サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
買ってよかったもの
www.newsweekjapan.jp/rebelpepper
中国経済の飛躍は2001年のWTO(世界貿易機関)加盟後に始まった。時のアメリカ大統領ビル・クリントンは連邦議会の議員を説得するため、こう語ったものだ。曰く、中国のWTO加盟を助けることは中国経済の開放だけでなく、人権問題の改善と政治の自由化に役立つ、と。当時、中国の首相だった朱鎔基はWTO加盟のためさまざまな約束を承諾したが、その実共産党は約束を果たすつもりはさらさらなかった。朱鎔基はその著書『朱鎔基講話実録』の中で、WTO加盟4カ月後の講演で地方官僚に対して、外国勢力による西洋化と中国の分裂の企てを防ぐよう注意喚起していたことを明かしている。 中国はWTOに加盟して15年、その利益を享受し尽くす一方で、規則を守る態度を示してこなかった。中国の加入後WTOの訴訟件数は急増したが、その大多数は中国が原因で引き起こされたものだ。WTOには厳しい罰則規定がないという構造欠陥がある。規則に違反し
中国の習近平国家主席は9月25日前後にアメリカを訪問する。ホワイトハウスでは建物の南に位置する広場「サウスローン」で歓迎式典が行われる予定だ。 中国国内で、習近平は反汚職キャンペーンという「金棒」で政敵を叩き潰すだけでなく、党中央に新設した「財政経済指導小組」など10数個の小組トップを自ら兼務。政府機構は骨抜きになり、7人の政治局常務委員による協力と分担は彼の独断に取って代わられた。 「法治」も落第だ。浦志強弁護士や高瑜記者の逮捕など人権活動家に対する弾圧が加速しており、7月にはさらに大規模な弁護士拘束事件も発生。多くの人たちがいまだに釈放されていない。習近平の反汚職キャンペーンは法的手続きをまったく無視して続いており、腐敗幹部に対して共産党は「家法」である「双規(編集部注:共産党内部で法律に基づかず人身の自由を制限し、隔離・審査する制度)」を使って捜査・拘束を続けている。そして反汚職キャ
9月3日、北京で抗日戦争と反ファシスト戦争勝利70周年を記念した軍事パレードが行われるが、今回のパレードはまったく普通ではない。パレードを極めて重要視している共産党政府は、当日の北京を青空と白い雲の好天にするため、北京市と天津市、河北省、山西省、内モンゴル自治区、河南省と山東省の7省・直轄市の1万を超える工場に生産停止・生産制限を命じ、9000余りの工事現場の工事を停止させた。農家の「かま」での煮炊きによる排煙すら禁じた場所もある。北京市ではナンバーに基づく車両の通行制限も続く。 共産党政府は治安維持にも相当敏感になっていて、地下鉄では最高レベルの警戒を実施。公衆トイレに行くにも実名登録が必要になった。百万人近いボランティアを治安要員として動員されているが、あきれることに事前に決まっていたかなりの数の文芸イベントや新書の発表会、展覧会までが中止に追い込まれた。 しかしパレードの準備が進んで
今回の漫画は、中国浙江省で1年余り続く大規模な十字架の破壊活動についてのものだ。 現在の浙江省トップである党委員会書記の夏宝龍(シア・パオロン)は習近平(シー・チンピン)の政治的盟友で、多くの政治アナリストが浙江省でのこの破壊活動と習が関係あると見ている。同省温州市のシンボル的建築物である有名な三江教会は4月28日、「違法建築」を理由に夏の命令で強制撤去されたが、それ以前から浙江省のほかの地域で教会の十字架を破壊する活動は続いていた。三江教会が壊された後、大規模な十字架破壊活動は本格化。キリスト教徒たちは一貫して抵抗したが、多くの信者が十字架を守ろうとして警察に打ちのめされた。 統計によれば、浙江省全省で1500の教会の十字架が破壊され、中には火を付けて焼き払われたものもあったという。しかし浙江省の数百万人の信徒は屈服せず、十字架を大量に自作した。壊したければ壊せばいい、無法な戦いを続ける
