サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
大谷翔平
aichikenmin-aichi.hatenablog.com
ルソーという画家に情熱を込めて向き合った彼らの生き様 楽園のカンヴァス(新潮文庫) ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティムブラウンはスイスの大豪邸に突如招かれた。 そこで目にしたものは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵画。 持ち主は、絵の真贋判定を正しく行った者にその絵を譲ると言い出した。 ライバルは日本人研究者、早川織絵。 絵の裏側に見え隠れする、ルソーとピカソの物語。 ルソーとピカソ二人の天才がカンバスに何を込めたのか。 なぜこんなにも描写が細かく、そして専門的なのか。 それは著者の経歴を紐解けば明らかだ。 彼女は昔、キュレイターの仕事をしている。 実体験を伴った著者によって紡ぎ出された臨場感あふれる緊迫の勝負。 そして美術品に見せられた人間達。 彼らは夢を追い求める。 作品の背後に何があるか、作品の背景はどうなっているのか。 そこまで理解してこそ美術品がわかるということなのであ
育ててもらった恩を返す ただそれだけのこと が会社にとってはそれが難しい 持続可能な資本主義 良い会社に投資し、日本一を取った鎌倉投信。 彼らは何を軸に投資を行うのだろうか。 ただいたずらに利益を求める資本主義の枠組みを超えた彼らの投資スタイル。 信頼と共感で成り立つ経済の仕組み。 金融だから生み出せる信頼のレバレッジ。 効率至上主義の代案としての日本的な経営。 こういう考え方が資本主義の未来を作っていくのだ。 誰かの犠牲で成り立つ経済ではなく、持続可能な経済を目指して。 金融や経済に関わる仕事をしている人間にこそピンとくる内容だと思う。今一度、自分の仕事を見つめ直しながら。 金融は何をしているのか?何のために存在するのか? 「誰が誰に何のためにお金を投じるのかという金融の根本の部分」 金融は人にお金を貸す。 しかし金融工学が発達し、ローンが切り売りされるようになった。 切り売りされること
多くの才能を持つ星野源、彼の仕事に対する価値観を知る 働く男 (文春文庫) 新品価格 ¥529から 逃げ恥で大ブレイクした星野源。 ミーハーな私は、ついつい読んでしまった。 星野源は音楽家であり、俳優であり、文筆家。 星野源は、昔、ワーカホリックであった。 働くことが楽しくて、やめられない、そんな生活をしていた。 だが、病気をして彼は変わった。 本作品も初版の帯にはこう書かれていた。 ハードすぎて過労死しようが僕には関係ありません。 病気の経験から彼は変わった。 働きたくない、と書くようになったのだ。 日本人はなぜ、こんなにも働くのだろう。 楽しそうに働いてる人はまだいい。 だがつまらなさそうにしている人間もいる。 いやいや働かされ、イライラを募らせ、人生に疲れて・・・。 それこそ不幸の世界だ。 ディストピアと言ってもいいんじゃないか。 楽しいことを楽しくやる。 それに対して彼はとても前向
イノベーターがいない国、日本 イノベーションはなぜ途絶えたか: 科学立国日本の危機 (ちくま新書1222) 新品価格 ¥864から 日本は今、成長しているのだろうか。 おそらくほとんどの人がそうではないと感じているはずだ。 だからこそ、金融政策という見せかけの剣を使って推し進めようとしているのだ。 そう、今日本は、沈み行く船と言える。 原発事故、シャープ買収、日本企業の弱さがここにある。 昔は技術大国と呼ばれた国。 今は見る影もない。 日本に不足しているのはどのような人材だろうか。 それはイノベーターと呼ばれる技術と経営の両方に対して知見を持つ人材であろう。 正しい技術を持っているだけではならない。 技術をどう使うか。 何に価値を見出すか。 それができる人間たちがいま、世界を動かしている。 消費者が何に価値を持ち、何を欲しがっているか。 高い技術を欲しがっているのではない。 彼らが求める価
