昭和49年9月1日、「狛江市猪方地先の多摩川堤防が決壊」の一報がマスコミを通じて日本全国に伝えられた。 昭和49年9月1日、「狛江市猪方地先の多摩川堤防が決壊」の一報がマスコミを通じて日本全国に伝えられた。翌日未明、全国の人々が見守る中、被災状況がテレビの画面に映し出された。長年の蓄積が実り、やっとの思いで建設したマイホームが、それも建設したばかりのものが、瞬時にして次から次へと濁流の中に消えていく様子であった。「おとなしい」「安全な」川として、近郊の人々に親しまれてきた多摩川が突如として、その隠された牙をむいた。 中心気圧960ミリバール、中心付近の最大風速40メートルの大型台風16号の接近に伴い、発達した雨雲が関東地方に停滞し、激しい降雨にみまわれたのは前日の8月31日のことであった。 小河内を中心とする多摩川上流に記録的な豪雨が断続的に襲い、多摩川は増水を続けた。市では、9月1日