中国の人権派弁護士が最近、共産党政府によって計画的かつ大規模に拘束された。これは歴史的な事件だ。ウィキペディアの中国語版にはすでに『中國710「維權律師」大抓捕事件』の名前で項目が立っている。 「710」は2015年7月10日、つまり政府が全国で弁護士拘束に乗り出した日を指している。7月25日午後10時の段階で、少なくとも225人の弁護士あるいは弁護士事務所の関係者が拘束、失踪、警察の事情聴取、短期間の行動の自由の制限を受け、その範囲は23の省・直轄市に及ぶ。 この大拘束劇の最初の犠牲者は王宇弁護士一家だ。7月9日未明、数十人の警察官が麻薬捜査の名目で王宇の家に踏み込み、この後彼女は行方不明になった。彼女の夫である包龍軍弁護士はオーストラリア留学に出発する息子の付き添いに行ったはずだったが、王宇の友人が空港関係者から聞いたところによれば、2人は出国しなかった。 その後、王宇の息子は釈放され
上昇傾向が続いていた上海総合株価指数は特に今年の3月11日以降、過去7年で最高となる値を連続して記録し、1日当たりの取引額も歴史的な数字を叩き出していた。人民日報などの官製メディアは楽観的に「官製強気市場」を吹聴。中国経済そのものの不景気な状態が1年あまり続いていたので、株式市場の「逆行」ぶりは共産党政権が自信を保つための「かなめ」の役割を果たした。この点について、人民日報は隠し立てもせず、自信をもってこう書いていた。「強気市場は発展に対する確信を強めるための『ガソリンスタンド』である。『新常態(ニューノーマル)』な経済発展では成長率のスローダウンは当然であり、いちいち騒ぎ立てる必要はない」 中国の実体経済はすでにかなり減速しており、ピークを過ぎた不動産市場に代わり、爆発的に上昇を続ける株式市場があらゆる人の関心を引きつけていた。多くの経済学者は中国人が株取引に熱狂する様子を心配し、中国の
「普通選挙」実現をめぐる香港行政長官選挙の制度改革法案は今月18日、香港議会で実に劇的に否決された。中国共産党がコントロールする「建制派」は、法が定める投票者数に足りないことで流会に持ち込もうとしたが、思いがけず彼らは数学が苦手だったらしい。33人が議場を離れたが一部に連絡を忘れ、議場に残った同派議員を加えることで流会は回避された。共産党の陰謀は実現せず、その失敗ぶりは相当みっともなかった。 正常な国家では、1つの法案が通過しなければ失敗した方は内容を検討し直し、再び社会を説得する準備をするものだ。だが共産党当局の態度はとても奇妙だった。共産党系メディアはまさに怒り狂ったという形容がぴったり様子で、みっともない言葉を使いながら反対派の「独断専行」を指弾した。彼らを「永遠の罪人」とののしり、反対派が香港の民主主義の発展を阻害した全責任を負う、とまで非難した。 この手の文化大革命方式の激しい言
今回、長江でフェリー沈没事故が発生した後、共産党政府はいつも通りの手慣れたやり口を繰り出した。それはこんな風だ。 中央宣伝部が限られた中央メディア以外の各省・市レベルの取材と報道を一律禁止/事故現場への道に検問所を設け、乗客の家族や記者が近づくのを禁止/現場に着いた家族はバラバラに分けられたうえで監視され、外に出る時は尾行が付き、家族同士が連携を取ったり、外国メディアと接触するのも禁止......。 ネット上で大量の「ネット水軍(編集部注:政府寄りの書き込みをするネット要員)」とネットボランティアが政府に疑問を呈する声を攻撃し、あらゆるメディアの論調は共産党政府の強調する「正能量(編集部注:プラスエネルギー、人に活力を与え、前向きに行動させる言葉や事象)」になった。その結果「中国人に生まれて、これ以上の幸せはあるだろうか」「4日と3晩、あのわれわれが感動した瞬間」「救援最前線、中国のイケメ
中国の有名弁護士である浦志強は、89年の天安門事件で広場でのハンストに参加した1人だ。彼はかつて、さまざまな事件の調査に参加し、何度も中国の警察に逮捕された。去年の天安門事件記念日の1カ月前の夜、25周年を迎えた事件の検討会に参加して再度逮捕されたが、共産党政府は彼に当てはめることのできるぴったりの罪名を見つけるため、再三にわたって起訴を延期し、1年後になって北京市人民検察院がようやく、マイクロブログの微博で民族間の恨みを煽り、他人を侮辱し、社会秩序を破壊した――という罪名で彼を起訴した。 近年、私が見るところでは共産党当局は弁護士と記者に打撃を与えるため、「宣伝マシン」をフル稼働。人民が彼らに対してマイナスのイメージを持つよう中傷し、ひどい場合は逮捕して刑務所にぶち込んでいる。中国は記者の拘束数が最も多い国家だが、きっと弁護士の拘束数も最多ではないだろうか。アメリカや日本のような民主国家
