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中東情勢
metamorphoseofcapitalism.hatenablog.com
先週末の2月10日に新しい日銀総裁として経済学者の植田和男氏を起用するという方針が伝えられました。これまで次期日銀総裁は財務省出身と日銀プロパーが交互に入れ替わるたすき掛け人事の慣例からみて、日銀プロパーである雨宮正佳氏か中曾宏氏ではないかと予想されていただけに意表を突かれた格好です。 この植田氏とはいかなる方なのか? 自分は日銀副総裁を務められていた経済学者の岩田規久男さんと日銀官僚であった翁邦雄氏との間で激しい論争が繰り広げられていたときに仲介役としてしゃしゃり出てきた人物であったという記憶が遺っていました。(植田裁定) 植田氏は2000年のゼロ金利解除に反対票を投じたことや、日経新聞への寄稿で「金利引き上げを急ぐことは、経済やインフレ率にマイナスの影響を及ぼし、中長期的に十分な幅の金利引き上げを実現するという目標の実現を阻害する」などと述べられていたことから、黒田現日銀総裁が進めてき
新年明けから1週間以上経ちましたが2023年初の投稿となります。本当は明るい話題にしたいところですが、悲観的でかなり重い話をしなければなりません。 昨年の年始記事で「2022年は日本という国にとって運命のわかれ道となる年である」と述べました。経済面でいえば日本の経済が再び衰退への道を辿っていくか、再興への道を目指すのかが決まってくると思ったからです。 metamorphoseofcapitalism.hatenablog.com 結論を述べると、この国は自ら滅びの道を択んでしまったと思わざるえません。安倍元総理がひとりの男によって殺害されたことによって、この国は死への道を決定づけられたのです。たった一人の男のためにこの国の経済衰退と国力低下、就職氷河期の再来とそれによる貧困と格差の増大、軍事独裁国家からの侵略リスクをぐんと高めてしまいました。犯人の母親がカルト教団として悪名高き統一教会の信
今日は9月19日で、今から168年前の嘉永7年に昭和恐慌などの金融危機に対処した金融政策・財政家の高橋是清が誕生しています。今回は高橋是清と今年7月に暗殺された安倍晋三元総理について比較して論じてみたいと考えます。 この二人は同じ9月生まれであることや、日本では珍しく金融政策を重視して停滞していた雇用や企業活動の回復を計った点、そして最期理不尽極まりない形でテロの犠牲になってしまったということが共通しています。筆者はやるせない気持ちでいっぱいです。高橋の政策は戦後歪んだ形で評価され誤解されてきましたが、安倍元総理が行ったアベノミクスも既にマスコミ等によって不当な評価がなされようとしています。このことは今後何年、何十年にも渡って日本正して国民の生活を貧しくし、産業の衰弱化を招く恐れがあります。それを正しておかねばなりません。 まず先に高橋是清の功績について振り返っておきたいと思います。高橋は
自民党岸田文雄政権が昨年10月に発足してから3か月以上経過しました。この政権は当初より経済政策の方向性に不透明感があり、筆者は岸田氏が自民党総裁に選出されてからモヤモヤした感覚を常に抱き続けています。とはいえどまだ自民党総裁選挙中はまだアベノミクスの継承や増税・歳出削減を封印する姿勢を打ち出しており、以前よりあった「財務官僚のポチ」といった風評を払拭するような政権運営をするのではないかという微かな期待も持ち合わせてもいました。 それから時が過ぎるにつれ、この政権に抱いていた不安や不信がどんどん確実へと変わっていきます。この政権は岸田氏と同じく宏池会に属し、緊縮色が非常に強い林芳正議員を外務大臣に任用したり、党の税調会長に同じく増税や歳出削減に前のめりな宮澤洋一議員をあてがったりしています。昨年12月に基礎知識編ブログの方でこの批判をしました。 ameblo.jp 岸田政権は安倍政権が導入し
2024年3月28日、日銀政策決定会合においてついにマイナス金利やYCC(イールドカーブコントロール=長短金利操作)、ETF(上場投資信託)の買い入れなどを撤廃し、安倍政権=黒田日銀体制の下で2013年から始まった異次元金融緩和政策が完全に打ち切られることになりました。いつの間にかインフレ目標2%達成後もしっかりとした経済成長が確認できるまで金融緩和を継続するというオーバーシュート型コミットメントについても消失しています。金利を一時的にではなく、継続的に下げ続けるという予想を人々に与え、多くの民間企業が積極的に新しいモノやサービスの生産を行うための事業投資をしたり、消費者がローンを組んで個人の住宅ないしは自動車等の購入を促すといったこれまでの日銀の金融政策がひっくり返されてしまいました。 元々三重野康総裁時代以降の日銀は景気がひどく悪くなったときにゼロ金利政策や量的金融緩和政策を一応やるの
