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猫
shinjiyoshikawa.hatenablog.com
お題「#買って良かった2020 」 2年前にメキシコのオパール鉱山を訪れたとき、試しに買っておいたルース(裸石)を机のひきだしから取り出したのは4月のことでした。 今住んでいるメキシコは、世界に3カ月ほど遅れて、コロナウィルス感染が徐々に拡大し始め、ロックダウンとはいかないまでも、極力家にいなさい、スーパーや食品関連企業、医療機関以外はほとんど閉めなさいと政府からお達しが出ました。 そのとき、頭に浮かんだのは以前にオーダーメイドジュエリーを作ってもらった銀細工を得意とするデザイナーのお店のことでした。当然彼女が持つ3つのお店はすべて一時的に閉じなくてはなりません。メキシコシティでも立地のよいショップたちはおそらく賃料もばかにならないでしょう。 僕は才能あふれる職人やデザイナーが好きで、いつも支援したいと思っていたのですかさず、連絡を取り、もし時間があるのならオパールのペンダントトップをメキ
山道では誰ともすれ違わなかった。 一時間も歩き回っていたら、エバーグリーン牧場にいつの間にか戻っていた。途中、何度も「ほら見て家だよ」とチェペは教えてくれた。だけど、結局ステファニーが言っていた「丘から見える村の美しい景色」らしきものは見当たらなかった。でも牧場の外の様子が分かったので満足だった。僕はお礼を言い、二百ペソ(千二百円)を渡して兄弟と別れた。決して安い金額ではないが、僕はステファニーに聞いていた金額をそのまま渡した。 ステファニーは仲介料を取らない。よそ者の外国人が牧場を運営しているのだから、少しでも地元の村人に還元しようという姿勢がこんなところからも伝わってくる。 とうもろこしが聖なるものに見えてきた 部屋に戻ると共有キッチンの床に、デイビッドの荷物がごろごろと置かれていた。実はその日、以前からクリスマスを過ごしに来る予定だった、ステファニーたちの大親友マットが泊まりに来る。
納屋風小屋の外ではよく犬たちが寝そべったり、僕を待ち構えたりしている 日が暮れる前にシャワーを浴びたいとステファニーに伝えると、さっきのボイラーに薪をくべ、お湯を沸かしてくれた。シャワールームは人ひとりがやっと入れるぐらいの小さなスペースだが、肌寒い気候には熱が逃げなくてちょうどいい。 シャワーヘッドから出てくるお湯は熱く、霧のように細かく強く噴き出した。すぐにいっぱいに湯気が立ち込め、まるでサウナみたいになった。だけど、素朴な造りの木造シャワールームは当然ながら、扉1枚が頭の高さと膝の下ぐらいまでを隠すように脱衣場との間を仕切っているだけだ。だから冷気が上から下から入り込んでくる。急いで身体と頭を洗い流すと、バスタオルをかぶって短パン、Tシャツ、ビーチサンダル姿で僕の部屋に駆け込んだ。 ジーンズと新しいシャツを着て、やっと僕が泊まる部屋でベッドに腰を落ち着けることができた。朝からずっと移
エバーグリーン牧場には馬が14頭いるだけではなかった ステファニーは民宿でいうところの女将だ。 客が来たら泊まる場所に案内し、食事を作り、会計や予約の受け付けもする。そして当然家族の面倒も見るから、ゲストは毎回家族と一緒に食事をすることになる。 ところで、どうしてフランス人の彼女がこんなメキシコ南東部の奥地にいるかを簡単に説明すると、メキシコを旅していて、この土地が気に入ったから住み着いたということになる。フランスの生活もいいけれど、小さい頃から自然の中にいるのが大好きだった彼女には、この土地の生活がしっくり来たのだ。そしてアメリカ人のサムエルと出会い、7年前から牧場を運営し、ゲストを迎えるようになった。 一方だんなのサムエルは、メキシコに来る前からずっとアメリカで馬にかかわる仕事をしてきた。牧場や競馬用の馬の調教や世話をいろいろなところでやってきた。そしてメキシコ各地を13年間転々とした
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