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ノーベル賞
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KOMPASは慶應義塾大学病院の医師、スタッフが作成したオリジナルの医療・健康情報です。患者さんとそのご家族の皆さんへ、病気、検査、栄養、くすりなど、広く医療と健康に関わる情報を提供しております。
概要 失神とは一時的に意識を失うことをいいますが、脳の血流量が減少することによって起こります。失神は、まず心原性と血管迷走神経性失神に大きく分けられて、ここでは血管迷走神経性失神について解説します。血管迷走神経失神は、排尿、嚥下、排便、食後、咳などの後に起こる状況失神、頚動脈洞症候群、および情動失神などとともに神経調節性失神症候群と呼ばれています。血管迷走神経失神は失神の原因の約20%を占めますが、疫学研究では予後(病気の見通し)が良好な疾患であることが分かっています。 症状 失神の前兆として顔面蒼白、冷汗、悪心、腹部不快感などの自律神経症状を伴う場合があり、精神的あるいは身体的ストレスによって失神します。失神が起きた場合でも、安静にして仰向けになることですぐに回復します。 過労、脱水、長時間の立位、起立、空腹、痛み、採血、恐怖などが誘因となる場合があります。また、飲酒、排尿、排便、嚥下(
血液型は、血液の中の赤血球という細胞の型で決まります。血液型には種類が複数ありますが、一般的によく知られている血液型は、ABO血液型といわれるものです。ABO血液型は、赤血球側(おもて試験)と血漿(血液の液体成分)側(うら試験)の両方を検査し、その結果を照合して決定します。 赤血球側の検査は、赤血球膜上の抗原(こうげん)というタンパクを調べます。A抗原、B抗原の有無を検査しており、たとえばA抗原だけ検出されるとA型と判定されます。一方、血漿側の反応は抗体(こうたい)という免疫のタンパクを調べます。抗A抗体、抗B抗体の有無を検査しており、たとえばA型の人は抗B抗体のみ検出されます。このようにABO血液型の決定には、抗原と抗体両方の検査が必要なので、赤血球側(おもて検査)と血漿側(うら検査)をペアで行います。 生後間もない小児は、まだ自分で十分な量の抗体をつくっておらず、かつ胎児期に母体から移
概要 他の臓器と同様に、心臓にも腫瘍が発生します。頻度的には、全剖検例の0.1%以下とまれな疾患で、そのうちの約70%が良性腫瘍、30%が悪性腫瘍といった割合です。良性腫瘍の中では、最も多いものが粘液腫で良性腫瘍の約半分、全心臓腫瘍の3割強を占めます。したがって心臓腫瘍というと、まず粘液腫を考えます。これは粘液状の基質が豊富に存在する腫瘍で、見た目は赤茶色のゼリー状の腫瘍です(図1)。女性が男性より2~3倍多く、有茎性(ゆうけいせい)で心臓内のどこにでも発生しますが、左心房に発生するものが4分の3を占めます。家族性に発症するものが約5%あり、その場合は若年男性、多発性、再発が多いのが特徴です。 粘液腫以外の良性腫瘍には、脂肪腫、乳頭状弾性線維腫、横紋筋腫、線維腫、血管腫、房室結節中皮腫、奇形腫などがあります。形態的にもそれぞれ特徴があり、例えば乳頭状弾性繊維腫は、絨毛構造を持つため、体内で
概要 脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)とは、脳動脈の中でも脳底部を走行する直径1~6mm程度の血管にできた、コブのように、あるいは紡錘形にふくれた部分のことをいいます。代表的な発生部位として中大脳動脈、内頚動脈、前交通動脈、脳底動脈などがあり、血管が枝分かれする場所によく出来ます。2mm程度の小さいものから25mm以上の大きなものまで様々ですが、大部分は10mm未満です。脳動脈瘤ができる原因は明らかではありませんが、高血圧、喫煙、動脈硬化、加齢といった後天的要因や、家族性といった先天的な要因が関わっているようです。また動静脈シャント疾患(動脈と静脈が正常の毛細血管を介さず直接接続する疾患)やもやもや病や脳腫瘍など頭蓋内の血行動態に影響を与える病気において血流の増加により動脈瘤が形成されることもあります。外傷や感染により血管壁が損傷することで動脈瘤が形成されることもあります。 症状 脳動脈瘤
図1. 改訂ロサンゼルス分類 治療 胃食道逆流症の治療は胃酸を抑える治療が主体になります。胃から食道へ逆流する胃酸の刺激を抑えることで胸やけを始めとした症状はかなり改善します。しかし、胃酸以外の胃の内容物が逆流することによる不快感など、胃酸を抑える治療だけでは改善しない症状もしばしばあります。また残念ながら、胃酸を抑える治療は、中断すると同じ症状が出てくることが多く、治療に難渋することがあります。したがって、治療としてはなるべく食道の中に胃酸や食事内容が逆流しないように生活習慣を整えることが主眼になります。つまり実際には(1)薬物療法、(2)生活習慣の改善に取り組み、症状がなかなか改善しない場合には、(3)手術療法を行います。 (1) 薬物療法 胃食道逆流症の症状を抑えるために、刺激になる胃酸を減らす治療が有効です。胃酸を抑える内服薬には、ヒスタミン受容体拮抗薬とプロトンポンプ阻害薬の2種