ここで何度も批判してきたMMTですが、結局何がいちばんまずいのか?そして俗にいうリフレーション政策との違いは何かという点についておさらいしておきたいなと思います。 内容的には半年前に書いた「MMT(現代貨幣理論)とリフレーション政策の違いは何か? 」の記事と被ります。 ニューケインジアンのポールクルーグマン教授(左)とMMT代表論客のひとりステファニー・ケルトン教授(右) 自分はMMTの理論的欠陥は3点あると見ており、その3つを通じて見えてくることは、この理論がモノやサービスといった財の生産・供給側(サプライサイド)をかなり軽視していると同時に、負債や貨幣を永久機関のように殖やし続けることができてしまうという結論を導いてしまうという奇怪さです。そのことがMMT導入によるひどいインフレや金利上昇への懸念を生んでいるのです。 まずMMTの第一の理論的欠陥は金利と民間企業の投資(←”人への投資”
今回は生活保護の受給世帯数や支給総額の変化やどういう扶助が多いのか、誰が受給しているのかといった統計を確認していきたいと思います。「誤解と偏見だらけの生活保護問題 」で述べたように生活保護の関して多くの人々は、基礎的な統計すら確認せずに、強い思い込みや先入観だけで「もっと保護費支給を厳格化しろ」とか「保護費はみんな酒やギャンブルにつかわれる」といった発言をしています。冷静に統計を確認してみると生活保護の実情が違った姿に見えてきますし、意外な問題点も気づくことでしょう。これまでこのブログサイトで書いてきた生活保護関連の記事も再度読み直していただけたらと思います。 生活保護関連の記事 「生活保護制度はなぜ生まれた? 」 「生活保護制度の4原則と保護費の算定 」 生活保護に関する統計は厚生労働省がまとめております。 厚生労働省 「生活保護制度の現状について 」 まず生活保護受給世帯者数の変化から
前回は大前研一氏に対する批判を書きました。 この方は「日本は低欲望化社会になった」ために、モノやサービスを消費する意欲が低下し、そのために金融緩和とか財政拡大政策をやっても効果が出なくなってしまっているのだなどと言っています。そしてクルーグマン教授やスティグリッツ教授などといった既存の理論にしがみつく経済学者たちはそれを認めようとしないんだなどという放言をかまします。 大前氏の言っていることはケインズ様が予言していた「流動性の罠」という現象であり、その原因やそこからの打開策については経済学の世界でちゃんと議論されているのですが、大前氏は知らないのでしょうか? 大前氏は以前「心理経済学」などという言葉を持ち出していました。 president.jp 人々が持つ将来の予想を変えることによって、投資や消費の行動を変えさせる。こういう発想もやはり経済学の世界でちゃんと採り入れられています。トーマス
今回の記事は「新・暮らしの経済手帖 時評編」・「新・暮らしの経済手帖 基礎知識編」同時掲載です。 コロナウィルスの感染が世界全体に拡大しており、感染源の中国周辺の国だけではなく、アメリカやヨーロッパ、イラクにまでその被害が及んでいます。とくにひどいのがイタリアやイラクでしょう。アメリカでも非常事態宣言が出されています。 感染拡大を防ぐために各国は海外渡航の制限や入国者の外出禁止、学校の休校や大人数が集まるイベントの自粛、企業の自宅勤務(テレワーク)導入などに留まらず、国民全員に不要の外出をやめさせたり、生活必需品を扱う商店以外の店をすべて休業させるといった措置を行う国も出てきています。 これらの措置は経済活動を著しく制限するもので、生産活動や商取引行為が著しく減衰します。この状態は恐慌が発生したときと同じもので経済マヒです。やむを得ないことだとはいえ政府の号令で民間の経済活動を停止させてい
