戦争犯罪人の処罰に際しては、処罰に先立って裁判が必要であることは第二次世界大戦前であっても常識であり、国際慣習法となっていました。 しかし、"実は国際慣習法でなかった"、"全然「審問」(聞取り)しないことが国際慣習法で禁じられていただけだ"、という主張があることを最近知りました。 1. 立作太郎『戦時国際法』を発端に 立作太郎(たち・さくたろう、国際法)は、著書『戦時国際法論』の中で次のように述べています。 凡そ戦時重罪人〔戦争犯罪人〕は、軍事裁判所又は其他の交戦国の任意に定むる裁判所に於て審問すべきものである。然れども全然審問を行はずして処罰を為すことは、現時の国際慣習法規上禁ぜらるる所と認めねばならぬ。 立作太郎『戦時国際法』(日本評論社, 191年)49頁 つまり、条約で明記はされていなものの、全て戦争犯罪人は交戦国が任意に定める裁判所で審理すべきものである。しかし、任意とはいえ、形