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2024年ランキング
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事前の世論調査では大接戦が予想されていた米大統領選はトランプ氏の勝利が即日判明し、同時に行われた連邦議会選挙でも共和党が上下両院で多数派を占め、いわゆるトリプル・レッドに終わった。 2016年もトリプル・レッドであったが、当時との違いは連邦最高裁判所の構成である。16年は最高裁でリベラル派の判事が多数を占めており、トランプ氏が出したムスリム国からの入国禁止などの大統領令は司法によって差し止められた。しかし、その後トランプ氏が3人の保守派の判事を任命したため、現在は保守派が多数派となっている。このため、トランプ氏は絶大な権限を持って大統領に返り咲くことになる。 今回の選挙が大接戦であったことは間違いない。一般投票数でもトランプ氏とハリス氏の差は1.5ポイントほどである(本稿執筆の11月末時点)。激戦州のうち中西部ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州でも差は2ポイント以内である。 出
トヨタに次ぐ世界第2位の自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)グループが電気自動車(EV)販売台数の伸び悩み、価格競争力の低下や中国事業の不振などにより危機に直面している。ドイツ大手企業の苦境は我々にとっても対岸の火事ではない。 深刻さを浮き彫りにしたリストラ計画 2024年9月にVWグループの経営陣が発表したリストラ計画の内容は、同社の従業員だけではなく政府、産業界にも衝撃を与えた。同グループは中核セクション・VW乗用車部門の低利益率を改善するために、国内10カ所の工場の内少なくとも3カ所を閉鎖し、国内で働く約12万人の従業員の内数万人を解雇する方針を打ち出した。 解雇を免れる従業員の賃金も10%カットする。経営側は経費を少なくとも100億ユーロ(1兆6000億円・1ユーロ=160円換算)節約することを目指している。 VWグループは1938年の創業以来、国内工場を閉鎖したことは一度も
韓国の未来は韓国人が決めることなので、われわれ日本人は傍観し、その結果を受け入れるしかないが、戒厳から弾劾に続く一連の過程で、そう呑気に構えられない状況が散見された。 それが、韓国軍の混乱だ。北朝鮮と対峙する韓国軍の混乱は、すなわち日本の安全保障に直結する。そこで本項では、戒厳に際しての韓国軍の動きから、政治と軍隊の関係、日本の安全保障に与える影響について考察していく。 軍が大統領の指示に従わず 非常戒厳にあたって戒厳軍(韓国軍)は、国会と中央選挙管理委員会などに出動した。国会に投入された部隊は、陸軍特殊戦司令部隷下の第707特殊任務団、第1空輸特殊戦旅団、首都防衛司令部隷下の軍事警察任務隊など約280人だ。 中央選管と同研修所、世論調査審議委員会にも297人が投入された。中央選管に投入された部隊の詳細は明らかではないが、北朝鮮の情報収集を担当する国軍情報司令部の要員10人ほども含まれたよ
『「友だちでした。何も言えない」クマに襲われたとみられる遺体、北大生と判明…キャンパスで沈痛な声、水産学部長「志半ばの若い命が失われたことに深い悲しみ」』──。 今年4月に筆者が上梓した拙著『「やさしさ」の免罪符 暴走する被害者意識と「社会正義」』冒頭の記述である。 本の執筆を始めたちょうど1年前のこの時期、クマによる被害人数は環境省が統計を取り始めた2008年度調査以来で過去最悪となっていた。全国統計では11月の暫定値時点で22年(76人)の2.8倍以上の212人、死亡例は22年の3倍となる6人に及んだ。 今年も昨年に続き、日本各地で記録的なクマの出没が相次いでいる。秋田市内のスーパーでは、従業員を襲ったクマが3日にわたって立てこもる事件まで発生した。
ロシア通貨のルーブルは、この秋に米ドルに対して下落を続けていたが、11月の下旬にそれが一気に加速した。ロシア中央銀行が設定する公式レートは、11月1日の時点では1ドル=97.0ルーブルだったが、11月20日に100ルーブルの大台を割り込み、11月29日には109.6ルーブルをつけた。
