寄席の舞台を高座(こうざ)と呼びます。語源は寺院、説教所で説教師が着く「講座」にあり、聴衆のいる平座より高く設けられたところから「高座」と書くようになりました。文化四年に、講釈師の初代伊東燕晋の徳川家康の偉業を読む尊厳を理由にした出願を寺社奉行が許可して、三尺×六尺という畳一枚分の固定したものを高座と呼ぶようになりました。 舞台式の高座が定着したのは江戸末期です。寄席の場合落語という話芸が主体ですので、背景に絵を書いたり、小道具を置いたりするということはありません。つまり噺の中の情景はお客様が自由に想って頂くと いうことです。この高座でちょっとした逸話があります。 昭和48年3月に、皇后陛下古希の祝賀の余興として、六代目三遊亭圓生が御前口演をいたしました。その時に高座が両陛下より低い高さであったところ、圓生恐る恐る宮内庁の役人に「落語の演技は動作を含め全体が芸になっておりますので、もしお許