科学的思索と宗教的な信仰の会わせ技 インフェルノ(下) (角川文庫) 新品価格 ¥734から ついに彼らはたどり着く。 人類の未来を永久に変えてしまう恐るべきゾブリストの野望。 破壊的な何かはすでに世界のどこかに仕掛けられてしまった。 そして彼の仲間は意外と近くににいたのであった。 彼を追っていたとみられたWHOの局長は実は味方。 そして目に見えぬ敵を追ってイスタンブールへと飛ぶ。 その機内でラングドンは驚愕の事実を知る。 味方は敵であり、敵は味方であった。 ダンテの地獄編をめぐる物語はクライマックスへと舵を切る。 単なるエンターテインメント小説ではない。 世界に警鐘を鳴らす一冊。 中巻から下巻にかけて、手を止めることはできなかった。 自分の悩みから世界の悩みへと昇華させた彼女 「 自分自身、身の回りの問題を思考の的から外し、代わりに周囲の世界へ注意を向けること」 幼い彼女はこう思う。 悪
2016年逃げ恥で大ヒットした星野源 蘇える変態 新品価格 ¥1,365から 主題歌のダンスは 留まるところを知らない人気となった。 そんな彼、実は多彩な才能を持っている。 そして壮絶な過去も抱えていた。 ものづくり地獄の音楽生活、俳優業の舞台裏、 そして闘病生活。 今の彼があるその裏側には様々な生き様が隠れている。 この本には彼の人柄、そして抱えていると思いと考えが書かれている。 彼の魅力を、そして彼の芯はどこにあるのかを知ることができるのかもしれない。 「地獄は相変わらず、すぐ側にある いや、最初から側にいたのだ」 この本を読んでから、もう一度彼の歌を聴きたくなった。 なぜ彼の歌は皆の心を惹きつけるのか。 その一端を 目の当たりにしたように感じる。 何かを生むという仕事の魅力と難しさ 「 楽しいものを糧に 毎日毎秒を乗り越えること 連日流れる痛ましいニュースで受けるネガティブな感情のパ
大したことないさ サーモン・キャッチャー the Novel 新品価格 ¥1,620から 場末の釣り堀から始まる事件。 冴えない6人の人生が絡まり合い、もつれ、転回する。 釣り堀でバイトをする女の子。 釣り堀で神と呼ばれるおじさん。 引きこもりの青年とその妹。 健康ランドに住んでいる便利屋のおっさん。 孤独の末、何かしたくてたまらないおばさん。 一見無関係な彼らには、様々なつながりがある。 新たに繋がりができることもある。 彼らが見せる、つながることの奇跡は感動を呼び起こす。 人の人生は他人との繋がりによって生まれる。 弱い繋がり、強いつながり。 そう、すべては連鎖する。 この本で描かれる小さな世界は、現実にも生まれる。 世界はすべてつながっているのだから。 人は生きる目的をもつ 「何でもいいから人生の目標や目的と呼べるものが欲しかったのだ」 釣り堀で釣った魚で景品を得る。 彼はそれが目標
「直感の七割は正しい」 決断力 (角川oneテーマ21) 新品価格 ¥864から 将棋界の絶対的王者、羽生善治。 彼の言葉は、将棋だけでなくすべてに活かすことができる。 企業経営者にも、よく読まれているらしい。 人はどのようにして決断をするのか。 どのようなプロセスを経て行われた決断が正しいのか。 責任あるポジションで、人はどう決断を下すべきか。 彼は言う。 「直感の七割は正しい」 重さが違う。 彼の経てきた人生、経験、将棋の道。 それらをすべて背負って、この言葉となっている。 将棋だけでなく、人生のすべての局面で読み返したくなる一冊。 限界を知るために追い詰められる 「人間は本当に追い詰められた経験をしなければダメだということもわかった」 人は追い詰められてこそ、成長する。 追い込まれた状況は孤独である。 その経験は、その場所でしか味わえない。 その状態の中で、どれだけ飛躍することができ
