原発先進県といえば福井県。リアス式海岸が入り組む人口希薄な若狭湾一帯には、敦賀原発(2基)、美浜原発(3基)、高浜原発(4基)、大飯原発(4基)、それに新型転換炉ふげん(現在廃炉手続き中)、高速増殖炉もんじゅ(現在改造工事中)を合わせた計15基の原子炉が林立する。日本最大の原発密集地を訪れずして原発のことは語れまい、そんな思いから2日間ほど若狭湾をぶらり旅してきた。 初日は肌寒い雨。最も西にある高浜原子力発電所(高浜町)から訪れたのだが、まず写真の光景に衝撃を受けた。正面に見えるドーム型建物が高浜原発。その対岸では釣り人たちが悠然と釣り糸を垂らし、青く澄んだ海中にはコバルトブルーのソラスズメダイが乱舞している。周囲には漁船、レジャーボート、タンカー、養殖場なども多数見られ、ごくありふれた漁村の風景だ。その中に、至って自然に原子力発電所がたたずんでいる。こっちの人にとっては原発はこんなに身近