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掃除・片付け
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これはかなりの力作で、凄い本であると思いました。 スターリンの極東戦略 1941-1950:インテリジェンスと安全保障認識 作者:河西陽平 慶應義塾大学出版会 Amazon 随所に、これまでにない新たな知見がちりばめられており、東アジアの近現代史、1945年前後の国際関係史に関心を持つものに取って必見の本であると思う。 本書は、帯に書いてあるとおり、スターリン率いるソ連は、極東情勢の変容をどのように認識し、いかなる軍事・外交戦略を採用するに至ったのかを、近年公開されたロシア語資料を中心に使って論じるものである。 主に使用しているのはロシア語資料や研究であるが、巻末の文献目録を見ると驚くのは、中国語圏の研究やドイツ語までフォローしていることである。和田春樹を例外とすれば、ここまで多言語をフォローをしている研究は、世界でもほとんどないと言っても良いだろう。 大まかに二つの部分に分かれている。
成田空港にて 3月20日から23日にかけて、韓国釜山に行ってきた。家族旅行である。 初日午前に、成田空港から、釜山金海国際空港に着く。 まずは、手持ちの日本円をウォンに換えようと思ったら、なんと、どこそこ銀行の窓口があるわけでなく、パスポートをスキャンできるATMのような機械で換金できた。それに先ず驚いた。 次いで、空港から宿の釜山の東横インに向かう。そのため、タクシーに乗る。タクシーは電気自動車であり、あちこちがタッチパネルなだけでなく、おまけにサイドミラーがカメラになっており、車中に小さなディスプレイが横に配置されているのにも驚いてしまった。 東横インは、ハングルが全くできない自分にとって、スタッフが日本語を話してくれるだけでだいぶリラックスできた。あと、朝食は韓国風のものもあり、大変に良かったと思う。 東横インにて 二日目は、多くの世界遺産がある慶州に向かった。午前中は、石窟庵と仏国
台湾から無事に東京の家に帰ってきた。 ほぼ15年ぶりぐらいの台湾で、変わってなくて素晴らしいものもあり、変わってて素晴らしいものもあり、大変に良い滞在であった。 何となく書こうと思っていたけど、日記に書かなかったことを、ここでまとめて置こう。 ○悠遊卡について 台湾のSuicaともいうべき悠遊卡であるが、十年以上前のものが使えて、大変に驚いた。今回も交通にコンビニの買い物、果ては国家発展委員会檔案管理局のコピー代に使えて大変に便利であった。 ○LINE Pay、及び電子決済周りについて 事前に調べたところ、台湾ではAppleIDとLINE Payが結構、使えると言うことであったが、それは割と事実であった。LINE Payは、コンビニ以外の場所、飲食店や本屋で使えて大変に助かった(なぜかコンビニだけは使えなかった)。他方で、AppleIDはコンビニで使えることが分かり、現金以外の選択肢も、だ
明日の早朝に日本に帰るので、実質、今日が台湾滞在の最終日である。長いと思っていたが終わるとあっという間という、大変に陳腐な感想をやはり持ってしまう。 中央研究院からバス2本を乗り継いで、2時間ぐらいかかったであろうか、国家発展委員会檔案管理局に行く。台湾の国立公文書館とも言うべき組織であろう。 展示のスペースは、驚くほど小さいが、閲覧室は割と広くて大変に新しくて綺麗であった。 国民政府の外交部と国防部の資料を見る。どちらも国民政府の資料であるが、なかなか興味深いものであった。前者に関してはすでに、デジタル化を終えているためか、備え付けのパソコンで見ることができた。パソコンには事前に申請した自分の名前のフォルダがあり、そこにデジタル化された資料が全て入っていた。 少し驚いたのが、大きな机にはパソコンと並ぶ形で、大きな備え付けのカメラがあることであった。国防部の資料については、原本が出され、コ