青春を剣道にかける少女たち 武士道セブンティーン (文春文庫) 新品価格 ¥680から 強さは力の香織とお気楽不動心の早苗。 正反対の二人は武士道という名の絆によって繋がっている。 高校1年のときは同じ高校でチームメイトだった二人。 早苗の転校により別々のチームになってしまった。 早苗が転入したのは福岡の剣道の名門校。 彼女達の強さに早苗は驚く。 だが、それだけではなかった。 そこでは剣道はあくまでもスポーツ。 試合に勝つための指導方針であった。 武士道を心に刻んだ早苗は複雑な心境のまま福岡での生活をおくる。 一方の香織は自分本意だった彼女から、チームのことを気にかけることができる先輩へと成長していた。 チームのことを考え、憎まれ役になることもできる彼女。 成長の過程を微笑ましく見ることができる。 やがて、全国大会に行き、彼女達は再会する。 互いに敵同士、しかし心では繋がっている二人。 彼
会計知識がとりあえず欲しいという人にオススメ 【増補改訂】 財務3表一体理解法 (朝日新書) 新品価格 ¥886から 久々に小説ではなく、新書の紹介。 会計知識がとりあえず欲しいという人にオススメの一冊。 ごちゃごちゃした説明はいらない、概念をください 会計の勉強をするにはまず簿記をしなくてはならない。 そんな固定観念を打ち壊す本書。 貸方、借方というわかりにくい概念。 本書にはそれがない。 繋がりを見つけることで紐解ける3表 B/S、P/L, CFの3つがどのようにつながっているのかを教えてくれる。 Aという事象が起きた時に、3表それぞれがどうなるのか。 それを理解するのにうってつけである。 そしてどう繋がっているのかを理解すれば、バラバラだったものが一本の線になる。 本書では、単純なビジネスを事例に、財務3表を作り出す。 リンクしながら読むということを指南してくれる。 P/Lで利益が出
半沢直樹シリーズに代表される池井戸潤。 彼の小説は、勧善懲悪もの。 悪を叩き切る正義という構造が多く、読後にスッキリとした印象をうける。 色々と不満やストレスを抱えている人が多いからこそ人気がでるのかもしれない。 正義とはかくあるべきか、それを教えてくれる作家です。 下町ロケット2/ロケットを作る町工場、次は何を ドラマ化もされた本作。 大企業に牛耳られたマーケットに入っていく町工場。 日本のものづくりのプライド、そして強さがここにつまっている。 社会人にこそ読んでもらいたい一冊。 aichikenmin-aichi.hatenablog.com 空飛ぶタイヤ/リコール隠しを明らかにすべく立ち上がる 大企業と中小企業のやりとり。 リコール隠しを行なう大企業、そしてそれを暴きたい中小。 しかしながら、世間は大企業の味方。 なぜなら大企業の方が信頼されているから。 正しいのはどちらか。 aic
教師を辞めて刑事になったという異色の経歴 悪意 (講談社文庫) 新品価格 ¥691から 東野圭吾の加賀恭一郎シリーズ。 加賀は元教師。 教師を辞めて刑事になったという異色の経歴をもつ主人公。 シリーズものになっており、彼は魅力の詰まった人間である。 剣道の達人であり、人を見抜く力、そして論理に裏打ちされた推理力。 本作は加賀が、刑事になってからまだ日が浅い中の出来事。 この作品は、主人公および登場人物が書いた手記である。 それぞれの登場人物の視点から見た事件とその周りの出来事。 そもそもそれが鍵になってくるとはまだ誰も知るよしもない。 犯人は序盤で明らかになる。 だが、わからないのは動機。 語ろうとしない犯人、徹底的に調べたい加賀。 二人の駆け引き、そして捜査が息もつかせぬ展開につながっていく。 犯人探しではなく、動機探しのミステリ。 本というものでのみ描かれうる魅力を余すところなく伝えて
