連載の最終回(第6回)では、中国が世界からどのように評価されているのか、米国の研究機関が公表している情報をベースに述べた上で、アジア経済発展への貢献の観点から、AIIBに対して日本が取り得る選択肢について考えてみたい。 1.日本人の対中感情について近年、感覚的にも日本人の嫌中感情が急速に高まってきたのを感じる。メディアで盛んに報道される尖閣諸島を巡る諍いや、南シナ海問題のような近隣国との領海紛争、紛争地域にある有資源国での開発推進のイメージ等から、中国は世界中で嫌われているに違いないという思い込みが日本人の中で浸透しつつあるのではないだろうか? 2009年に米国に次ぐ世界第2位の経済大国という「心地よい」地位を中国に奪われ、その後も差が年々大きく開いていく一方であるという事実があり、傷つけられたプライドの癒し場所がないことが、嫌中感情が日本人の間に広まるベースにあると想像される。そのような