最近話題になっている政府貨幣だが、成功事例として導入したいのであれば、やはり過去の成功事例から学ぶ必要があるだろう。すでにこのブログでも紹介した「エンデの遺言」(13分56秒~18分31秒)でも取り上げられている、オーストリア・チロル州のヴェルグル(Wörgl)の事例について、ここでは詳しく紹介したい。 ヴェルグル自体は、もともとはアルプス山脈のふもとにある寒村にしか過ぎなかったが、19世紀中葉にオーストリア西部からウィーンに向けての路線と、当時はオーストリア帝国領だったトリエステから国境を越えてドイツはバイエルンの首都ミュンヘンを結ぶ鉄道路線の交差点になったことから、交通の要衝として栄え始め、繊維工場などがこの地に建設される。1900年当時でも650人程度にしか過ぎなかった人口は1910年時点で4000人以上に増え、各種産業を備えた町として栄えるようになる。 しかし、当然のことながら、こ