少子高齢化社会が進み、日本の人口は減少の一途をたどると予測されている 人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書) 新品価格 ¥821から 人口が減り、日本は衰退するという。 果たしてそれは必然なのだろうか。 人口は力である。 働く人が多ければ多いほど国は豊かになっていく。 一見、分かりやすい論理だと思う。 しかしながら著者はそれを否定する。 工業社会であった昔は、労働力=国力であった。 いまはもう違う。 なぜなら、機械化が進み、情報社会になり、単純な世界ではなくなったのだ。 労働力の増加よりもイノベーションが求められる。 しかもイノベーションは技術革新だけではない。 いかに需要を喚起するか、それが主なのだ。 日本に蔓延する悲観的な未来を考え直すキッカケになるかもしれない 「日本では人口減少が大問題だが、地球全体で見ると、いまだに人口増加が問題である」 日本はレアケース
政治エンタメ小説たる本作は痛快なことこの上なし 民王 (文春文庫) 新品価格 ¥670から 主人公は総理とその息子。 息子はもちろんバカ息子。 しかしながら、自分の主張はきちんと持っている。 総理は堅物、そして昔は国民のため、日本のためと言っていながら、今は保身ばかりを考える。 漢字の読めない政治家、酔っぱらい大臣、揚げ足取りのマスコミ。 彼らが織りなすエンターテインメント。 本作にはSF調の仕掛けが施されてはいるが、それ以外は純粋な社会派。 何が正しくて、何が間違っているのか。 政治の本質はどこにあるのか。 期待の持てるリーダーが出てくるのと同時に、国政に興味を持つ国民が増えることを祈りながら読みたい一冊。 政治家とは尊敬されうる職業なのだ 「政治家っていうのは、本来立派な仕事なんじゃないの」 政治家を立派じゃなくしている原因は何か。 それは二世議員なんではないかと登場人物は言う。 そも
AIの成長により必要になるBI 刺激的なタイトル、そしてAIからBIという言葉 人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書) 新品価格 ¥864から AIはもちろん人工知能。 だが、BIとはなんだろうか。 それはベーシックインカム。 全国民に一律給付する年金のような仕組み。 著者は、AIに仕事を奪われた人間が豊かに生きるためには、BIの仕組み有益であるという。 AIは勝手に仕事をしてお金を稼ぐ。 稼いだお金はどこに行くのか、それはAIを活用している企業である。 企業が稼いだお金は、株主に配当を経由して還元される。 株主だけは裕福になる。 働く労働者は働き口がなくなるためにお金を稼ぐ手段がなくなる。 この二極化を避けるための手段はベーシックインカムであると。 AIはとてつもなく凄いわけではない 「知性の大部分を超えるというのと全てを超えるというのでは、天と地ほどの違いがあります」
ミステリーファンをうならせるミステリー この闇と光 (角川文庫) 本屋のポップに惹かれ、購入。 ネタバレになってしまうため多くは書けないが、唸ることは間違いない。 物語の序盤は、王女と父親である国王の話でスタートする。 王女は盲目であり、また、父親とともに森の奥に囚われている。 戦争に負けた結果、相手国の兵士に囲まれ、暮らしている。 物語は進む中、ところどころに違和感を感じる。 頭をかしげながらも、読み進める。 徐々に明らかになる真相。 そして本当の真相。 世界が反転する。 どんでん返しが好きな人には、迷わず読んでもらいたい一冊。 経験があるからこそ、できること 「人からあまり優しくされたことがないから、人にも優しくすることができないのだ」 王女は、敵国の召使に世話をされている。 敵国のため、扱いはぞんざいであり、優しくされることは少ない。 そんな中、父親はこういう。 召使は可哀想なんだよ
人が抱える寂しさを気づけるだろうか スタフ staph 新品価格 ¥1,728から 主人公は都会で移動デリを営む女性、夏都。 彼女は姉の子ども、智弥と暮らしている。 夏都は旦那と離婚し、一人で移動デリを営んでいる。 移動デリは別れた旦那の夢であり、仕事であったものの、彼女はそれを引継いでいる。 なぜだろうか。 負けず嫌い、そして逃がした魚は大きいのだというアピールだろうか。 一方智弥は人付き合いが苦手な中学生。 パソコンばかりやっており、必要最低限の会話はせず、感情もあまり表に出さない。 二人で不思議な生活を続けている中、事件は起こる。 夏都がさらわれる、ランチワゴンごと。 そこで出会ったのはカグヤというアイドルであった。 彼女に頼まれて、彼女の姉である女優のために、一肌脱ぐことになってしまう。 テンポよく進む物語、だが、ところどころに違和感がある。 頼んだのはカグヤなのだが、皆それぞれに