東北電力の女川原子力発電所の原子炉が2024年11月13日に再び起動された。10月末に13年半以上のブランクを経ての再稼働に動いていたが、11月4日に移動式炉心内計装系の検出器4台のうち1台が途中で動かなくなる事象が発生。原子炉そのものにトラブルがあった訳ではないが、慎重を期して原子炉は一旦停止されていた。 女川原発再稼働を迎え、一部の新聞は否定的な論調を展開してきた。たとえば東京新聞は「震災の地 不安置き去り」と題した社説を掲げ、「6年にわたる長期審査を経て、新規制基準に『適合』となりはしたものの、無論『安全のお墨付き』ではなく、住民の不安は残ったままだ」と被災地住民の不安を強調している。 一方、女川原発が立地する宮城県の地元紙河北新報の社説は「避難への不安、解消に努めよ」と題した。そこでは、地震や水害などに伴って原発事故が発生する複合災害での住民避難についても課題を指摘するものの、「東
首都圏を中心に相次いで発生している「闇バイト」で集められた集団による強盗事件で、実行役とのやり取りに通信アプリSignal(シグナル)が使用されたことが注目を集めている。Signal、Whatsapp、Facebook Messenger、Telegramなどはメッセージングサービスと呼ばれ、インスタントメッセージ、音声通話、ビデオ通話などを実行することができる。 その秘匿性が犯罪者からも評価され、一連の強盗事件に利用されているのだ。Facebook MessengerやTelegramは、携帯電話番号がなくてもユーザー名またはメールアドレスでアカウント作成ができることから、安価に利用できるとして、犯罪者にも好んで使用されてきた。 最近では多少のコストがかかっても、より足がつきにくい海外用の「プリペイドSIMカード」と「SIMフリー端末」を組み合わせたいわゆる「飛ばし携帯」とSignalを
2024年米大統領選は、共和党候補のドナルド・トランプが当選を確実にした。米大統領選は50州とコロンビア特別区(首都ワシントンD.C.)に割り当てられた選挙人の数をめぐって争われることになっており、43の州とコロンビア特別区での勝敗は事前にほぼ明白だったため、残る接戦7州の結果で勝者が決まるとされていた。 大方の予想では、直前に何らかの問題発言や事件等が起こらない限り、接戦州ごとの事情で勝敗が決まり、選挙人票もほぼ互角になって、結果判明までに数日を要する可能性もあるとされていた。だが実際には、7州全てをトランプがとる可能性もあるとされている。 一般投票の数ではあまり大きな差がつかない可能性が高いが、選挙人票の数字を見ればトランプ「圧勝」という印象になるだろう。物議を醸す発言や行動が多く、弾劾裁判も刑事訴追も経験し、勝利した場合には「報復」を行うと宣言している人物の返り咲きを認めるというのが
2024年10月27日の衆議院選挙では、野党のうち、国民民主党が議席を4倍(7から28議席)、れいわ新選組が3倍(3から9議席)、立憲民主党が1.5倍(98から148議席)に議席を伸ばしたが、維新は減少(43から38議席)だった。 比例代表の得票数を21年の前回衆院選と比べると、国民は259万票から617万票で358万票の増加、れいわは221万票から380万票で159万増加、立民は前回の1149万票から1156万票で7万票の増加にしかなっていない。立民の議席の躍進は、むしろ自民党の失敗によるものだろう(自民党の議席は256から191、1991万票から1458万票で533万票の減少)。 すると躍進したのは国民とれいわと言うことになる。なぜそうなったのかを、両者の経済政策から見てみたい。 れいわの政策の財政コストは70兆円以上 まずれいわは、個人消費を活性化させるため、消費税の廃止と季節ごとの
