Wiese IX, 2010 (C) Anne Schwalbe Text: Yu Miyakoshi Translation: Mariko Mizukami, Chie Takada 野の花、草木、鉱石、空、水面 —— アンネ・シュヴァルベが写す、名も無い風景。その写真にわずかでも感銘を受けた人は、写真を見るうち、そこに何か革新的なことが起きている訳ではないという事に気づくと思う。例えばある人は未来への回帰を想い、ある人は緑や土の色に安堵する。アンネの作品集はブックディストリビューター「twelvebooks」が2012年から国内流通を手掛けたことで、気になっていたが、先日そのtwelvebooksの企画により開催された初来日個展「Alles」(東京, 恵比寿 POST/limArt)では、その作品の奥に広がる深淵さに改めて驚かされた。 インタビューの日の朝、展覧会場に現れたアンネは、