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スケートという魔法 初めてアイススケート場へ行った日を、樋口は今でも覚えている。それは1959年1月15日、小学校4年生で迎えた成人の日だった。 その日彼は家族と共に、水道橋駅のすぐそばにある後楽園アイスパレスに出かけた。白い楕円形のリンクの上にはたくさんの人がいて、冷たい空気の中を軽快な洋楽が流れていた。少し緊張したが、なんだか幸せな気分だった。 受付でずっしりと重いシューズを貸してもらうと、紐の結び方すらよくわからないその奇妙な革製の靴に、樋口は小さな両足を差し入れた。 手すりにつかまり、おそるおそる白い氷の上に乗る。足首と膝ががくがくと揺れる。樋口は勇気を出して手すりから手を離し、一歩足を前に出そうとした。どすん。一歩目で早くも転んだ。なんとか立ち上がって、また一歩足を前に出そうとした。どすん。また転んだ。 何度も何度も転ぶうちに、ほんの数メートルに過ぎないが、ときどき樋口の細く華奢
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