捉え大上段に構えなければならない。 超資本主義社会(貨幣なしでは生存できない社会)を強制されている我々にとって、基本所得を受け取る事は、労働とは無関係の生存権=基本的権利であるというのがBIの主張だ。それは実現