不動産業界の有力者トルド・コルスタッド氏は2年前に母国ノルウェーを離れ、スイスに移住した。富裕層を対象にした増税から逃れるためだ。しかし、その脅威はスイスにも迫りつつある。 スイスでは超富裕層に対する相続税を巡り激しい議論が交わされている。その内容は5000万フラン(約85億4500万円)以上の財産を譲り受けた場合、その半分が税金で引かれるという計画だ。実業界の資産家や富裕層は、現実となった場合はスイスを出ると公然と警告している。 大規模な財政赤字の埋め合わせや公共サービスの財源を確保する手段などとして、富裕層から搾り取ることを考えているのはスイスだけでない。似たような議論は世界中で行われている。そのような措置を取れば富裕層の流出と投資の損失につながると、どの国でも当局に警告する声が上がっている。