なにせ世論からは、コロナ対策が「遅々として進んでいない」と責められ、内閣支持率は急低下する動きを見せていた。秋の総裁選での菅後継候補を公然と話題にする自民党幹部が出始めるなど、菅首相はジワジワと追い込まれていた。「高齢者へのワクチン接種が順調に進むかどうかが、政権のアキレス腱になる」と自民党ベテラン議員は言う。 菅首相は4月27日に岸信夫防衛相を官邸に呼び、自衛隊によるワクチン接種を指示した。ワクチン接種を担ってきた厚労省にも、河野太郎・ワクチン担当相にも寝耳に水だったとされる。菅首相がしびれを切らしたのは、その段階でも3600万人いる高齢者のうち、1回目の接種が終わった人が1%にも満たなかったためだ。菅首相が「何としても7月末までに高齢者への接種を終わらせよ」と指示しても、「無理です」と言ってくる自治体が相次いだ。 「歯科医師による接種」を解禁して、医師会に圧力 もはや、厚労省が通達を出