日曜日に、機動戦士ガンダム 水星の魔女が、無事に完結した。 g-witch.net 完成度としては、今世紀に入ったガンダムの中では出色の出来と評価することはできるだろう。それはTwitterでの盛り上がりをみれば、容易に分かる。そして、何だかんだ言いながら、それに付き合って面白く見た自分もいたのである。とは言え、何かこの流れに「乗れない」、五月蠅いガンダムファンとのしての自分もいるのである。そのあたりの違和感を文字にしてみたい。 水星の魔女を最初に見た時の印象は、ガンダムというもはや前世紀の物語を、何としても現代的な物語として、打ち出そうとする意欲的な作品であった。まず、何よりも主人公が女性であり、ある種のポリティカルコレクトネスなガンダムとさえ言えるようなキャラクター配置や描写で大いに期待して見続けていた。そして、ある部分では、リフレインするかのように、「メタ」的にガンダムの「呪い」とあ
大変に興味深く勉強になった本であった。現代中国の基層社会における党政府組織がどのような働きをしているのかを知るのにとても重要な情報を提供している。しかも、記述は分かりやすく大変に論旨が分かりやすい。良書であると思う。 中国共産党 世界最強の組織 1億党員の入党・教育から活動まで (星海社 e-SHINSHO) 作者:西村晋 講談社 Amazon まず、本書では、日本ではなじみのない、中国独特の「群衆」と「基層」という用語を次のように定義している。 中国で群衆とは社会を構成する大部分の人々を意味します。群衆が生活する場であるとともに、党が群衆と交流する重要な場となるのが、中国社会の基礎である「基層」です と、簡にして要を得た文で綴る。そして、本書のキータームとなる「基層」という単語を次のように記す 政治・社会用語としての基層は、ロワー・下級・基盤・土台・足下、といった意味合いを持ちます。「(
中央档案馆开放一批毛泽东文稿档案 - 中华人民共和国国家档案局 これはひょっとすると凄いニュースかもしれない。最初、このニュースを見た時にそう思った。 過去に、中国の档案館について、こんな文章を書いた事がある。胡錦濤政権から習近平政権へと移った時期だ。ただ、自分が書いたものながら、胡錦濤政権の延長上に習近平政権を捉えていた事がよく分かる文章だと思う。 中国国家档案局・中央档案館の最近の動向 http://www.archives.go.jp/publication/archives/wp-content/uploads/2015/03/acv_52_p42.pdf この文章の最後で、僕は中国における档案の公開について、かなり楽観的な見方を示している。率直に言って、その後の中国の現実によってこの見通しは、「はずれた」と思っていた。 ところがこのニュースである。ご存じのとおり、中央档案館は、主
過日、著者の小野寺史郎さんから御献本頂きました。ありがとうございました。 戦後日本の中国観 アジアと近代をめぐる葛藤 (中公選書) 作者:小野寺史郎 中央公論新社 Amazon で、早速に読みました。以下に述べるように大変に勉強になった良書であることは間違いないのだが、何というかこれまで体験したことない、不思議な読書体験でもあった。 それは何故かというと、本書の著者、小野寺史郎さんと単に面識があるだけでなく、レベルが違うことは間違いないが、自分の中国研究体験と彼の中国研究体験が、相当程度重なっているというからである。「あとがき」にもあるが、第5章は、小野寺さんの研究生活の中で体験したり見聞きしたりしたことを元に構成されている部分があるとしている部分であるが、それは僕が体験したり見聞きしたりしたことでもあるからだ。それゆえ、第5章は自分がほとんど出てこないのに、まるで自分がいるかのような不思
読んだのは結構前なんですが、やっと時間ができたので、ここで今の感想を備忘録的に書いておきます。 中国共産党の歴史 作者:高橋 伸夫 慶應義塾大学出版会 Amazon 中国共産党の百年ということで、最近、多くの中国共産党に関する著作がでているが、前回に紹介した石川禎浩さんの本と並んで、共産党の設立から現在に至るまでを描いた重要な著作となるのが本書であるだろう。 本書は、冒頭に、如何にして共産党の百年を描くのは難しいのかをまず描いている。 それは単に百年という歴史の長さだけでなく、本家本元の中国においては政治と不可分である上に、ほとんど極限まで細分化され、あらゆる時期、あらゆる人物、あらゆる事件についてそれぞれ山のように多くの専門家が控えている。そのため、中国において共産党の誕生から現在までを一人で論じようとする学者はいないだろう、と言っているのはおそらく正しいだろう。 実際、今のところ、一人
