三軒茶屋に行くと、「弟を心配する自分」を思い出す。 年の離れた弟がいる。 年が離れているから、ろくに喧嘩もすることなく、なんとなく仲良くやってきたように思う。 弟には、なんとなく深く悩んでいそうな時期があった。 そのころ彼は、三軒茶屋に住んでいた。 わたしは親の心配なども背負って、ときどき弟に会いにいき、一緒にご飯を食べたり、買い物をしたりしていた。 だから今でも、三軒茶屋は「弟を心配する自分」の空気が残っている街だ。弟はとっくに転居し、もうそこに住んではいない。彼がこの街に居ないことを、なぜかわたしはさみしく思う。そして、たいした用はなくっても、たまに訪れてしまう。 田園都市線の改札を出て、246を歩く。茶沢通りを進んで下の谷商店街を歩いてもいいのだが、弟の家に行くときにみつけた、ある暗渠を歩きたいので、246を歩く。 テル子支流と呼ばれている暗渠だ。はじまりの細い路地が、いつの間にか綺