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tofubeatsのアルバム『FANTASY CLUB』は、紛れもなく今年リリースされた最も優れたアルバムの1枚だ。21世紀の主流となった、ビートを中心に組み立てられたポップ・ミュージック、その日本でのありようとして欠点を探すのが難しい。そのうえでこのサイトでのレヴューゆえ、ヒップホップ特有の形式と美学を規範として聞いてみると、ヒップホップの“スタイル”との問題が表れてくる。それぞれのジャンルとtofubeatsの作る音楽との衝突がそこにはっきり響いている。 「SHOPPINGMALL」を聞いてみよう。音楽を愛しているtofubeatsはこうしたジャンルの約束事があるのを知っているが、なかったかのように振る舞いもすると知ることができる。 ヒップホップだけではない。CDをくるむアートワークから出発するなら、ある程度まで日本の1980年代から発展した並行世界のような“club”で鳴り響く音楽と
『EverydayIsFlyday』は青春の音楽だ。まずその点で突き抜けている。若いころにしか書けない歌詞、作れない音楽というものがある。若さゆえの傍若無人さや野放図さ、怖いもの知らずの突破力、大志や大いなる夢を抱く力、楽しさと気持ち良さをとことん追い求める力、それらがあわさると何か得体の知れない、奇妙だけれどとてつもなくエネルギッシュな音楽が生まれる。 DUDEからRyugo Ishidaに改名して5月に発表したこのデビュー・アルバムはそんな新世代による2016年のジャパニーズ・トラップ・ミュージックの快作である。9月からはApple Musicでも購入できるようになった。今年の6月には2015年までに発表したEPをまとめた『1993』という作品集もフリーで出している。本作のプロデューサーのAutomaticのインタヴューによれば、いわゆるボツ曲が大量にあったというから彼の刹那主義的なリ
“またも最高傑作を更新した最新アルバム” そう書かれたアルバム紹介文に、「えっ?本当に?「雨降りの日曜」(『胎動』1998年 収録)も「マイクロフォンコントローラー」(『COMPLETED TUNING』2014年 収録)も超えるなんてあり得るの?」と、散々ポップや帯で安売りされてきた”最高傑作”という言葉に少々懐疑的な気持ちになりながらも『風光る』を聴いた。結論から言おう、これはLIBROの“最高傑作”だ。 世代も、属する世界も異なって見えるMCやDJが、LIBROという一人の人間を通じ繋がり、1枚のアルバムが作り上げられている。『COMPLETED TUNING』も客演は多かった。しかしあのアルバムは、LIBROのラッパーとしてのアルバムというより、プロデューサー的立ち位置でリリースされたアルバムという方が正しいだろう。今作では、漢 a.k.a. GAMI、ポチョムキン、DJ BAKU
アウトローのロマンの論理的帰結に従えば、最後にはアウトローは死ぬ必要がある。死んでいくその姿に、まばゆいばかりの栄光があれば最高だ。生きつづけることは一種の失敗なのであって、アウトローの人生は、文字どおりのデッド・エンドを迎える。ヒップスターと重なる部分はあるにしても、アウトローはヒップへと至る途中の移行的段階の存在と見たほうがよい。(中略)アウトローは悲劇としてのみ成功するのに対し、ヒップは生きつづけることで成長するのだ。 ジョン・リーランド『ヒップ――アメリカにおけるかっこよさの系譜学』(篠儀直子+松井領明訳) 「殺せるものなら二度殺せ」――CDの帯にはそう書かれている。死生観は昨年リリースした『DIRT』からKOHHのひとつの主題となった。トラップ/ドリル・ミュージックとミクスチャー・ロックをかけあわせた本作収録の「Die Young」でKOHHは、ジミヘンやカート・コベーンという若
グッドを強調するのは、それだけその背後におびただしい数の手に負えないバッドがあるということだ。バッドを忘れるためにグッドになる。バッドを打ち消すためにグッドな気分になる。バッドな状況を打開するためにグッドへと向かう。現実があまりにもシビアだからリラックスしようと自己と他者に呼びかける。 ここ数年クラブ・ミュージックやヒップホップ、あるいはシティ・ポップと呼ばれる音楽の中でメロウと形容される甘いテイストが流行っている現象もせめて音に浸っている間だけはバッドを忘れたいという逃避的な気分によるものかもしれない。みんなチルアウトを求めているのだ。 全国の私鉄で駅員や乗務員に対する暴力行為が10年ちょっと前から比べると、3倍近く増加しているというニュースをみた。7割が酒に酔っぱらっていたという。単なるモラルの問題とは思えない。殴った方も殴られた方も気持ちのやり場がない。悲惨な話だ。そんな時にある言葉
かっこよく、オシャレで、クールである。この最もシンプルな魅力がラッパー、IOと彼が所属するクルー/グループ、KANDYTOWNの強みである。2016年の東京のヒップホップの今のひとつを知りたければ、IOのこの作品を聴き、ライヴに足を運ぶことを勧めたい。音とことばとファッションと身振りで「クールとは何か?」という問いに答えを出そうとしているのが、現在25歳のIOという色男である。IOとKANDYTOWNへのファンや音楽、ファッション関係のメディアからの熱いまなざしは、彼らの話し方、歩き方、服の着こなし方、表情にも向けられている。リーボックは「Reebok CLASSIC」のCMにKANDYTOWNを起用している。その映像でKANDYTOWNは、昭和の風情を残す映画館や喫茶店や商店街や銭湯を舞台に颯爽と振る舞い、郷愁を誘いながら現在のクールネスをみせつける。このレトロ感覚は、IOのデビュー・ア
Best Songs of 2018 - 鈴木正義W&Sでは日本のヒップホップ/ラップミュージックに絞ってレビューをアップしていますが、今回はその縛りを外し、2018年リリースの曲からジャンルをまたいで10曲選んでみました。 01. Tierra whack「Black Nails」 1曲1分という短さ、トラップとの距離感、トラック/ビート、ラップ、MV全てがツボ!アール・スウェットシャツとソランジュがレッドブルのラジオ番組で「Fruit Salad」をかけてふたりで楽しそうに聴いてたのも最高でした。EP通して聴いてもたったの15分で終わっちゃうので未聴の方はぜひ。 Keep reading
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