世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党所属議員の接点に関する点検結果の公表を受け、石破茂元幹事長は12日、本紙の取材に応じ「正直者がばかを見るようなことがあってはならない。党として教団との関係を断つことを議員に求めるなら、公益性を検討し、宗教法人法による解散も考えるべきだ」と述べた。主なやりとりは以下の通り。(聞き手・望月衣塑子)
東京電力福島第一原発事故後、関東地方の7都県が事故の影響で必要になった費用として東電に請求した損害賠償額は計325億円に上ったが、そのうち計63億円余の賠償を東電が認めず、支払われていないことが本紙の取材で分かった。専門家は、東電が賠償範囲を決められる仕組みの問題を指摘している。(加藤豊大、鈴木みのり) 事故の影響を受けた都県や市町村などの自治体は東電に対し、臨時職員の人件費▽空間線量計購入費▽風評被害対策PR費—などを請求した。本紙は、このうち関東7都県が請求したものを集計した(市区町村が請求した分は含まず)。東電は、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が賠償基準を定めた「中間指針」や、それを基に東電が独自に示したガイドラインに基づき、賠償に応じるか判断した。 福島第一原発事故の損害賠償 国が2011年8月に定めた損害賠償の基準となる「中間指針」には「賠償されるべき損害として明記され
明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰氏が、ツイッターに「差別主義者」と書かれ名誉を傷つけられたとして、戦史・紛争史研究家山崎雅弘氏に550万円の損害賠償と投稿削除を求めた訴訟で、竹田氏の請求を棄却した二審判決が確定したのを受け、山崎氏が21日、都内で会見し「ひとまず安堵した。裁判で私は被告の立場だったが、判決を読むと、原告の竹田氏を裁いたように感じた」と振り返った。(望月衣塑子) 一、二審判決などによると、山崎氏は2019年11月、富山県朝日町教育委員会が中高生らを対象にした講演会に竹田氏を講師で招くことに「町内の中・高生に自国優越思想の妄想を植え付けさせる」「この人物が教育現場に出してはいけない人権侵害常習犯の差別主義者だとすぐわかる」などと投稿。竹田氏は訴訟で、投稿の削除と550万円の支払いを求めた。 一審東京地裁は21年2月、山崎氏の投稿には相応の根拠があり、竹田氏自身が講演や著書で攻撃的
外国人技能実習生の労働問題をボランティアで支援してきたNPO法人「POSSE(ポッセ)」の若者たちが25日、「技能実習制度廃止プロジェクト」を発足させたと発表した。代表の田所真理子ジェイさん(25)は記者会見で「実習生は現代版の奴隷だ」と強調。労働相談を通じて集めた過酷な実態を広く社会に向けて発信することで、2年以内の廃止を目指す。 技能実習は本来、外国人が日本で技術を学んで母国で役立ててもらう制度だが、実態は劣悪な低賃金労働の温床だとして、米国など国際社会から「外国人搾取」と批判されている。実習生の多くは強制的に帰国させられることにおびえ、低賃金やパワハラといった問題があっても声を上げられない構造的な問題がある。 プロジェクトを始めるきっかけは2020年。ポッセの若者たちが、強制的に帰国させられたカンボジア人元実習生の支援に携わり、制度の問題点を知ったことだった。実習生からの相談はほ
敵基地攻撃能力の保有の是非を最大の焦点に、政府が取り組む外交・防衛政策の長期指針「国家安全保障戦略」改定に向けた議論で、有識者会合の議事録を作成していないことが分かった。要点をまとめた議事概要はあるものの、内部文書扱いで非公表。専守防衛をはじめ、戦後の安全保障政策の大転換につながる検討が透明性を欠いたまま進むことに、専門家は「政府の判断を将来的に検証できるよう記録を残すべきだ」と警鐘を鳴らす。(川田篤志) 岸田文雄首相は昨年12月の所信表明演説で、1年間をかけて国家安保戦略と防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の3文書を改定すると表明。これを受け、政府は与党側で進む議論と並行し、今年に入って2013年の国家安保戦略策定に携わった元幹部官僚らの意見聴取を始めた。 これまでに6回開催し、計21人を招いたが、初回を除いて日程を事前に公表せず、具体的な議論の内容も一切伏せている。毎回、事後に公表して