もう皆さんご存じなのかもしれませんが、僕は昨日に気づいて大変に驚いたので、備忘録的に記しておきます。 中国大陸における近現代資料のデータベースである「抗日戦争と近代日中関係文献データベース(抗日戦争与近代中日関係文献数拠平台)」は、2017年から一般公開されている。 その昔、このウェブサイトで、『東北日報』や『中央日報』が無料で、しかもオンラインで読めるようになったので大変に吃驚した。昔、出身大学でせっせとノートを取って読んだ記憶が蘇った。 最近、また新しい資料がアップされたみたいなので、久しぶりにアクセスすると結構沢山の資料がアクセスできて驚いた。 www.modernhistory.org.cn 例えば、「哈尔滨」と入力して検索すると多くの資料がっ。 そして、最初に出てきたのは、『城市的接管与社会改造——哈尔滨卷」だ 。 国共内戦から人民共和国成立期の研究に非常に有用な「城市的接管与社
本書を読んだ時、この分野のマイルストーンとなるべき研究書であり、今後、日中戦争期を研究するであろう多くの人々にとって必読の書となるであろうと思った。 本書は、日中戦争後に国民政府や中国共産党から「漢奸」と呼ばれて批判された人々、すなわち日中戦争における対日協力者達の政治構想に焦点をあてて論じるものである。しかも、取り上げられる人物は汪精衛などを除けば、決して有名ではない人たちである。僕も率直に言ってこの本で名前を初めて知った人達だらけである。孫文や蒋介石、そして毛沢東のような大物政治家ならいざしらず、そんな人達の政治構想や思想を知ったところで何になるのか、著者はこうした発想そのものを、大きく問うているような気がしてならない。 良いのか悪いのかはさておき、僕が思うに中国近現代史の進展とは「主体性」発見の道のりであったとも思っている。いささか説明が必要であろう。大昔、中国近現代史とは、毛沢東思
日本を含めた世界各国と軋轢を起こす一党独裁の国、中国。 その背後には、何があるのか、それを中華思想や世界制覇の野心があると安易に論ずるのではなく、できるかぎり内在的にその論理を解明しようとする。こうした姿勢は大変に共感を覚えるし、はっとするような興味深い洞察を多くもたらしていると評価できる。興味深い中国論になっていると思われる。 冒頭の現代中国人の世界観や中華人民共和国以降の外交政策を論じた部分は、興味深く読んだ。そして、本書の白眉となるのが、いささか個別的ではあるが、広西チワン族自治区を取り上げる第5章と、国家海洋局をとり挙げた第6章になる。この事例は、中国は確かに一党独裁国家であるかもしれないが、それは決して一枚岩であることを意味するのではなく、いろいろなパワープレーヤーのぶつかり合いで一見矛盾するような政策が表れていることを明らかにしており、大変に興味深いものとなっている。 とは言え
友人の中国研究者(歴史の人が多いですが)に会うと、たいてい聞いている質問がある。「最近、中国行っている?」「中国、どうだった?」と言うものだ。 人よりも中国については詳しいつもりであるが、しかし、香港を除けば、ここ数年中国大陸に行っていない。中国に留学していたのは、すでに20年ほど前である。ここからは年寄りの話になるが、当時留学していた長春から、旅行で行った北朝鮮国境付近の延辺まで、12時間ほど電車に揺られていた。ゴミも電車の床に捨て放題で、時々掃除の人がやってきて一遍に掃除していたのをよく覚えている。しかし、高速鉄道の出現によってこうした体験はすでに中国人でさえ過去のものとなった。 そして、本書のテーマとなる監視カメラ・ビックデータ・スマホ・アプリ・信用スコア等々、断片的にはニュース等で見るが、そこで何が起こっているのか、もやもやしつつ、全く中国の変化に全く追いつけていない僕であり、その
さて、覚え書きは続く。 まず、表題の資料について、中村元哉さんが、『現代中国の起源を探る 史料ハンドブック』で以下のように記している。 この『中共重要歴史文献資料彙編』は身元不明の出版社から発行されているだけに、収録されている史料の信憑性には疑問符がつく。それでも、この史料集は文革期も含めて中央レベルの政策文書、とりわけ軍関係の文書を膨大にカバーしており、研究者が数百冊にも及ぶ同史料集を検索のツールとして利用しない手はないだろう (中略)一例を挙げれば、21集に収録されている『1949年以来中共内部党刊資料専彙』全120冊、22集に収録されている『50年代後期”反右派”和”反右傾”運動歴史資料専彙』全11冊などは、一度確認しておくべき史料である。(5頁) なるほど。と言うか、うーむ、やっぱり有名な資料集だったのね。 現代中国の起源を探る 史料ハンドブック (中国21) 作者: 中村元哉,大