書店はどうネットや図書館と共存していけば良いのか。書店が減っている原因を探りながら、その手だてを模索してみたい。 小型店の淘汰から大型書店の閉店へ 日本出版インフラセンターの調査によれば、2003年度に2万880あった書店の数は23年度に1万918と、この20年でほぼ半減した。 03年度以降の書店数の動きをみると、一貫して減少傾向にあったのは売り場面積300坪未満の小型書店だった。300坪以上の大型書店は少なくとも数年前まで増えていた。 09年度以降は増加ペースが鈍化しているように見えるが、1000坪以上の超大型書店はこの間も増えており、18年度に101店になった。書店数の減少の背後に業種レベルでの大型化があったことがわかる。こうした大型化を反映し、総面積は2000年代を通して拡大していた。 潮目が変わったのは、増えていた大型書店の数が天井を打った18年度だ。以降5年連続して前年を下回って
停戦を望むが、奪った領土は返さない――。10月上旬にロシアの独立系調査機関「レバダ・センター」が公表した世論調査の結果は、そのようなゆがんだロシア人の心情を浮き彫りにしていた。 長期化し、先が見えない戦争への嫌悪感が高まりつつも、領土は返したくないとの思いが背景にある。〝強気〟の考えはまた、自国の経済が制裁にも関わらず好調で、都市部を中心に、生活に余裕があることも理由といえる。 ただ、ロシア経済は国家予算の3割ともいわれる巨額の軍事支出に支えられている。そのような支出は再生産性がなく、新たな経済成長につながる投資でもない。現在の財政構造は、制裁を迂回した原油や天然ガスなど一次産品の輸出が支えるが、社会保障費は圧縮され続けているのが実態で、国民生活に影を落としつつある。 巨額の国防支出で保たれるいびつな経済バランスは、いつかは崩れる。そのときにロシア国民の心情にどのような変化が生まれるか、注
生活保護の報道は、福祉事務所と利用者のいずれかを“悪者”に見立て、徹底的に叩くことで留飲を下げる「生活保護バッシング」の形式をとってきた。しかし、近年、メディアのなかには構造的な問題に踏み込み、生活保護の運用自体を変えていこうと試みるものがある。とりわけ地域ジャーナリズムにおいて、その萌芽がみられる。「新しい生活保護報道」の時代の幕開けである。 地域ジャーナリズムの役割 これまでNHKの報道を軸に「<メディアは生活保護をどう報じてきたか>「利用者」と「公務員」“悪”の対象に揺れた20年間」と「「生活保護バッシング」から見えた「もれなく救う」と「不正受給を防ぐ」のジレンマ 、生活保護制度の理想と現実」という生活保護の報道姿勢の変化をみてきた。そして、最新の報道では、「生活保護制度が内包する構造的問題」を描き出そうとしていることを伝えた。 こうした報道の変化は、ナショナル・メディアであるNHK
【電話の相手はAIだった】ドイツ語訛りまで再現、生成AIによる人工音声が使われた「詐欺」の恐ろしさ 【連載第9回】『生成AI社会』より本文公開 2024年10月、ノーベル物理学賞に続き、化学賞でも人工知能(AI)関連分野の受賞が決まりました。いまや生成AIの登場は社会に大きな変化をもたらし、私たちはその利便性を享受しています。しかしその一方で、「学習型のチャットボットが差別的発言を繰り返す」「採用人事で男性に優位な判定を下す」「著作物を無断で学習データとして読み込む」「偽情報の生成・拡散が簡単に行われる」「膨大なエネルギー消費による環境破壊」など、生成AI社会に潜む倫理的な課題は後を絶ちません。 私たちは生成AI技術を通して、知らず知らずのうちに大規模な搾取に加担してしまっているのでしょうか。また、これからの社会で求められる倫理とはどのようなものなのでしょうか。本コラムでは生成AIが抱える
レプリコンワクチンは臨床試験によりその安全性と有効性が確認され、2023年11月に国が承認した新しい新型コロナワクチンであり、24年10月から定期接種に使用されている。ところが24年8月には日本看護倫理学会がその安全性を疑問視する緊急声明を発表した。 これを見て、「レプリコンワクチン接種者は危険な感染性毒素を呼気から排出する」などの理由で摂種者の立ち入りを禁止する美容院やヨガスタジオが現れ、複数の医療機関までがこれに同調し、SNSはレプリコンワクチンの危険を煽るフェイク情報でにぎわっている。騒動のあまりの拡大に、ワクチン販売元のMeiji Seikaファルマは緊急声明に反論するとともに、新聞各紙の全面広告でフェイク情報に惑わされないよう注意を呼びかけた。このような非科学的な騒動が起こった原因とその影響を考える。 5種類の新型コロナワクチン 最初に、現在承認されている5種類の新型コロナワクチ