ゴジラはただの子供向け怪獣映画ではない ゴジラとエヴァンゲリオン (新潮新書) 新品価格 ¥778から シン・ゴジラが公開されて話題になっている昨今。 僕は、ゴジラをちゃんと見たことがない。 エヴァンゲリオンで有名な庵野監督が作っているということで、 今回のシン・ゴジラを見たいと思っている。 そんな中、本屋さんで目にした本作。 映画を見る前に読もうと思い、即買してしまった。 そもそも、ゴジラが原水爆により生まれたことすら知らなかった。 ただの子供向け怪獣映画だと思ってなめていた面は大いに反省すべきだと感じた。 ゴジラ、エヴァンゲリオンといった特撮、SFの系譜とともに、日本の歴史を紐解くような本作。 たかが特撮、たかがアニメとばかにするのではなく、その背景にあるものに思いを馳せることで、 人は同じものを見ていてもえられるものは大いに違ってくる。 そう感じさせてくれる一冊であった。 ゴジラのル
2016年7月の芥川賞を受賞した本作 コンビニ人間 新品価格 ¥1,404から 作品の舞台はコンビニ。 今の時代に欠かすことのできない場所である。 主人公は36歳独身女性、職業はコンビニ店員。 幼少の頃、彼女は世界との繋がり方に関して悩んでいた。 なぜ普通でなくてはならないのか。 普通とはなんなのか。 誰が決めたのでもなく、普通は存在している。 だが、その普通に迎合できない人間もいる。 そんな人が唯一、社会と繋がるようになれた場所がコンビニであった。 ありふれた場所であるコンビニは世界の縮図なのかもしれない。 社会のハブかもしれない。 人と社会との繋がり、そして人のあり方を考えさせる作品。 コンビニという空間 「朝という時間が、この小さな光の箱の中で、正常に動いているのを感じる」 コンビニに対する主人公の気持ちを表した一節。 小さな光の箱という言い得て妙な比喩は、希望をも見せてくれる。 2
星新一のショートショート 宇宙のあいさつ (新潮文庫) 新品価格 ¥680から ショートショートというカテゴリを創った星新一。 本作は宇宙成分が多く含まれた作品群。 宇宙人から見た地球人の振る舞い。 地球人から見た宇宙人の奇妙な点。 それらがチクリと刺さる風刺になっている。 文明が栄えすぎた地球。 その結果として滅びてしまったり、人間が人間らしく無くなっていたり。 逆にもっと栄えた宇宙人の文明に食い荒らされたり。 柔軟な発想とSFの殻を被った社会批判。 こんなにおもしろいとは。 技術の発達による不幸 「それ以上に貧乏にならなくてすみ、なんとか生活をつづけることができた」 技術が発達していなかった昔は、多少失敗したところで全てが終わることはなかった。 車のような便利なものがなかったおかげで、事故で死ぬこともなかった。 マスコミに持ち上げられて調子に乗って、そのまま没落することもなかった。 ど
少しでも経済を身近に感じ、考えるきっかけになれば ニュースを見ると経済の話題が多い。 だけれども、経済ってあまり学校では教えてもらえない。 実用的なことではあるものの、知識は足りない。 そう感じたときに、何を読んだらいいんだろうか。 僕が読んだオススメを紹介する。 ①経済を構成している企業 経済を構成しているのは市場。 市場は民間の企業により成り立っている。 株価というものがその一つ。 経済政策では株価の上げ下げで一喜一憂している姿が見られる。 だが、そもそも株価とはなんだろうか。 その本質は企業の価値である。 コーポレート・ファイナンス入門/砂川伸幸 経済の中でお金の流れを作る金融。 金融市場から調達する企業は何を考えているのか。 企業の価値とは企業から生まれる付加価値であり、それが株価に反映される。 aichikenmin-aichi.hatenablog.com ②経済はお金を稼ぐ人