各位 めっきり暑くなってきたような昨今ですが、皆様いかがおすごしでしょうか。 さて、第11回の戦後「満洲」史研究会を2007年7月21日(土)に以下の要領にて開催します。 みなさまふるってご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。 記 第11回 戦後「満洲」史研究会 日時:2007年7月21日(土) 16:00〜18:00 会場:早稲田大学アジア太平洋研究センター609号室 ※前回と教室が異なっております 【報告】 報告者:細谷亨(横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士課程) 報告タイトル:「『満洲』農業移民の社会的基盤と家族〜長野県農村を事例に〜」 【参考文献】 ・満州移民史研究会編『日本帝国主義下の満州移民』(龍渓書舎、1976年) ・高橋泰隆『昭和戦前期の農村と満州移民』(吉川弘文館、1997年) ・斉藤俊江「下伊那地域における満洲移民の
もう2週間も前になるが、オリバー・ストーン監督がフィデル・カストロをインタビューするという聞くだに濃そうな『コマンダンテ』なる映画を見ました。 見終わった感想としては、自分のキューバ革命であったり冷戦史の知識の少なさを痛感しました。 見ているととても面白そうな証言があるのだが、本当に面白いのかどうかは、僕の知識では今ひとつピンと来なかった。 とは言え、カストロはインタビューを受けながらも、いちいち芝居がかった仕草としゃべりをし、それが妙に魅力的に見えてしまう。やはりたいした政治家だなぁという凡庸な感想をもちました。 それにしても、現在でもカストロが「革命未だならず、同志たちなお努力せよ」(かなり意訳)と言っていたのは、非常に印象的でした。
小谷賢『日本軍のインテリジェンス』(講談社メチエ、2007年)、読了。本書は、日本軍の情報収集活動とそれがどのように生かされたのかを論じるもの。大まかな論旨としては、次の通りとなる。 まず、陸軍と海軍の情報収集活動についてそれぞれ論ずる。そこで興味深いのは、陸軍の情報収集能力の高さである。例えば、陸軍はアメリカの外交電報を日米開戦前にすでに解読していた事実などは面白い(イギリスやドイツでさえできなかったという)。しかし、陸軍の情報収集活動の対象はあくまでもソ連であり、アメリカの暗号解読はあくまでも余技にすぎなかったとも位置づけられている。そして、日本全体の情報活動の位置づけとも通底するのだが、「作戦」と「情報」が対等の位置づけになく、しばしば後者が前者ために従属する構図が生じていた。他方、海軍の情報収集活動があまり十分でなく、その情報に対する意識の低さを論じているところも面白い。 そして、
誠にありがとうございます。勉強させて頂きます。 中国企業史研究の成果と課題―日本・中国(大陸)・香港・台湾・欧米での研究動向 作者: 中国企業史研究会出版社/メーカー: 汲古書院発売日: 2007/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 日本・中国(大陸)・香港・台湾・欧米での中国企業史研究の動向整理です。中国経済史を志す学生・院生にとっては必携の文献かと思います。 銃後の中国社会―日中戦争下の総動員と農村 作者: 笹川裕史,奥村哲出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/05/29メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る 日本側の総力戦体制を扱った研究は枚挙にいとまはありませんが、同書は中国側の総力戦体制のあり方を四川省を対象にヴィヴィッドに描こうとした野心作と思います。きちんとした資料的な裏付けのある研究書であり
だいぶ参加者も固まってきた感のあるこの研究会、派手に盛り上がったりもしないが、今よりも悪くはならなさそうな感じがだいぶ良くなってきました(自己満足かもしれませんが)。何はともあれ、継続は力なりと心に銘記しております。 今回の報告は次の通りです。 報告者:朴敬玉(一橋大学大学院 社会学研究科) 報告タイトル:「1920年代の中国東北地域における稲作農業の展開」 1920年代の稲作業の発展と、それに大きく関連した朝鮮人による東北移民の実証研究報告でした。この時期の朝鮮人がどのような形態で移民し、それは他地域への移民とどう違うのか、その経営形態なども大変に勉強になった。また米がこの時期に品種改良によって、東北で生産され始め、地主から見ても非常に珍しかったというのも、当たり前といえば当たり前でありますがちょっと面白かった。ひょっとすると食文化という面からも考察可能かと感じた フロアーからは、データ
