20世紀が生み出した人類史の中でも最大級のモンスターといえばアドルフ・ヒトラーであり、彼が生み出したのがファシズム(全体主義)という悪夢であることは間違いない。だが1930年代の世界は、なぜヒトラーの扇動に乗ってファシズムへの道を突き進んでいったのか? ヒトラー政権誕生の理由を、当時のドイツが置かれていた社会的政治的状況に求める説明は多いが、本当にそれだけが理由なのか? ヒトラーや第三帝国という反面教師を得た20世紀後半の世界は、もはやファシズムの時代に逆戻りしてしまうことは有り得ないのだろうか? そんな疑問に答えようとするのが、この映画だ。 物語は実話に基づいている。1967年、アメリカの高校でロン・ジョーンズという歴史教師が、授業の一環として生徒たちとファシズムの再現実験を行った。それは単純なスローガンとルールを掲げて、教室の中に全体主義的な統制社会を生み出すこと。この運動は「ザ・サー