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ブックレビュー
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卵巣予備能を考える上で、極めて興味深い論文をご紹介致します。本論文は、片側卵巣を摘出すると、残された卵巣が代償性に働く(機能を補う)という可能性を示唆したものです。 Hum Reprod 2014; 29: 835(ノルゥエイ) 要約:1995~1997年にノルゥエイの国家規模のHUNT2スタディーに登録した23580名の女性を後方視的に質問票により調査しました。質問票には、卵巣手術の有無、出生時の状況、妊娠歴、喫煙暦、BMI、初潮年齢などの質問が含まれています。片側の卵巣摘出を行った女性の閉経年齢は49.6歳であり、卵巣摘出のない女性の50.7歳と比べ1.1歳早まるだけでした。また、BMIが高い女性は優位に閉経年齢が高くなっていました。 解説:閉経年齢には人種による違いが大きくあり、インドでは44.6歳、フランスでは52.0歳、日本では52.1歳という報告があります。早発閉経(40歳未満
ホメオパシーとは「健常人に病気をひき起こす物質を使って、その病気を治療できる」とする仮説で、ドイツ人医師サムエル・ハーネマン(1755-1843)が提唱しました。本論文は、欧州生殖医学会誌(Hum Reprod)の編集長がホメオパシーについての公式見解を述べたものです。 Hum Reprod 2015; 30: 1279 要約:サムエル・ハーネマンは様々な仮説を提唱したいわば「学説のヒト」です。コーヒーは薬剤と同等の効果があると「コーヒー説」を唱えたかと思えば、次には身体の老廃物の蓄積によって慢性疾患が発症すると「乾癬説」を唱えました。その仮説のひとつが「ホメオパシー」です。現在までにホメオパシーに関する論文は5000件以上発表されています。しかし、2005年、Lancet誌は110論文のメタアナリシスにより、ホメオパシーの効果はプラセボ(偽薬)群と同等であると結論しました。2015年、オ
一般常識の誤り その3 「精子は、ためた方がよい」は正しくありません。 WHOのガイドラインでは精液検査に際しての禁欲期間を2~7日にするという記載をしています。このため、一般には数日の禁欲期間(精子をためる期間)を設けて、精液を提出していただくように指導していることが多いようです。しかし、「妊娠するために最適な精子が得られるには禁欲期間が何日か」については、検査とは別問題になります。下記の論文は、精子の数が少ない男性は禁欲期間を1日(前日に射精)とし、精子の状態のよい男性は最大10日まで(なるべく7日以内)の禁欲期間とすべきであると結論しています。 Fertil Steril 2005; 83: 1680 要約:のべ9489件の精液検査データのうち、精子の数が少ない(乏精子症、精子数<2000万/mL)3506検体と正常精子数の5983検体に分けて各項目を比較しました。精子の数が少ない検
「子供が欲しいけどなかなかできない」という方に是非チャレンジして欲しいことがあります。 それは、「1ヶ月間、できるだけ毎日セックスして下さい」ということです。本当は、1ヶ月と言わず3ヶ月くらいは毎日セックスして欲しいと思います。それでもできなければ、不妊クリニックの受診をお勧めします。実際、個人的に親しい方から相談を受けた時には、私はこの話からしています。それだけで妊娠される方も少なくありません。これは、プロとしての真面目なアドバイスです。 これにはキチントした理由があります。 1 日本人は世界一セックスが少ない国民です(2012.12.12「妊娠の確率」)。セックスが最も多い国はギリシャで1年に138回、日本は最も少なくて1年に45回でした。これですと週1回もしていないペースです。しかも、排卵日しか狙っていない方がほとんどです。この方法は、わざと妊娠しないようにしているように私には見えま
世界中で婚姻年齢が高齢化しており、出産年齢も高齢化しています。「何歳まで妊娠できるのか」「何歳まで待って良いのか」、誰もが知りたい情報です。しかし、その答えを出すのは簡単ではありません。1960年代にピルと子宮内避妊具の使用が広まったため、「自然に任せるとどうなるか」わからなくなったためです。しかし、18~19世紀までには、避妊という手段が存在しなかったため、「自然に任せた場合」のデータが存在します。現在でも、宗教的あるいは文化的に避妊をしない人々が集まる集団があります。これまでは、このような少数の集団に基づくデータしか報告されていませんでしたが、本論文は、17~19世紀の異なる時代の世界6カ国のデータをまとめた貴重な報告です。 Hum Reprod 2014; 29: 1304(オランダ) 要約:世界6カ所の異なる時代の自然妊娠のデータ(避妊法が存在しない時代)を分析しました。条件は、初
本日の放送をご覧になられた方から多くの問い合わせがありますが、当院は郵送での精液検査は行っておりません。 その他にも、「とくダネ!」の中の当院が取りあげられている内容に関しまして、事実と異なる点や、説明の不足、他会社と当院で行っている検査などを混同され兼ねない点など、重大な問題がありましたので、石川智基の解説を掲載致します。 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ 今回の放送につき、私自身全く監修にかかわっておらず、内容に関して心配しておりましたが、重大な相違点がありました。誤解から当院に問い合わせが多く寄せられていますが、ご勘弁ください。 問題点を挙げておきます。 1. 郵送の精液検査は絶対ありえません。時間がたつと精子の形態も変わってきます。もちろん正確な運動率は出ません。精子があるかないかしかわかりません。精子が過労やストレスで低下す
私は、1988年大学卒業以来、生殖医療ひとすじで、大学病院勤務、米国留学、ARTクリニック勤務をして参りました。生殖医療専門医として、少しでも生殖医療に貢献できればと考えてこのブログを始めました。 近年のネット社会では、極めて沢山の情報が氾濫していますが、間違った情報も多く見受けられます。一般の方には正しい情報と間違った情報を区別することは不可能ですので、正しい情報をお伝えすることで、多くの方に赤ちゃんを授かって欲しいと思いブログを始めました。ブログは生殖医療に関係する知識や情報を、主に英語の論文などのデータに基づいてお届けしています。最新の英語の論文は日本語ではどこにも掲載されていない情報が満載です。「いち早く」「正確な情報」をお届けしたいと思います。 妊娠を目指すには良い精子と良い卵子の両方が必要です。どちらかが欠けてもいけません。目標に向けて夫婦で一緒に協力することが大切だと思います
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