先月11月26日に国民民主党の森ゆうこ議員らをはじめとする左派系野党の内向き主義を批判するために「国民の「暮らし」に無関心な左派系野党 」という記事を書きました。 森議員だけではなく、立憲民主党の石垣のり子まで高橋洋一氏を何の根拠もなくツイッター上でレイシス ト・ファシスト呼ばわりしています。高橋氏が安倍総理に近いからという思い込みだけでやらかしたのでしょう。 自分は政治やイデオロギー、人間関係のゴタゴタといったことには関心がなく、それを書いたゴシップ記事なんか読みたくもありません。 左派系野党議員の頭の中は「打倒!安倍」一色で、国民の生活のことなんか全然関心がないのです。私に限らず多くの有権者もまた左派系野党に絶望感しか抱いていないことでしょう。ほとんどゼロに近い左派系野党の政党支持率が物語っています。 しかしながらその一方で元民主党系議員の中で、真剣に経済政策を学ぼうとする人たちが新た
昨年末から今年初めあたりから、これまで堅調だった景気の雲行きが怪しくなってきています。異次元金融緩和を中心としたアベノミクスによって民間企業が積極投資をするようになり、雇用がかなりよくなりましたが、それにも陰りが目立ちかけています。海外に目を移せば米中の対立やUKのブレグジット問題、中東情勢の不安定化などキナ臭い要素があちこちで散らばっています。そういう中であるにも関わらず安倍政権は今年10月に消費税率を10%に増税しました。元々弱いままだった消費がさらに弱まる可能性が高まり、企業側も”本体価格デフレ”で利益率をさらに削ってまで安売り路線を強化せざる得なくなるかも知れません。結局アベノミクスがはじまる前の状況に戻っていくことになるのです。 2012年末に安倍自民政権が民主党から政権を再奪取し、リフレーション政策の考えを採り入れた経済再生政策を実行しはじめました。日銀総裁は金融ウルトラタカ派
消費税と年金・医療・介護費の話をしていますが、ここ最近目立つのは「社会保険料の負担が重すぎるから消費税で公平に負担させた方がいい」とか「社会保険料を抑えるために公的年金や医療費の歳出を削減せよ」という論調です。これは非常に大きな落とし穴があります。 その落とし穴とは社会保険制度の財源問題ばかりに目を奪われてしまうことです。こういうと「えっ?」と思うかも知れませんが、社会保障問題は医療や介護、少子高齢化社会問題の一部分にすぎないのです。日本の場合医療サービスや介護サービスなどといった厚生サービスを受ける費用が社会保険や公費によって大部分を負担してもらえるので、社会保障負担=国民が負担する医療や介護費といった感じに捉えてしまいがちです。私は医療や介護費、あるいは老齢および障害年金などの費用をひと括りして厚生費と呼ぶことにしますが、すべての国民が支払う厚生費の総額=国民厚生費とGDPの比率が少子
ひと月ほど前に「消費税増税で社会保険料負担軽減などという嘘に騙されるな! 」という記事を書きました。これは一部で「消費税の負担よりも社会保険料の負担の方がはるかに重いじゃないか」「消費税の税率は税率5%から8%引き上げまで20年近くもかかったが、その間社会保険料はうなぎ上りで上がってしまったじゃないか」「社会保障財源は消費税で負担した方が広く・薄く分担することになるので国民負担が軽くなる」といったことを言う人たちが増えてきたために釘を刺すつもり書いたものです。 私は「消費税の増税で社会保険料の値下げなんて大甘な発想だ」「税制や社会保障制度の改変をしたところで、国民ひとりひとりの医療費や介護(お金だけではなく、介護そのものの負担や時間も含む)の負担が減るものではない」「大事なことは経済のパイを大きくして、GDPで占める国民医療費や介護費の比率を減らすことだ」と述べました。 しかしながらわが泡
前回の「実はMMTラブ?な財務省・日銀」という記事は、旧い日銀理論とMMTは同じ穴の狢だという話をしました。片や財政規律一辺倒主義で、片や極端な財政拡大論者と正反対の主張をしているかに見えますが、両者とも金利と民間企業の経営活動や雇用との連関を軽視しており、財政政策で国の経済を統治できると信じ込んでいるのです。両方とも政官主導の国家社会主義的な経済観です。今回は別の視点から両者の批判をします。 MMTの代表的論客であるステファニー・ケルトン教授は、財政赤字の増大と金利の関係をめぐってポール・クルーグマン教授と論争を交わしましたが、このときケルトンは「 日本はここではかなり良い例となっていますが、負債比率はいつか300パーセントに達する可能性があります。その間、日本銀行が設定するところで金利は正しく設定されており、政府はその主要な赤字を容易に支えています。」と反論しています。 和訳参照 主流
