まるでトリュフォーのデビュー作『大人は判ってくれない』のアントワーヌ・ドワネル(ジャン=ピエール・レオー)を見ている時のような気持ちにさせられる本だった。「アントワーヌ、それをやっちゃ絶対に良くないことが起こる」とハラハラしていると、案の定、最悪の事態になってしまうのだ。しかし、アントワーヌはまだ10代の子どもである。ここに描かれているのは、10代の時もあるが(まあ悪さばっかりしている)20代、30代、40代……と十分に大人であるはずのジョン・ルーリーなのだ。それなのに……。 ラウンジ・リザーズというバンドのリーダーとして、また映画俳優として1980年代後半〜1990年代には世界中にファンがいた、そしてファッション・リーダー的な存在でもあったジョン・ルーリーだが、この本『The History of Bones John Lurie Memoir』を読めば失意の連続の人生であったことが分か