ウクライナのゼレンスキー大統領は10月13日、自身のSNSで「ロシアと北朝鮮の結束が強まっている」と述べ、「北朝鮮から武器のみならず、人員も派遣されている」と批判した。そして、翌14日のビデオ演説では、「武器にとどまらず、北朝鮮から占領軍への人の移送も行われている」と、北朝鮮の“参戦”を示唆する発言もした。 ゼレンスキー氏は具体的な根拠を示していないが、同氏の発言に先立って、複数のメディアが「北朝鮮の将校6人が死亡」(4日付、キエフ・ポスト)、「ロシア軍の背後に短距離弾道ミサイルKN-23の管制システムを支援する北朝鮮軍人数十人が存在」(10日付、英ガーディアン)、「北朝鮮の歩兵1万人が、ウクライナ付近の国境地帯への配備とロシア軍との交代に備えてロシア極東で訓練を受けている」(16日付、キエフ・ポスト)など、具体的な情報を報じている。 これら報道が示すように、北朝鮮はロシア側に立ってウクラ
NHKのクローズアップ現代で、生活保護の特集が放映された。物価高騰などを背景に申請数は4年連続増加、利用する世帯は165万を超える。先行きが見えにくい社会で、再び生活保護に注目が集まっている。 「福祉事務所バッシング」と「利用者バッシング」の両極を揺れ動くメディアで、NHKは何を描こうとしたのか。メディアは生活保護をどう報じてきたのか、過去20年の歴史を振り返ってみよう。 NHK「『助けてと言ったのに…』生活保護でいま何が?」 2024年9月18日に放映されたNHKのクローズアップ現代では、「『助けてと言ったのに…』生活保護でいま何が?」というタイトルで特集が組まれた。番組では、制度を運用する自治体で不適切な対応が相次いでいること、理想と現実の狭間で“運用の限界”を迎えていることが報じられた(NHKクローズアップ現代、2024年9月18日)。 生活保護は06年から13年の数年間にメディアで
孤独死は、ことさらにその悲劇性が強調される。多くの場合、周囲に誰もいない淋しい最期として報道され、現代社会の闇のように扱われる。 大原麗子、山口美江、梓みちよ、宍戸錠、野村克也ら多くの著名人が家族から看取られることなく、亡くなった。この人たちは、全盛期は、いつもその人を中心に人だかりができたような華やかな存在だったから、ひとりで旅立ったと聞けば、おのずとそこに哀れさのにおいをかぎとりたくなる。 ただ、忘れてはいけない。孤独死することができる人は、死の直前まで自立していた人だけという事実である。 2000年に世界保健機関(WHO)は、「健康寿命」という概念を提唱している。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を意味し、寿命と健康寿命の差は、健康を失って日常生活に制限が生じている期間を意味する。健康寿命と寿命とがほぼ一致していることが望ましい人生であることは
【「水」枯渇の危機】AI開発で深刻化する水不足、干ばつに苦しむ地域ではデータセンター建設に対する反対運動も 【連載第6回】『生成AI社会』より本文公開 2024年10月、ノーベル物理学賞に続き、化学賞でも人工知能(AI)関連分野の受賞が決まりました。いまや生成AIの登場は社会に大きな変化をもたらし、私たちはその利便性を享受しています。しかしその一方で、「学習型のチャットボットが差別的発言を繰り返す」「採用人事で男性に優位な判定を下す」「著作物を無断で学習データとして読み込む」「偽情報の生成・拡散が簡単に行われる」「膨大なエネルギー消費による環境破壊」など、生成AI社会に潜む倫理的な課題は後を絶ちません。 私たちは生成AI技術を通して、知らず知らずのうちに大規模な搾取に加担してしまっているのでしょうか。また、これからの社会で求められる倫理とはどのようなものなのでしょうか。本コラムでは生成AI
日本で漁獲されるクロマグロの大物といったらどのくらいの重量のマグロを想像されるでしょうか? 日本では大型クロマグロの分類を30キロ以上としています。100キロもあれば大物と思われるのではないでしょうか。 ところが筆者が9月下旬にノルウェーの水揚げ現場で見てきたマグロは、小さくても168キロ、大きいものは396キロもありました。その時水揚げされた尾数は約160尾で平均は何と271キロ!