オタクから見た日本社会 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書) 新品価格 ¥756から アニメゲームといったサブカルチャーに焦点を当てて分析をすると、見えてくる現代社会の構造。 政治的、心理的にも通じるものがあり、なぜ日本でサブカルチャーが納得できる解説。 単純にアニメを見て楽しむだけでなく、その裏側にある世界観、ひいてはそれを創りだした社会観。 様々なものがアニメという作られた世界の中に埋め込まれている。 それを我々はどれだけ読み取ることができているのだろうか。 表面だけさらっと観察して、その中身をしっかり理解しているだろうか。 深さを、主張を、思いをどこまで汲み取ることができているだろうか。 この本を読んだあとであれば、 ただのエンターテイメントではなく、もっと深く楽しむことができるのではないだろうか。 アメリカ文化の国産化 「オタク系文化の出現が日本独自の
ラゴスは旅をする。北から南へ、そして南から北へ。 旅のラゴス (新潮文庫) 新品価格 ¥529から 集団転移、壁抜けなどの超能力を有する世界で彼は旅を続ける。 捕まって奴隷になっても、王様になっても彼は旅を続ける。 この世界は、便利な科学技術を失った代わりに、超能力を有することになった。 失った技術をまとめた本をラゴスは発見する。 だが、彼はすべてを再構築しようとはしない。 本来あるべきもの、今の世界には早過ぎるもの、重要過ぎるもの。 それらのバランスを考えながら彼は技術を復活させる。 一度まっさらになった世界において、文明は再び旅を始める。 ラゴスの旅と世界の旅、両方の物語である。 現代社会はお金に対する過度な依存でできている 「どのような取引であろうと、金を払った方が精神的優位に立つのだ」 現代の消費社会を体現するような言葉。 お金を払って商品を買う中で、人は匿名の消費者になり、横柄な
僕が誰にでもオススメしたいマンガ HUNTER×HUNTER 33 (ジャンプコミックス) 新品価格 ¥432から ハンターハンター、ジャンプを支えていると言っても過言ではないマンガ。 休載期間が非常に長い。 長いながらも、読者は待っている。 なぜなら、面白いから。 どれだけ待っても期待を裏切らない作品だと僕は思っている。 先月、久しぶりに新刊が出た。 これを期に、ハンターハンターへの思いをまとめてみようと思う。 ハンターハンターは主人公の少年ゴンが、父親を探すために、ハンター試験という難関に挑むところから始まる。 彼は、持ち前の運動神経と反射神経を持っており、かつ単細胞。 よくある主人公像である。 だがハンターハンターは主人公よりも魅力的な脇役キャラ達がいる。 例えば、ハンター試験で一緒になったクラピカ。 殺された仲間たち、同胞たちのために復讐をするという目的がある。 彼はゴンとは異なり
数学は哲学と非常に深いつながりがある。 無限論の教室 (講談社現代新書) 新品価格 ¥821から 中学や高校で習った数学は、哲学からは縁遠いものだと感じている。 しかしながら、数学というものは、どういう体系になっているのか、 そもそも定理や公式の裏側にある前提には何があるのだろうか。 深く掘り下げて考える機会を与えてくれる本書。 大学生二人と教授の掛け合いの中で、無限というものの成り立ちについて解説してくれる。 この内容を知っているからといって何か実生活で役に立つとは思えない。 だが、考え方を知る、興味深いと思うことは有益である。 考える力を取り戻すために、思考停止に陥った時におすすめ。 理解する前に、納得する前に考えているか? 「それを鵜呑みにしている読者も軽率の謗りをまぬかれません」 本に書いてあった言葉をそのまま考えもせず飲み込むことに対する警鐘。 よく知り合いが本に書いてあったから
