『太平洋の小さな島国ナウル共和国は、この数週間にわたり電話通信ネットワークの故障などで、海外との交信が全く遮断されている。この孤立化の中で、今は誰が大統領なのか、島がどうなっているのか、誰にもさっぱり分からない・・・・』。こんなニュースがBBCから流れたのは、2003年2月21日である。これがアメリカやオーストラリアを中心とする、ある種マニアックの人々の間でたちまち注目された。 国連にも加盟する一国家が丸ごと不明になってしまったというニュースだから、実際はたいそう深刻な話である。しかし、“南洋の島々”というイメージは、どこかユーモラスで深刻さがストレートに伝わってこない。「国が忽然と姿を消すとは、前代未聞のミステリー!」「だれもアクセスできない孤島国家のロマン」「アフガニスタン難民に国ごと乗っ取られている?」「誰かナウルを知らないか?」と、いずれも職場や学校でのおもしろ話や茶飲み話のネタを