幼生から育てられた稚ガニ=水産総合研究センター提供 日本海を代表する冬の味覚・ズワイガニの漁獲を増やそうと、福井県にある研究施設が稚ガニの量産に成功した。深海に生息するため飼育が難しかったが、温度管理やえさの改良に工夫を重ね、3万匹超を生産する技術を確立。来年から5カ年計画で放流を進める。高級食材が身近になる夢に一歩近づいた。 量産に成功したのは「水産総合研究センター・小浜栽培漁業センター」(福井県小浜市)。資源が減っているズワイガニの漁獲回復をめざし、水揚げされた雌ガニを使って、1984年から稚ガニを育てる研究に取り組んできた。 ズワイガニは孵化(ふか)すると、ゾエアと呼ばれる幼生になり、脱皮を繰り返してメガロパ幼生に成長。水深200〜300メートルの深海へ移動し、2カ月余りで稚ガニに育つ。人工的に育てた稚ガニは足を広げると10センチほどの大きさで、漁場付近に放流すれば、カニの