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ノーベル賞
kawano-satoko.com
「歌壇」2002年7月号 穂村弘の文体を語るのに少女言葉の問題は避けて通れない。初期穂村の世界の少女は対話のなかに生きていた。そして現在、穂村の歌はこの少女言葉に語りの全てを預けている。短歌は主題を選んでから文体が決まるより、文体が自ずと主題を選ぶことが多いのではないだろうか。 穂村の場合、典型的にこの少女言葉が少女という主題を選び、創造し、さらには少女の発想が穂村を代弁するという過程を辿っている。それではこの少女言葉とは何なのか?その働きを詳しく見てみよう。 体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ 『シンジケート』 「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」 「クローバーが摘まれるように眠りかけたときにどこかがピクッとしない?」 一首目。体温計を銜えているため、「雪だ」が「ゆひら」になってしまう。この奇妙な音と化した言葉は、二人の会話の親密
言葉って何だろう? を起点に日本語で書いています。 短歌、文学評論を雑誌に発表。またエッセイを新聞コラムなどで連載中。 おもな著作 歌集『歓待』(第71回讀賣文学賞) 歌集『硝子の島』(第10回小野市詩歌文学賞) 歌集『王者の道』(第15回若山牧水賞) 評論『幻想の重量-葛原妙子の戦後短歌』(葛原妙子賞) 評論『七十年の孤独-戦後短歌からの問い』
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