前回は80年代からはじまった日本の投機バブルのことについて書きました。この投機バブルは製造業等向けの資金需要が飽和状態になりかけていた銀行が融資先を株ないしは不動産への投機へと向けてしまったことや、企業が証券会社とツルんで自社株を吊り上げ、資金をタダ・・・・いや熨斗つきで調達するような財テクが元凶で起きたことです。 このように株や土地を転がしてマネーをどんどん膨張させることはいびつ極まりない行為です。証券会社は「絶対に損はさせません!損失が出てもウチが補填します!」などという口約束や名刺の裏書きまでして強引に株を売ってきました。銀行も不動産投機に対する融資割合が増加していきます。(20%近くも) そうした投機行為に歯止めをかけるため1989年末に大蔵省が「証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」という通達を出し、さらに1990年3月27日銀行に対して不動産融資総量規制の通
自分はYahoo!ブログ時代からMMT(現代貨幣理論)についての批判を繰り返してきました。この理論は金利と民間企業の投資および雇用の関係や生産・供給側(サプライサイド)を軽視し、財政政策に偏重し過ぎる欠陥があるという問題を抱えています。一応MMTerは「目標のインフレ値になったら財政拡大をやめればいい」という話をしていますが、財政拡大を続けても民間企業の投資や一般家計の消費が伸びず、財政赤字だけが膨れ上がってしまうとか、金融政策を活用すれば比較的小さな財政赤字でも同様の政策効果が得られるはずなのに、それを軽視して余分な財政赤字をつくってしまう可能性があります。MMTerにとっては財政赤字を出すのは当然のことであり、その分国民の資産が殖えるからいいということなのでしょうが。 上 ポール・クルーグマン教授によるMMT論客のひとりであるステファニー・ケルトン教授への批判記事とそこで用いたグラフ
前回の記事「”シロクマ””シロトン”と化した黒田日銀総裁 」において、吉田繁治氏が書いた「銀行は既に危機状態、銀行赤字→国債経済崩壊に至るか?」という記事のリンクを貼っておきました。 この記事によれば ・日本の地銀は円国債の金利がマイナスからゼロ、民間への貸し出しが平均金利0.76%という超低金利状態であるために、105行のうち半分が、2期連続で本業が赤字になっている。 ・銀行が本業の赤字を埋めるために、低い価格で買った国債を高い価格で売って含み益を得ていたが、これも、マイナス金利~ゼロ金利のおかげで、国債価格が高止まりし、2018年以降は含み益はなく、益出しにならなくなってしまった。 ・2016年導入のマイナス金利は金融機関にとって大きな打撃で、国債の売買による益出しが薄くなるどころか、損するまでになってしまった。 ということのようです。 吉田氏のような人はアベノミクスはじめた(日銀の国
前に書いた記事「変節したアベノミクスと再びまわり始める日本経済の終末時計の針 」で次のようなことを書きました。 ”金融政策側についても、日銀・黒田東彦総裁はすっかり財務省の役人の地金が出てきて、ナマクラな態度をとっています。よくて「消費税10%増税を認めたのだから、追加緩和してやるか」と儀礼的に追加緩和、悪ければ何もしないといったところでしょう。” ここ最近のニュースを読むとどうやら悪い方の予想が当たってしまいつつあります。 gendai.ismedia.jp さらにこんな記事を書いている人までいます。 news.yahoo.co.jp 最低ですね。 前々から私は黒田総裁のことを「ダンガンロンパ」に登場するモノクマみたいな人だと評してきました。 「ダンガンロンパ」とは逆ですが、経済マニアの間で”シロ”とはリーマンショックで民間企業が投資や雇用を大幅に縮小し、ひどい不況に喘いでいるにも関わら
2012年末の政権発足以来、私は第2次以降の安倍政権が目玉政策として採り入れてきた異次元の金融緩和政策を軸とする経済再生政策アベノミクスをこれまで支持し続けてきました。 このブログの「デフレと失われた20年 」カテゴリーに書かせていただいたとおり、1990年代からずっと日本は金融政策を軽視し続け、その結果資本主義経済の原動力というべき民間企業の経営活動や雇用を萎縮させる一方でした。当然多くの勤労者たちの所得や生活は不安定になり、漸減しつづけます。 「バブル退治の鬼平」といわれた三重野康総裁以来、日銀やその背後にいる財務省および銀行をはじめとする金融関係者は金融緩和を渋り続け、1990年代末期にゼロ金利導入やこれまで前例のなかった量的緩和政策といった手を打ったとしても、景気が十分回復しないうちに緩和解除を行って、不景気を慢性化させてしまうという愚策を続けます。 これが白川日銀総裁時代まで続い
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