技能実習生として来日したミャンマー人男性2人が今月、難民認定を申請した。実習先の劣悪な労働環境で体調を崩し帰国させられそうになったが、母国では2月に軍事クーデターが起きて帰れる状況ではなかった。「実習先から逃げて難民の申請をするしか道はなかった」と語る2人の経緯を追った。(山田晃史) 難民認定制度 人種や宗教、政治的意見などを理由に祖国で迫害を受ける恐れがある人を保護する仕組みで、国連の難民条約に基づく。申請した外国人が法務省から認定されると、日本語教育など定住支援を受けられ、就労や国民健康保険の加入もできる。技能実習生ら日本で働く外国人労働者の多くは働ける期間に上限があり、実習終了後に帰国しなければならないが、迫害の恐れがある時は難民制度を利用できる。
2018年11月14日、安倍晋三首相(当時)とプーチン大統領がシンガポールで首脳会談を行い1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を進めることで一致したいわゆる「シンガポール合意」から、まる3年が経過した。安倍氏は「平和条約交渉を仕上げていく決意であります」と強い決意を表明したが、その後も領土交渉は一切行われず、今では取り上げるメディアもない。 日本政府はかたくなに認めないが、客観的に見れば、日本側から交渉の基礎を1993年の「東京宣言」から56年の「日ソ共同宣言」に事実上逆戻りさせる提案を行った事実は、否定的な意味で北方領土交渉の歴史上、深刻な意味をもつ。プーチン氏らは、約20年間かけて執拗に進めてきた東京宣言の死文化を目指す対日戦略がようやく実を結んだとして、自らの強硬路線の正しさに自信を深めたに違いない。 安倍政権は、希望的観測に基づき、歯舞、色丹の2島返還を一気に実現しようと狙ったが、
厚生労働省は18日、東京や大阪、沖縄など40都道府県で、人口10万人当たりの1週間の新規感染者数がステージ4(爆発的感染拡大)相当となったと明らかにした。厚労省に新型コロナウイルス感染症対策を助言する専門家組織も会合を開き、「全国各地で災害レベルの状況にあるとの認識での対応が必要」との分析結果をまとめた。
東京電力福島第一原発の事故収束作業に、新たな高い壁が立ちはだかる。原子力規制委員会の調査チームが26日、2、3号機の原子炉格納容器の上ぶたが極めて高濃度の放射能で汚染されているとする報告書案をまとめた。原子炉や建屋の解体をより難しくさせるレベルで、2041~51年に廃炉を終えるとする政府と東電の計画は見直しが避けられない。(小野沢健太、福岡範行) 左から、上部が大破した1号機、水素爆発を免れた2号機、使用済み核燃料の搬出が進む3号機、核燃料搬出を終えた4号機=福島県大熊町の東京電力福島第一原発で、本社ヘリ「おおづる」から
菅義偉首相が首相官邸で会見を開き、安倍前首相が国会で過去の答弁を訂正したことについて、「国会などにおける前安倍総理の説明が事実と異なっていることが明らかになり、私自身非常に重く受け止めている」と述べた。 菅首相は、官房長官として国会で答弁してきた。「必要に応じては安倍総理に確認しながら国会で答弁してきた」と釈明した上で、事実と異なる答弁になったことは「国民のみなさんに大変申し訳なく思い、改めておわび申し上げる」と謝罪した。 質疑応答で、記者から「安倍氏は説明責任を果たしたと考えるか」と問われると、「安倍前総理は記者会見し、国会の求めに応じて、きょう国会で説明をした。そのことにおいて、説明はされてきたんじゃないでしょうか」と述べる一方で、安倍氏が説明した内容については「テレビ見てませんでした。これからしっかり精査したい」にとどめた。