池井戸潤の銀行モノ小説 新装版 銀行総務特命 (講談社文庫) 新品価格 ¥751から 勧善懲悪のすっきりとした物語である一方、銀行の組織や人間に問いかけを放つ。 そんな一冊。 池井戸潤の作品は、半沢直樹を始め、情熱に満ち溢れた人間が多く登場する。 本作の主人公、指宿もそう。 あまり多くは語らないものの、彼の芯の通った思いを感じ取ることができる。 芯の強さを持つ唐木とのコンビはぎくしゃくしながらも見ていて気持ちいい。 互いに信頼している絆が見え隠れする。 こういう小説を読むと、明日も頑張ろうって思えてくる。 銀行の資産は情報 「銀行の財産であり、信頼の証でもあり、歴史の重みそのもの」 銀行にある取引先の情報というのは、信頼の塊だということ。 銀行は情報を持っているからこそ、信頼される。 そして情報を持っているからこそ、お金を貸し出すことができる。 信用はお金では買えない。 組織に魅力を感じな
顔の知らない隣人たちと繰り広げる不思議な物語 グランドマンション (光文社文庫) 新品価格 ¥799から グランドマンション一番館には変わった住人がたくさん住んでいる。 元サラリーマン、元公務員、三世代同居家族から独居老人。 そして住人たちの間で様々なトラブルが巻き起こる。 短編が8つ入った本作。 一つ一つの話にトリックが仕組まれており、終盤になり糸が繋がる快感を得られる一冊。 そして短編たちはすべてつながっており、最後には、そういうことか!と唸ること間違い無し。 一見どこにでもありそうなマンションの話、だが、現実とは似て非なるもの。 現実でありそうだけれども、どこか違う。 叙述トリックの名手が、そんな世界を楽しませてくれる。 隣人がどんな人か知っていますか? 「隣に誰が住んでいるのかわからない」 都会のマンションでは、近隣住民の顔すらよく知らない。 乾いた関係によってマンションは構成され
しばしば耳にするやりがいという言葉 「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書) 新品価格 ¥821から それは仕事とともに使われる。 やりがいのある仕事をしたい、やりがいのある仕事をしている、仕事にやりがいがない。 このような言葉を耳にするときに、疑問に思うことはないだろうか。 やりがいって何だ? それはそもそも自己満足であると僕は思う。 仕事を通じて、自分が満足できればよいのだ。 それが達成感かもしれないし、認められることかもしれないし、お金かもしれない。 人それぞれ、原点は異なってくる。 だから、何のために働くのかをしっかりと考えなければならない。 働くことが前提ではなく、働くことは過程であって、結果でもない。 そうしなければ追い詰められてしまうかもしれない。 壁にぶつかったら一度考えてみると面白い。 人生の目的は何か? 「人生の目的は、自由の獲得のため」 人はなぜお金を集めるのか
「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」の二場面で進行 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4) 新品価格 ¥810から 「世界の終り」は、高い壁に囲まれた世界。 僕はその中で夢を読んで暮らす。 「ハードボイルド・ワンダーランド」は、私が暗号処理のプロフェッショナルとして活躍する世界。 組織と工房が争いを繰り広げる中、老科学者は世界の秘密を守りながら生きる。 そしてその鍵となるのが私。 同時進行しながら進む物語たちはうっすらとつながりがあるようで、無いような不思議な関係を保ちつつある。 果たしてどのような結果で二つの世界は結びついているのだろうか。 それとも全く無関係なのであろうか。 科学の存在意義とは 「科学の悪用は科学の善用と並んで現代文明を危機的状況に直面させておるです。科学とは科学そのもののために存在するべきものだと私は確信しておるのです
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『aichikenminの書斎』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く