ネット上に、自閉スペクトラム症の説明は多いから、それにまたひとつ教科書的な話を付け加えることはあまり役に立たないかも知れない。しかし、自閉スペクトラム症を認知神経心理学の側面から臨床的に解説しているネット上のテキストはあまり見かけないので、その話をしてみよう。 自閉スペクトラム症の認知神経心理学研究と言えば、なんと言ってもウタ・フリスである。日本語に翻訳されている著書では、「自閉症の謎を解き明かす」と「自閉症とアスペルガー症候群」が有名だが、どちらも版元品切れなので入手が難しいかも知れない。”Autism: A Very Short Introduction ” はコンパクトにまとまっていて、英語版なら容易に手に入るので、英語があまり苦にならない読者はぜひ読んでみて欲しい。(日本語版は「ウタ・フリスの自閉症入門」神尾・華園訳 中央法規出版(版元品切)) フリスは、神経心理学の立場から、自閉