米原万里著「真昼の星空」(中央公論新社)を読みました。 読売新聞の日曜版に連載(1998年6月~2001年3月)されたエッセイを単行本化したものです。 「真昼の星空」(写真上)は 著者が少女であった時に読んだ女流詩人オリガ・ベルゴリツの本の題名から借用したもので 「現実には存在するのに 多くの人の目には見えないものがある。 目に見える現実の裏にまぎれもないもう一つの現実がある」ことを比喩したものです。 米原万里のエッセイには たくみなユーモアの中に「真昼の星空:目に見える現実の裏に控えるもう一つの現実」について読者の意表をついて指摘するものが多く 「真昼の星」という本の題名は当を得たものと思いました。 目に見える現実の裏に控えるもう一つの現実を示す一例として 著者は本の中で ロシアの小咄に出てくる「没個性的な日本人」について次の如く紹介しています。 「理想的な人間とは どんな人のことを言う