メモメモ。ちょっと古いニュースであるが、『産経新聞』5月23日記事に、「西安事変の謎 蒋介石日記で判明」なる記事が出ていた。記事によれば、先月より1932年から1945年分の蒋介石の日記がスタンフォード大学のフーバー研究所にて公開の模様です。 で、同日の『産経新聞』に「蒋介石日記 第二部」が開始されていた(web上では記事が見あたらなかった)。第一部の存在すら知らなかった俺。第一回目の末尾には「新たに公開された蒋介石日記(1932〜1945年)から日中戦争やカイロ会談、終戦後の新たな対立など興味深い記述について紹介する」と。面白そうかも。「訒小平秘録」も挫折した僕にとっては、早く単行本化していただけると大変に助かります。 あと、『総統蒋公大事長編初稿』や『事略稿本』、今回、フーバーで公開されている『蒋介石日記』などの史料的位置づけをきちんと論じた論文などがあれば、読んでみたいなぁなどとは思
報告者:金美花(明治大学兼任講師) 報告タイトル:「満洲国崩壊後の延辺社会の変動」 あいにくの雨と中国現代史研究会と重なってしまったためか、普段よりも参加者はやや少なかった。その分、マニアックな、密度の濃い議論となり、司会をやっておりながら、思いっきり時間を延長をしてしまいました。報告は、戦後内戦期における延辺の社会変動、特に土地改革を中心とする動員が社会にどのような影響を与えたのかを論じるものでした。精力的な史料調査と聞き取り調査をもとにした多くの事実の発掘が、個人的に興味深く感じました(そうした一面は、例えば、金美花「満洲国崩壊後の延辺朝鮮自治州の土地改革」『東アジア研究』第36号、2003年にも見られる)。 中国共産党の土地改革と言えば、田中恭子さんの『土地と権力』という巨壁が、10年以上にわたって学界にそびえ立っている現状が続いておりますが、それを民族という要素からも考え直すことも
友人の研究者の℡より、自分の論文の中国語訳が、『中共党史資料』2007年第1期に掲載されていることを聞き驚く。喬君という方が、去年、発表した拙稿「戦後内戦期における中国共産党の東北支配と対ソ交易」(『歴史学研究』第814号、2006年5月)を翻訳し、『中共党史資料』が掲載してくれた模様です。 「模様」と書いたのは、一応、著者である私に何の連絡も無かったもので・・・。 とは言え、僕の論文を読んでくれただけ無く、わざわざ翻訳する労をとって頂いた喬君さん、本当にありがとうございます。あと、掲載してくれた『中共党史資料』にも感謝します。 その後、さらに友人より掲載紙のコピーを受けとる。うれしさの余り、さっそくスキャンをしてしまう。
昨年末に某所より「短文」を書いて欲しいと頼まれ、前から関心のあった中国の歴史教科書問題について書きました。しかし、相手先の事情もあって、この「短文」は「没」となりました。 少し手を加えて、どこかに持ち込もうかとも思いましたが、本文で言及している教科書を未だに入手しておらず、このような問題について実際の教科書を読むことなく「論ずる」のはやはり問題であろうと思い、没にしました。未完成のメモという形で、記載しておきます。 この問題は、おそらくまた議論になると思いますので、引き続きウォッチしていこうと思っております。その時にまた追記するかもしれません。 以下、本文。 中国の歴史教科書はどこに行く? 中国の教科書は、国家が作成し各地の学校に使用させる、いわゆる「国定教科書」ではないということをご存じであろうか?2005年に中国で反日デモが起こった際、その原因は中国の「国定教科書」の「反日」的な記述の
ちらほら出始めて来ました。僕も早く読み終えないと。 矢吹晋「書評『周恩来秘録』」『週刊読書人』2007.03.30 http://www25.big.or.jp/~yabuki/2007/gao-wenqian.jpg 「信頼性に富む伝記」と高い評価です。傅高義=エズラ・ヴォーゲルは知らなかった。勉強になります。あと「注釈が上下巻逆に付されているのはまことに不便であり、理解に苦しむ本作りだ」と。前のエントリーにも書きましたが激しく同意。 近現代日中関係 大澤武司研究室 http://www.din.or.jp/~osawa/ 2007年3月25日のエントリー。 戦後東アジア国際政治を研究されている大澤武司さんのブログです。周恩来の政治行動をパターン化しすぎなのでは、という指摘は重要かと思います。 野村進「書評 周恩来秘録 上・下 [著]高文謙」『朝日新聞』2007年03月25日 http:
