2週間前、私は「投資依存症」を上梓(じょうし)した。8月以降続く株価の乱高下はバブル崩壊という大地震の前震であり、最悪の場合、いまの投資は9割減価するリスクが高いと警鐘を鳴らす本だ。 本自体の売れ行きは1週間で増刷が決まるなど好調なのだが、驚いたのはネットでの読者評価が5と1に、完全に二極化したことだ。もちろん、1をつけた人の主張は、「これからも右肩上がりの株価が続く」というものだ。気持ちは分からないではない。賃金が上がらず、将来不安が高まるなかで、投資に賭ける以外に希望がないからだ。それに、評論家や政府までもが長期、分散、積立の三原則を守れば、高利回りが期待できると言い続けている。 しかし、米国の一半導体メーカーに過ぎないエヌビディアの時価総額が、日本のGDPに匹敵するところまで値上がりしたこと一つとっても、いまの株価がバブルであることは間違いないだろう。17世紀以降、これまで人類は70