Economist誌9月7日号が、ミャンマー第二の都市マンダレーを目指す少数民族の連合体Brotherhood Allianceの動き、およびミャンマー内戦への中国の関与の様子を報じている。主要点は次の通り。 9月3日の明け方、マンダレーにロケット砲が着弾した。今年に入って3度目である。 標的は軍の中部地域司令部が置かれている昔の宮殿の敷地である。中国と薄暗い関係を有するBrotherhood Allianceと称する少数民族の連合体のうちの二つのグループが軍事政権との戦いをミャンマー第二の都市マンダレーに拡大する勢いである。砲弾は恐らく中国の設計によるものである。 昨年10月、Brotherhoodを構成するMNDAA(シャン州のコーカン族の武装組織)が北東部のシャン州の中国との国境地帯で攻勢を開始したが、これは中国が陰で糸を引いてやらせたもののようである。MNDAAは国境地帯をたちまち
とある都内在住の大企業勤務の男性(45歳)を取材した時のこと。彼は子どもの教育方針の違いなどで数年前から妻と衝突を繰り返しており、取材当時は2カ月間も家出していた。会社はリモートワークで出社は月に1日程度、寝泊まりしていたのはウィークリーマンションである。 いろいろ話を聞いていると、どうやら彼は、妻に対して気に入らないことがあると家具を蹴るなどの、いわゆる「モラハラ行為」をしていたようだった。しかし彼本人は「妻に話を聞いてもらえない」と、ひたすら家庭内での孤立を嘆いていた。妻の言い分を取材していないので、ここで彼の家庭の状況を論じることは難しい。 ただ、とにかく彼が孤独を深めていることはわかった。彼には悩みを打ち明ける友人も同僚もいないのである(見ず知らずの筆者に内情を打ち明けたのは、利害関係がないからだろう)。ちなみにこの男性は、どこにでもいるごく普通の優しそうな「パパ」なのである。 こ
米共和党超保守派で知られるシンクタンクの過激政策提言が、大統領選でハリス陣営にとっての格好の攻撃材料となっている。トランプ候補自身が間を置かず「知らぬ存ぜぬ」を決め込むなど、火消しに躍起となっている。 民主党全国大会で繰り返し取り上げ 「皆さん、トランプ候補はわが国の民主主義を根本から否定するこんな危険な政策を推進しようとしています」――。 カマラ・ハリス、ティム・ウォルズ正副大統領候補が指名受諾演説を行った先の民主党全国大会(8月19~23日)では、有力民主党議員の何人かが会場を埋め尽くした5万人近くの党員を前に、この日のために特別に拡大コピーしたズシリと重い表題『Project 2025』の報告書を抱えて次々に登壇。繰り返しトランプ糾弾の演説を行い、話題をさらった。 全文920ページからなる問題の報告書は、トランプ氏と近い関係にあるシンクタンク「ヘリテージ財団」(本部ワシントン)が「次
日本のサービス業や小売業の業界では、長年カスタマーハラスメント(カスハラ)に苦しんできた。背景には、消費者は代金を払う存在だから、サービス提供者より優位に立って良いという理解が暗黙の合意としてあった。その優位性を乱用して言葉の暴力を振り回す消費者に対して、現場はひたすら耐えるしかなかったのである。 こうした傾向が改善に向かっているのは好ましい。そんな中で、横暴な消費者から従業員を守るのは企業の責務だという姿勢が広まっているのも良いことだと思う。 日本の場合は「世評を落とす」名誉毀損は罰せられるが、一対一の暴言が精神的な傷害だという点では、法整備が十分ではない。この点を改善して、いわゆるカスハラ行為については、それ自体を刑事犯罪とするだけでなく、必要な民事仲裁によって被害者を救済することも必要であると思う。 けれども、犯罪とも言える極端な事例を追放するだけでは十分ではない。人手不足の中、とも
米国の大統領選挙を報じるニュースで、再びラストベルト(さびついた工業地帯)が話題に上っている。共和党副大統領候補に指名されたJ・D・バンス上院議員の育ったオハイオ州は、ラストベルトの一角だからだ。そして大統領選挙の勝敗を左右するのが、ラストベルト諸州の動向ということもある。 オハイオ州を含む米国中西部は、かつて自動車や製鉄など重厚長大な製造業地帯だった。しかし安価な労働力を求めてメキシコなどへ工場の移転が進み、失業者が溢れた。 長く製造業に従事していた労働者は金融やIT産業といった新産業への転職もままならず、酒や薬物に溺れ、貧困のループから抜け出せなくなる。地域の治安も悪化した。そうしたルサンチマン(怨恨)が、米国社会の分断を生み出したのだろう。
