* 訂正可能性--『存在論的、郵便的』の核心部 現代を代表する批評家/哲学者である東浩紀氏が1998年に世に放ったデビュー作『存在論的、郵便的』はフランスの哲学者ジャック・デリダが1970年代に書いた奇妙なテクスト群に光を当てた画期的なデリダ論として知られています。同書はデリダの代名詞であるところの「脱構築」をあるシステムの二項対立を無効化する側面(ゲーテル的脱構築)と、その結果として生じる剰余を扱う側面(デリダ的脱構築)に分けた上で、後者を精神分析的な転移のメカニズムによって駆動する「郵便空間」として理論化したことで当時の現代思想シーンに鮮烈なインパクトを与えました。そして同書で東氏が打ち出した「郵便空間」を支える基盤が「固有名」をめぐる「訂正可能性」の理論です。 存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて 作者:東 浩紀 新潮社 Amazon この点「固有名」を縮約された確定記述の束と