目次 序 1.「帰農思想」の特質 2.アナーキズムと「農本主義」 3.「革命」の「敗北」 4.協同主義と「共同体」 5.石川三四郎の「転向」 3.「革命」の「敗北」 アナーキズムの衰退――それは、世界的潮流に鑑みるならば、すでに一九一七年のロシア十月革命のインパクトによって決定づけられていた。 それ以前、フランスをはじめとした各国の社会主義にあっても、その思潮の中心を占めていたのは、過激なゼネ・ストを武器とするアナルコ・サンディカリストであった。だが、第一次大戦の勃発に際して無力さを露わにしたこの思想は、突如ロシアから聞こえてきた「革命」の歓喜の声によって、その首座から追い払われてしまう(27)。ロシア十月革命以降、「革命」を導いたボルシェヴィストが掲げるマルクス=レーニン主義は、唯一可能な「革命」の思想として世界に受容されていくことになるのである。 日本の社会主義におい