サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
ドラクエ3
karasawa-a.hatenablog.com
あのひとに想い人がいるのは知っている。その恋が実る日は来ないであろうことも知っている。不毛な恋に身をやつすあのひとを呼び戻そうとするも、私の声は小さく風にかき消されて届かない。 珍しく雪が積もった朝は交通機関が麻痺し、職場に遅刻の連絡を入れながら白く覆われたいつもの道を幼子の如く歩く。雪は昨夜から降り続き、今もまだ足元で嵩を増やしていく。普段よりも遅れて駅前に着くと、電車を待つ人々の端にあのひとがいた。目立たぬよう柱の陰に身をひそめて、想い人を待っているいつもの姿と変わりない。待ち合わせのためにそこにいるのではなく、さも偶然通りかかったように相手の前へ現れるために、いつも目立たない場所でひっそりと相手を待っているのだ。 下手をすればストーカー扱いされかねない行為をやめさせたくて、声をかけたことがある。部署は違っても同期入社のよしみで話しかける機会はいくらでもあるのだ。ちょうどいい電車がある
冬至は1年で最も日照時間が短い日だから、この日を過ぎたらまた日が長くなるという、前向きな言説がある。かぼちゃを食べ、ゆず湯に浸かり、寒さをしのぐ。 太陽が見えないと悲しくなる。季節性情動障害などというほどに、暗く寒い冬はわたしの内面を縮こまらせ冷たく閉ざす。冬至を乗り越えたからといって寒さは手を緩めはしない。むしろ冬至を過ぎてからの方が厳しくなってゆく。 クリスマスや正月のようなイベントは、そんな苦しみを少しでも紛らわすためにあるのではないか。何か楽しいことをしているのだ、と自分をごまかして駆けずり回らなければ、この冷たさに負けてしまう。クリスマスの街のかがやき、正月という祝祭、バレンタインデーでのチョコレートの誘惑、毎月必死で楽しみを見つけようともがき、逃げ出すことのできない寒さから身を守るのだ。 歩くたびにつま先がひりひり痛み、指先の感覚が失われていく。鼻が乾燥して呼吸がうまくできなく
モヤモヤしつつも楽しかった昼の部に続き、夜の部も観てきました。 karasawa-a.hatenablog.com 夜の部 今度は一気に最前列、右端の席を取ったので目前に床があります。ちょっと首を傾げれば大夫さんと三味線弾きさんが目前にいらっしゃる臨場感あふれる座席です。舞台の人形は少し見づらい場面もありますが、とにかく人形も近くで観られるので、開演前からわくわくしておりました。最前列、とってもいいです。 昼の部と同じく、演目の前に上演内容について解説がありました。夜の部は「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」のみ。この物語は、江戸時代に大阪で実際に起こった、38歳妻帯者と14歳の少女が子まで為す不倫関係となった事件がモデルになっています。ドロドロです。現代ならスキャンダルどころではないです。 桂川連理柵 大まかな筋は帯屋の主人・長右衛門と隣の信濃屋の娘お半が心中するというものです。
休職期間を終えて職場復帰してから1週間と少し経ちましたが、しばらくは残業なしで働くという条件を付けてもらっています。これまでは20時に退勤できたら早い方だという感覚だったのが、18時過ぎには会社を出ることになって驚きの連続です。学生や会社員が大勢電車に乗ってくるし、帰り道に買い物もできるし、夕食を食べて風呂に入っても21時前後というゆとりは、休職前には考えられないことでした。 ただ、自分が退勤の準備をする隣では、残業しているひとが幾人もいて罪悪感をおぼえるのも確かです。できるだけのことをして帰っているのだから本来は気にすることなどないのでしょう。ですが「長時間労働をする人物は頑張っている」という雰囲気が部署内にあるために、「頑張っているひと」を置いて先に帰る行為にどこか後ろめたさを感じるのだと思います。そしていつしか、残業をしないひと=楽な仕事をしているひとというレッテルを貼られるに至りま
テーマは「過去」、参加させていただきます。 novelcluster.hatenablog.jp 2207年12月31日、松山一恵は160年弱の時を経て重箱を探し当てた。自宅はとうになくなっていたが、残っていた自分の荷物の中に四角い風呂敷包みを見つけた時、わずかながら居場所を取り戻した思いがよぎる。 還暦を迎えて間もなく交通事故に遭い、一命は取り留めたものの昏睡状態となっていた一恵は、家族の意思により当時試験的に行われていた細胞凍結技術によって身体の老化を止めたまま眠り続けていた。意識を取り戻した時には住んでいる地域の名称や慣れ親しんでいた景色は一変し、見たことのない物の方が多くなり、知っている人物はひとりもいなくなっていた。 眠っている間に戦争が起こり、家族も友人も死亡したということがモニタにデータとして白々しく表示される。細胞凍結技術は発展を遂げ、現在は医療制度の一部として利用されてい
13630円が、3年間の買い取り価格だった。あのひとに合わせて買った本やDVDは紙袋ひとつに収まる程度の量で、つぎ込んだお金に対して手放した時の戻りはあってないようなものだった。あのひとがプレゼントしてくれたあれやこれやも、ずいぶんよそよそしくて魅力を感じないものに成り下がってしまった。 そのうち頭から足の先までコーディネイトしてあげる、とあのひとは誕生日やイベントごとに衣服や小物をくれたけれど、受け取ったわたしがどう思っているかは、あまり気にしていないようだった。別に変なものをプレゼントされたわけではないし、あのひとがくれたものだからという理由でそれなりに愛着もわいていたのだけれど、どうにもしっくりこないままネックレス、ワンピース、バッグときて、靴まではたどり着かなかった。 とにかく好きになりたくて好かれたくて、あのひとの好きなものを片っ端から調べ上げた。共感できるものもよくわからないも
こちらのエントリを読んでから、うまく言葉にできないモヤモヤを抱えていたのですが、少しでも文章にできそうな気がしたので拙いですが残しておこうと思います。注目の記事に便乗しているようで怖いです。 hase0831.hatenablog.jp アフィリエイトについて考えてみた 文章を書くことが目的であれ、ブログ記事で収益を上げることが目的であれ、アフィリエイトそのものが「ブロガーが特定の商品の広告塔になる」というテレビのCMと同じものじゃないかと考えています。 派手なアピールや面白いネタで売り上げを伸ばすものもあれば、全然広告っぽくないけれど収益が出るものもある。収益を上げるために広告塔は様々な方法で顧客を呼び寄せますが、最終的に収益を左右するのは広告塔そのものではなく記事の読者だと思いますし、商品やコンテンツの提供元がいなければそもそもブログでアフィリエイトなんてできません。 どちらかというと
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『karasawa-a.hatenablog.com』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く