二 哲学論文集第四補遺 我々人間は歴史的世界から生まれ、歴史的世界に於て働き、歴史的世界へ死に行く。或いは人間は生物的世界から生まれ、生物的世界へ死んで行くと言うかも知れない。生物的身体的としては、その通りである。しかし我々の自己は単に生物的身体的に生まれるのではない。我々の自己は歴史的社会的に生まれるのである、すなわち歴史的身体的に生まれるのである。生物的世界というのは歴史的世界の外にあるのではない、否、物質的世界といえども、歴史的世界の外にあるのではない。今日の量子力学がこれを証すると思う。この世界は創造的世界であり、我々の自己は創造的世界の創造的要素として生まれるのである。理性というのは、人間の主観的作用ではなくして、歴史的世界の自己形成作用であるのである。民族というのは、固(もと)、単に生物的なるものではない。歴史的世界の形成力でなければならない、歴史的世界の種でなければならない。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く