選択的夫婦別姓を巡り、自民党の下村政調会長(中央)に提言を渡す「『絆』を紡ぐ会」の山谷えり子氏(右)と高市早苗氏=3日、東京・永田町の党本部 選択的夫婦別姓を巡り、自民党の反対派議員による「『絆』を紡ぐ会」が3日、自民党本部で下村博文政調会長と面会し「家族の絆に深く関わる。子どもたちの心への影響を考え、慎重な対応をするべきだ」と求める提言を渡した。 終了後、会の共同代表を務める山谷えり子元拉致問題担当相と高市早苗前総務相が記者団の取材に応じた。下村氏は「困った点や不便なことがあるという声は、きちんと議論する」と述べた。制度導入のための民法改正については「本当に法改正が必要なのかや、タイミングについては別の問題だ」と話した。
朝鮮学校への補助金停止に反対する声明を日弁連などが出したことへ反発する特定のブログの賛同者から二〇一七年、各地の弁護士が計約十三万件もの懲戒請求を受けた問題で、請求を送り付けた人に対する訴訟が各地で続いている。判決の大半は賠償命令で他人を安易におとしめた代償を支払う形になっている。送り付けた人の行為を「人種差別」と厳しく批判した判決もある。 きっかけは、日弁連や各弁護士会が一六年、朝鮮学校への補助金停止に反対する声明を出したことだった。ブログ「余命三年時事日記」が反発して弁護士会役員らの懲戒請求を呼び掛け、読者らが呼応。ある懲戒請求者によると、書類はブログ側が用意し、対象の弁護士名も記入済みだった。署名、押印して指定された住所に送り返すだけ。「簡単だった」という。
優れたテレビ作品などに贈られる文化庁芸術祭賞の昨年度の審査過程で、国連平和維持活動(PKO)を検証したNHKの番組に対し、事務局の文化庁職員が「国を批判するような番組を賞に選ぶのはいかがなものか」といった趣旨の発言をしていたことが、複数の審査委員と文化庁への取材で分かった。南スーダンPKO派遣部隊に安全保障関連法に基づく新任務が付与された直後の時期で、複数の審査委員から「政権を忖度(そんたく)したとも取れる異例の発言だ」と批判の声が上がる。 (土門哲雄) 作品はNHK大阪放送局の「NHKスペシャル ある文民警察官の死~カンボジアPKO23年目の告白」。一九九三年、岡山県警の高田晴行さん=当時(33)=が武装ゲリラに襲撃され死亡した事件を、隊員らの証言や手記などから丹念に検証した。陸上自衛隊が初めて海外派遣されたカンボジアPKOの際に、現地がいかに危険だったかを浮き彫りにした。 芸術祭賞の昨
衆院憲法審査会は二十四日、憲法で国家権力を縛る「立憲主義」などをテーマに議論した。自民党の中谷元氏(与党筆頭幹事)は、二一条の表現の自由に制約を加えている同党の改憲草案について「極めて当然のこと」と、一定の制約が必要との考えを示した。草案の撤回にも応じなかった。 (清水俊介) 現行憲法の二一条は集会、結社、言論の自由を規定。草案は「公益及び公の秩序を害すること」を目的とした活動は認められないと付け加えた。自民党は憲法審の再開に当たり草案を事実上封印すると表明したが、撤回はしていない。 この日の審議で民進党の奥野総一郎氏は、二一条に触れ「精神の自由の尊重は憲法の基本原理。修正を加えることは改正限界を超える」と問題視した。これに対して中谷氏は「オウム真理教に破壊活動防止法が適用できなかった反省を踏まえた」と説明。「公益及び公の秩序を害すること」という表現が「制限を厳しく限定している」として
【ワシントン=金杉貴雄】安倍晋三首相は一日午前(日本時間二日未明)、核物質や核施設の防護・管理強化を話し合う「核安全保障サミット」で演説し、東京電力福島第一原発の事故を踏まえ「日本は二度とあのような事故を起こさないとの決意の下、原子力の平和的利用を再びリードすべく歩み始めた」と原発の再稼働推進を宣言した。事故から五年を経ても収束の道筋が見えない福島第一原発の現状には言及しなかった。 首相は演説で「事故の教訓を原発を導入するすべての国と共有し、安全性や事故対策についての知見を世界に広げることが日本の使命だ」と強調。各国への支援、安全基準に関する国際協力などを積極的に行っていく考えを表明した。 福島第一原発では、現在も放射能汚染水の対策に追われる。福島県では十万人近くが避難生活を送り、放射性物質を含む汚染土を処分するめどもついていない。東電や国から十分な賠償が得られていないとして集団訴訟
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