昨年以来、中国は領有権で争いのある南シナ海の南沙諸島の6つの岩礁を次々と埋め立て、6つの島にしてしまった。フィリピンのアキノ大統領は5月、中国が「南シナ海行動宣言」に違反していると指摘。この行動が問題を複雑化し、地域の平和と安定に影響を与えている、と批判した。 1940年代、中華民国は一方的に南シナ海にいわゆる「九段線」(編集部注:当初は十一段線)を策定。国際的に認められないこの海の国境線は、49年以降共産党政府によって引き継がれ、彼らは一貫して南シナ海周辺国が呼び掛ける国際機関での仲裁を拒否し続けている。 今年の4月以降、アメリカのシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)が公表した写真によって、中国がこの地域で海を埋め立て島を造るプロジェクトを加速させていることが明らかになった。一部の島では滑走路まで造られている。共産党政府の大規模でスピードの速い行動について、中国のネット愛国青年たち
最近、中国メディアのある文章が中国人読者たちの目をひきつけた。タイトルは「日本の中国侵略の動かぬ証拠~安倍晋三の祖父の軍刀を暴く」だ。 この軍刀はもともと、北京市内の高校で今月開かれた抗日戦争勝利70周年記念展の中で展示されたものだ。展示されたのは、岸のほか伊藤博文、東条英機などの軍刀108本。岸信介のものとされる軍刀にはいわゆる春画が刻まれており、共産党系メディアはこれを大いに笑いものにした。たくさんのブログもこういった官製メディアの記事を転載して、岸と軍刀を嘲笑した。 ただ、この問題に潜む問題を中国のネットユーザーは見逃さなかった。軍事オタクたちが、あいついで矛盾点を指摘したのだ。「岸信介は文官だから軍刀を持てないはずだ」「岸の文官としての経歴から見て、中国に財物を置いたまま帰国することはないだろう」......。 私は今回の展示品を提供した人物についても非常に興味を持った。調べると、
中国政府が設立を提案したアジア投資インフラ銀行(AIIB)は、全世界で大きな反響を巻き起こした。今のところ51カ国が参加を表明しているが(台湾、香港を入れると53の国と地域)、その中にはイギリスやフランス、ドイツ、イタリア、さらに韓国といったアメリカの同盟国も含まれる。 アメリカの猛烈な反対にもかかわらず、AIIBに加盟申請したのはこれらの国だけでない。台湾も自分の価値を安売りすることをいとわず、AIIBに加盟する意思を表明した。今やアメリカと共に踏みとどまっているのは日本だけだ。 経済的メリットだけに気を取られ、その設立提案国である中国とその他の世界の間に存在する大きな価値観の違い、そして中国の抱える様々な矛盾を無視してこの強権国家の側に立つことは、共産党政権の正統性を強化し、その寿命を長らえ、民主化の実現を遠ざけるだけだ。 加盟表明した国に対して私は非常に失望を覚える。共産党政権と取引
中国で風刺マンガ家として活躍していた「激辛トウガラシ」こと王立銘氏(42)は、辛辣な政府批判の漫画で人気を集めていましたが、次第に当局からさまざまな圧力をかけられるようになり、昨年夏に日本に「亡命」しました。王氏は言論弾圧が続く中国に帰国せず、当面は日本からさまざまな形で情報発信する考えです。今なお国内では建前しか語れない中国人の「本音」はどこにあるのか。王氏の辛口な風刺マンガを通じて、日本メディアの報じない「本当の中国」を紹介していきます。(編集部) 中国共産党の機関紙、人民日報のソーシャルメディアWechat(微信)公式アカウントは今年1月26日、「中国は今年、なぜ軍事パレードを行うのか」という文章をフォロワーに向けて発信した。体制側メディアが一番最初に軍事パレードについて言及した文章で、国慶節(建国記念日)以外で大規模な軍事パレードを行うのは初めてであり、さらに極めて大きい政治的な意
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『www.newsweekjapan.jp』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く