煙を吐きながら夏の山々の間を力走するSLやまぐち号。地元が整備した撮影ポイント「白井」からの姿は格別だった=島根県津和野町(津和野−船平山,天野健作撮影) 生き物のようにうねりを上げる煙と、黒々とした鉄の車体。鉄道ファンでなくとも、SL(蒸気機関車)はなぜか心を引きつける。JR山口線は今年、SLの復活30周年を迎えた。そんな記念の年にSL乗車初体験。緑いっぱいの山々を縫いながら誇らしげに走るSLと一緒に過ごせた時間はまさに幸せの一言だった。(文・写真 天野健作) 1泊2日のSLの旅は、なんと両日とも雨模様。何とかいい写真を撮らなくてはというプレッシャーのもと、少しでも晴れ間をと祈り続けた。 出発の新山口駅は、梅雨時にもかかわらず、すでに家族連れでいっぱい。今か今かとホームで待ちわびてると、遠くから「ポーッ」と甲高い汽笛音が鳴り響いた。「シュッシュッ」と蒸気の音もお腹に響いてくる。C57系の