歳月とともに山本さんのキーワードは「安全」から「健康」、「長寿」へと移っていった。登山客はどうしても槍や穂高、北岳などのブランド的な山にひかれがちだが、山本さんが勧めるのは日本ならどこにでもある里山だ。半日程度でいいから低い山に足繁く通えば、高齢になってもかくしゃくとする。「その機運が広がれば、日本中が生き生きとしてくる」と唱える。(以下一問一答) 自分なりの山登りへの貢献 やまもと・まさよし 1957年横須賀市生まれ。東京大学大学院修了。博士(教育学)。鹿屋体育大学名教授、および同大学のスポーツトレーニング教育研究センター長を経て、現在名誉教授。専門は運動生理学とトレーニング学。2つの体育大学で30年以上にわたり、スポーツ選手の競技力の向上や一般人の健康増進をはかるための研究と教育を続けてきた。主著の『登山の運動生理学百科』(東京新聞出版局)は韓国、台湾で翻訳されている。 ――山本さんは
日銀のわずか+15ベーシスポイント(bp)の利上げを契機として本邦金融市場は歴史に残る大荒れの様相を呈した。議論すべきことは沢山あるが、今回の本欄では為替市場に対する所感を示しておきたい。 突然現れた「円キャリー取引・円安バブル」説 金融市場では、今回の大混乱について「円キャリー取引を背景とする円安バブルが崩壊した」という解説が支配的になっているようだ。しかし、これについて筆者は小さくない違和感を覚えている。 「円キャリー取引を背景とする円安バブル」というのは具体的には「低金利の円を起点として世界の資産価格が支えられていた」という趣旨だが、今回の大混乱があってから急に目にするようになった説でもある。確かに、日本株については「円安ゆえに押し上げられている」という争点はかなり指摘されてきた部分であり、特に4月以降の円安・株高は日米金利差から大きく乖離した局面であったため、かなり危うさを感じるも
〈暗殺未遂後、トランプの勢いは完全ストップ?〉シミュレーション「ハリス対トランプ」2重、3重の「ガラスの天井」 野党共和党は、トランプ暗殺未遂事件と共和党全国大会で勢いがついたが、ジョー・バイデン大統領が選挙戦からの撤退を表明し、カマラ・ハリス副大統領にバトンを譲ると、その勢いは完全に止まった。それが、2024年7月の米大統領選挙を語るすべてであった。 米ABCニュースと調査会社イプソスの共同世論調査(2024年7月26~27日実施)では、前回の調査(同月19~20日実施)と比べて、ドナルド・トランプ前大統領の好感度が、40%から4ポイント下がり36%に変わった。一方、ハリス副大統領の好感度は、35%から8ポイント上昇し、43%になった。 今後、「ダブルヘイター(ジョー・バイデン大統領もトランプ前大統領も嫌い)」という言葉は消滅するかもしれない。 そこで本稿では、まずハリス副大統領が11月
インドのモディ首相が7月8日から9日にかけてロシアを訪問し、9日にはプーチン大統領との首脳会談が開催された。モディ首相による訪露は、約5年振りとなる。中国一極依存が指摘されるプーチン政権にとり、インドというもう一つの戦略的パートナーの存在は死活的に重要であり、しかもモディ首相の側が訪露してくれたことは、この上なくありがたかったことであろう。 首脳会談の中でモディ首相は、「戦場では解決策を見付けられない」と訴え、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に懸念を示す場面があった。ただ、モディ首相としても、プーチン大統領にそのように迫っても、聞き届けられる可能性はないことは、ある程度承知の上だったのではないか。ましてや、モディ政権が、ウクライナでの和平を実現するために、インド自身の国益を犠牲にすることはまずなかろう。 ロシアの戦費を実質的に支えるインド ロシア・インド首脳会談を総括する共同声明には、両
毎年の夏・土用の丑の日が近くなると、ウナギの話題が出てきます。日本のウナギ・二ホンウナギは国際自然保護連合(IUCN)が2014年より絶滅危惧種(IB類)に指定しています。同じカテゴリーに分類されているのが鳥でいうと「トキ」です。それだけ資源が激減してしまったため、価格の高騰が続いています。
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