──いよいよ来春、『∀ガンダム』が劇場映画として公開されるわけですが、∀も遠未来のアメリカを舞台にしているということで、まず「∀とアメリカ」みたいなキーワードを出発点にお話をうかがえますか? 富野 今回の同時多発テロの事件がものすごく明解に事態をあぶり出している、と思いますね。アメリカに代表される消費文化と、あらゆる教義が持っている原理主義とのぶつかり合いが、これ以後数百年続くだろうって図式しかないでしょう。これは単なるイスラム圏の問題じゃないんですよ。原理主義がありながら、消費を知ってしまった人たちの汚職、腐敗ってのが凄いらしい……つまり、19世紀までの民族勢力圏という一種のハードウェアから脱却できない人たちの信条に対して、具体的な消費文明は過剰なまでに進んでいて、この両方を調整する手段は、いまの人間の知恵とか情念では生み出せていないんじゃないのか、ってことまで判ってきました。 ここでい