講談社 2010年3月 哲学者の木田元氏に精神科医の計見一雄氏が西洋哲学史について講義を受けるという形の対談形式の本である。 計見氏は精神科医だから、当然“精神”の病気をあつかう。心臓病は心臓の病気、肝臓病は肝臓の病気、では精神病は精神の病気といえるか?、というのが計見氏がもつ問題意識である。そうであるなら、精神というのはどこにあるのか? 脳? 精神病というのが脳の病気なのだとしたら、脳の病気をあつかう部門としては脳外科があり、神経内科もあるではないか。 木田氏は反哲学を唱えている。西洋の正統的な哲学が、自然に反する超越的な原理を中心にすえて展開されてきたことに異を唱え、精神から肉体への回帰ということを言っている。 この二人はめざす方向は、だからある程度、一致しているようにみえる。事実、計見氏は木田氏の哲学論に共感するところが多々あり、計見氏が聞き役と疑問の提示役となってこの対談が成立した
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