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パリ五輪
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砂漠の<アーティスト>――ミッチ・カリンに会う ミッチ・カリンは、米国の南の国境地帯から彗星のように現れてきた<新人>作家である。 まだ日本語の翻訳がないので、参考までに巻末に原語のタイトルを挙げておくが、それを見 ても分かるように、三十歳を過ぎてのデビューなので遅咲きの大器といえるかもしれない。 かれは一九六八年にニューメキシコ州に生まれ、現在はアリゾナ州のツーソンに住んで いるという。いま机の上に米国の地図を広げてみよう。そして、それを上下左右に四つの 地域に区切ってみると、ニューメキシコ州もアリゾナ州も左下の部分にくる。そこは通常、 <南西部(ルビ:サウスウェスト)>を呼ばれ、荒涼とした砂漠の多い土地だ。 いや、待て。「荒涼」などと形容するのは、砂漠を知らない都会人の思いあがりかもしれな い。というのも、エドワード・アビーや吉増剛造ら<砂漠人>の書物を繙きさえすれば、か れら一流の想
高橋源一郎とポルノグラフィー 越川芳明 「エッチ」ではなく 村上春樹の語り手たち(たいていが一人称の「僕」だが)の口癖が「いやはや」や「やれやれ」といった、人生への諦観をほのめかす間投詞だとすると、高橋源一郎の語り手たちがよくもらす言葉は何だろう。 一時、「知識人」を意味するドイツ語をもじって「インテリゲンちゃん」と呼ばれたことがあるにもかかわらず、それは意外とお下劣な「おまんこ」である。 たとえば、地下鉄の車掌が「ただいま迷惑行為がありましたのでしばらく停車します」などと、「痴漢」を「迷惑」とやんわり言い換えたり、たいていの日本人がセックスとか性交という言葉を使わずに、「アレ」とか「エッチ」とか、婉曲的に表現しようとする言語慣習に浸っている中で、語り手たちがときたま発する「おまんこ」という単語はキョーレツに響く。 曖昧さを尊ぶ日本の精神風土に対して、このたった一個の名詞が「手投げ爆弾」の
消えた講義メモ イタロ・カルヴィーノ『カルヴィーノの文学講義――新たな千年紀のための六つのメモ』 (朝日新聞社刊 ) 越川芳明 「利害をはなれた読書のなかでこそ、私たちは「自分だけ」のものになる本に出会うことができる。私の知人に美術史家がいて、その人は目ざましい読書家だが、これまでに読んだ書物のなかでもっとも深く愛着をおぼえる本として、ディケンズの『ピクウィック倶楽部』をえらび、あらゆる機会にこの本から引用し、人生のあらゆる出来事を、ピクウィックからとったエピソードに照らし合せて考える。時が経つにつれて、彼自身が、彼の宇宙が、彼にとっての真の哲学が『ピクウィック倶楽部』のかたちを装うようになり、すべてがディケンズの本そっくりになってしまっている……」 文学が人生を模倣(ミメシス)するのではなくて、人生が本を模倣(コピー)するという、はなはだ倒錯的ともブッキッシュともいえる思想を読者に
高橋源一郎氏特別講義レポート 詩と小説---我、ついに詩人となりぬ 地方競馬の危機 2003年度の特別講義は、高橋源一郎氏を招いておこなわれた。テーマは「詩と小説――我、ついに詩人となりぬ」。明治にあらわれた高橋氏の長髪痩身の姿は、本の折りかえしの著者近影や日曜の競馬番組をとおして私たちが知っているとおり。越川芳明先生による紹介がつづくあいだずっとうつむきかげんのその姿はとてもクールで、会場の6割以上が女性というのもなんとなくうなずけた。近くは学部生、筑波大をはじめとする他大学、そして遠くはコロンビア大学からの客人も来ているということで、その注目度の高さがうかがわれる。 つい先日盛岡に行った、と高橋氏は思いのほか低くてよく通る声で話しはじめる。「岩手県競馬の未来を考える」というフォーラムに出席されたのだそうだ。いきなり競馬の話がはじまったからといって気をゆるめてはいけない。いかにも雑談
新しいエチカに向けて 鷲田 清一インタビュー(聞き手:豊郷 博) 0 鷲田清一氏のプロフィール 1 めいわくかけてありがとう 2 Philosophy to the People 3 ホスピタリティ――弱いものに従う自由 4 概念を崩すこと 5 新しい文体へ向けて 初出:『ネイチャー・インターフェイス』創刊3号 http://www.natureinterface.co.jp (C)Kiyokazu Washida 鷲田清一関連リンク 人気作家・田口ランディとの対談 「立ち直りたいんなら、やっぱりSMでしょ」 http://www.shobunsha.co.jp/html/tyosya/tyosya-09-1.html 鷲田清一先生のお仕事 http://bun70.let.osaka-u.ac.jp/washida.html
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