先天性眼瞼下垂はまぶたを上げ下げする筋肉である上眼瞼挙筋(じょうがんけんきょきん)自体の発達やそれを動かす神経の発達異常によるものと考えられていて、生まれつきまぶたが下がっている状態です。約80%が片側性です。ほとんどの場合視機能の障害を及ぼすことはなく、通常は手術を急ぐことはありませんが、まれに弱視や斜視の原因となったり、これらを合併している場合もありますので眼科での診察と経過観察が必要です。 後天性眼瞼下垂とは、もともとは普通にまぶたが開いていた人が少しずつまたは急にまぶたが下がってきた状態です。ほとんどの場合は数年間かけて少しずつ下がってくる腱膜性(けんまくせい)の眼瞼下垂です。腱膜とはまぶたを上げ下げする筋肉(上眼瞼挙筋)の末端部の腱のことであり、これが伸びたりゆるんだりしてしまうことによる眼瞼下垂を腱膜性眼瞼下垂といいます。いわゆる「年をとって目が小さくなってきた」という加齢性の
概要 どのような病気なのでしょうか? 身体症状症は患者さんの自覚症状に見合う身体的異常や検査結果がないにもかかわらず、痛みや吐き気、しびれなど多くの身体的な症状が長い期間にわたって続く病気です。患者さんの中には、体に力が入らくなったり、けいれん発作のような症状が出現したりすることもあります。症状は体のさまざまな場所に生じ、しばしば変化します。患者さんの中には、症状を身体的に説明する原因がないということが受け入れられず、医療機関を転々としてしまい、精神科受診に至るまでかなりの時間がかかってしまう方もいらっしゃいます。また、多くの患者さんは、そうした身体症状のために仕事、学校や家庭などにおける日常生活に支障が出ています。 近年のアメリカを中心とする精神科診断の分類の整理や、日本語病名の検討委員会の話し合いから、新しい分類や呼称が使われるようになりました。以前はこの章で扱われる病気は「身体表現性
概要 甲状腺は、のどぼとけの少し下にあるH字型の小さな臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています(図)。甲状腺ホルモンはfT3(フリー・トリヨードサイロニン)、fT4(フリー・サイロキシン)の2種類から成り、全身の細胞に活力を与える働きを持っています。 甲状腺の働きが活発な状態、すなわち甲状腺ホルモンの分泌が盛んな状態を、甲状腺機能亢進症といいます。別名、バセドウ病ともいいます。甲状腺機能亢進症は、TSH受容体抗体(ティーエスエッチじゅようたいこうたい(TRAb))、甲状腺刺激抗体(TSAb)という特殊なタンパク質が甲状腺を直接刺激してしまうことによって発病します。その結果、甲状腺ホルモンの分泌が盛んになるため、血液中の甲状腺ホルモン値が高くなります。一般的に、女性に多く見られることが特徴です。しかしTSH受容体抗体が体のどこで、どうしてできてしまうのかは全く分かっていません。 概要図(日本医
概要 難聴、耳鳴りは日常診療で頻繁に遭遇する耳疾患の二大症状ですが、いずれも外耳から中耳、内耳、大脳の聴覚中枢までのどこの障害でも生じます。 難聴:聞こえにくい、言葉が聞き取りにくい 耳鳴り:いつもキーンやジーといった煩わしい音が聞こえる 難聴は、外耳や中耳の障害による伝音難聴(音がうまく伝わらないための難聴)と、内耳の感覚細胞から大脳まで音を感知する神経の障害による感音難聴(音をうまく感じられないための難聴)の2つに分類されます。 難聴の診断は、各種の聴覚検査によってこれらの障害がどこに生じたかを特定することが基本となりますが、耳鳴りは本人だけが感じる症状で正確な検査法が確立されていませんので、検査によってその障害部位を診断することは困難です。以下、難聴、耳鳴りの診断と治療のポイントについて、特に診療上、診断と治療に苦慮することの多い内耳の病気による感音難聴と、それに伴う耳鳴りを中心に解
概要 「食べる」という行為は、生命維持に必要な栄養を取り入れる、味を楽しむ、食事の場面を通じてコミュニケーションを楽しむなど、私たちの生活においてとても大きな意味を持ちます。「食べる」ことは、脳にある摂食中枢と嚥下中枢からの指令で口や喉を動かして、外部から水分や食物を口に取り込み、胃へ送り込むことで、これを「摂食嚥下」の運動といいます。この運動に支障を来すのが摂食嚥下障害であり、食物を飲み込もうとすると気管へ入ってむせてしまう、食道へ入っていかず喉に残ってしまう、というような症状が特徴的にみられます。原因としては、脳卒中やパーキンソン病などの神経や筋肉の病気、あるいは舌・咽頭・喉頭がんなどがあります。 摂食嚥下障害で生じる問題は、肺炎・窒息・低栄養・脱水など生命の危険に直結する、とても深刻なものばかりです。また、食べることの障害は、医学的リスクだけでなく、食べる楽しみを失うという生活の質(
お探しの病名、検査法、手技などを入れて右のボタンを押してください。キーワードをスペースで区切ることで、複数のことばの組み合わせ検索ができます。 例)咳 呼吸困難 肺炎 KOMPASは慶應義塾大学病院の医師、医療スタッフが作成したオリジナルの医療・健康情報です。「キーワードで探す」「カテゴリーで探す」から検索と閲覧ができます。 スマートフォン版はこちらです。
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