今日は燃え尽きてゴロゴロしながら、高文謙『周恩来秘録』を読み始める。ちょうど文化大革命の勃発前まで読む。これはなかなか面白い。 例えば、毛沢東が遵義会議で党の指導的な地位を獲得したという「定説」を退けている点や、毛が王明を抑え党内で主導権を握る際に、ミフの失脚とディミトロフの支持が非常に重要であったという点などはさすがに最新の研究成果を踏まえていると思われる(例えば、楊奎松『毛沢東与莫斯科的恩恩怨怨(毛沢東とモスクワの恩讐)』)。 筆者がもともと中国共産党党中央文献室にいたこともあって、初見の非常に興味深い史料がいくつも紹介されている。この点が本書の見所の一つであろう。 読んだところで特に印象に残っているのは、延安整風運動時期の周恩来の自己批判の部分で、非常に生々しく、何とも言えない重さを感じた。注釈を見ると、「周恩来の党中央政治局会議における発言要点、1943年11月13日、手書き」とあ
中に入っていたしおり。ワロタ。 絶対に狙っているとしか思えん。 レーニン (光文社古典新訳文庫) 作者: レフ・トロツキー,森田成也出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/03/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (20件) を見る
えらい久しぶりにアジア経済研究所に行きました。幕張に移転して立地はやや不便になったものの、資料は開架式となり、セルフコピー(1枚10円)もできるようになって、改善されたなぁと思うことしきりです。移転前は職員によるコピーのみで、おまけに1枚50円かかり、びっくりするぐらいのお金をアジア経済研究所に払った記憶があります。 目当ての資料をさっさとコピーして、その後、開架資料からいくつかの資料に目を通す。「満洲国」協和会の機関誌『協和運動』に興味深い資料があったので、いくつかの記事をコピーする。 その後、OAZOの丸善に立ち寄る。以下の書籍を購入。気づくと皆、文庫本。雪だるま式に増えていく「積読」。 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫) 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1991/08/01メディア: 文庫購入:
いただきもの。西村成雄さん、上田貴子さん、小都晶子さん、ありがとうございます。 まだ目次しか確認しておりませぬが、「満洲」の実態もさることながら、その「記憶」「語られ方」を問題とする論考が多く収録されており、新たな「満洲国」・「中国近代東北地域史」研究の方向性を感じられそうです。じっくりと勉強させて頂きます。 満洲―記憶と歴史 作者: 山本有造出版社/メーカー: 京都大学学術出版会発売日: 2007/03メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る
買いました。歴史家のはしくれの悲しい習性で、解説と脚註から目を通しました。著者が、もともと中国共産党党中央文献研究室に勤務していたこともあって(現在はアメリカに亡命し研究活動を続ける)、僕などがどうやっても見られなさそうな党内文献をふんだんに使っている模様です(例えば、周恩来の手書き書簡や当事者へのインタビュー)。内容も期待できそうです。 訳者でもある上村幸治さんの解説で驚いたのは、以下の箇所。 高氏は党中央文献研究室の室務委員を務めた。この委員は現在80人いて、指導者の資料の整理をし、党史作成の準備を続けている。 (下巻、352頁) 80人!何というか中国共産党の「党史」に対する力の入れようを見たようで今更ながら驚きました。 ちなみに、発売されたばかりの『文芸春秋』2007年4月号で高文謙さんと上村幸治さんの対談が掲載されております。 そこでも、 〔引用者注:高文謙さんの発言〕私のいた周
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