昔話をしようと思う。 私が一番ヲタクだった頃の話。人生で一番アイドルにお金と時間を費やしていた頃の話。 当時の推しのことはこれまでずっと"元推し"と表現していたが、便宜上Aくんと呼ぶことにする。Aくんの正体は親しい友人以外に明らかにする気はない。 Aくんと初めて出会った時、彼はまだ練習生だった。練習生とはオーディションやスカウトを通じて芸能事務所に所属したのち、歌やダンスのレッスンを受けながらデビューを目指すアイドルの卵。ジャニーズでいうところのジャニーズJr.である。 韓国アイドル界ではここ数年練習生を対象とした大型サバイバル番組が続々と放送され、その過程で既にデビューしているアイドルと変わらない、むしろそれ以上の知名度や人気を得た練習生も数多くいる。そのため「練習生ファン」というのも珍しくなくなった。 しかし私がAくんを応援していた頃はまだ練習生と練習生ファンはもっとマイナーというか、