サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
ノーベル賞
blogs.itmedia.co.jp/akihito
生きていればいろいろあるじゃない、人間だもの。ということで、「なんで僕が/私がこんな評価を受けなくちゃいけないんだ!誰も分かっちゃくれない!」と憤慨するのは万国共通の悩みのようで、"No One Understands You and What to Do About It"(誰にも理解されない時、それにどう対応するか)という本が出ています。 著者は社会心理学者のハイディ・グラント・ハルバーソン。コロンビア大学ビジネススクールのモチベーションサイエンスセンター副所長も務めています。ちなみに"Succeed"という前著もあり、こちらは『やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~』というタイトルで邦訳されています。 「会社での評価が納得できない」という比較的重いシチュエーションでなくても、なぜ怒らせてしまったんだろう、どうして真意を理解してくれなかったんだろうといった悩みは、割と頻繁に起き
いや、ここまで分かりやすいタイトルの本も潔いですが。ずばり「インターフェースがないのが究極のインターフェースである」と断言し、その実現に向けて何をすべきかを考察した本"The Best Interface Is No Interface: The simple path to brilliant technology (Voices That Matter)"を読んでみました。 著者はデザイナーのゴールデン・クリシュナ(!?)氏。AmazonのAbout the Author欄を読む限りでは、大企業とスタートアップの両方でデザイナー/技術者として働いた経験を持ち、現在はザッポスのラボでシニアUXデザイナーとして活躍しているようです。単に製品デザインに携わるだけでなく、消費者向けテクノロジーの未来といったテーマでも情報発信しているようですね。 そして本書ですが、あらゆるインターフェースを攻撃
パーソナルデータを収集することで、企業は消費者を個人レベルで把握することが可能になりました。しかしそれにより、消費者に対する企業の力が大きくなり過ぎることへの懸念が生まれ、パーソナルデータのコントロールを「所有者」である個人の手に取り戻そうという動きが大きくなっています。例としてドク・サールズの『インテンション・エコノミー』や、そこに登場する「VRM(Vendor Relationship Management、個人が企業を管理するためのシステムで、企業が顧客を管理するCRMの対極にある概念)」などが挙げられますが、「医療版VRM」とも呼べる概念を提唱しているのが、本書"The Patient Will See You Now: The Future of Medicine is in Your Hands"です。 著者は著名な心臓医で、スクリップス・トランスレーショナル科学研究所所長のエ
主人公が手術によって脳を取り出し、思考だけの存在になって生き続ける。あるいは脳の中にある情報をすべてネットにアップロードし、デジタルな存在として進化する。SFにはこうした思考と肉体の分離がよく描かれますが(個人的にはやはり攻殻機動隊が思い出されるところです)。しかし残念ながらこれはSFだけの話で、実際には心と身体は不可分であるということが、様々な研究によって明らかになっているのだとか。本書"How the Body Knows Its Mind"は、そうした意外な心と身体の関係を解説した本です。 著者のシアン・バイロックさんはシカゴ大学の教授。心理学者で、『なぜ本番でしくじるのか』という本も書かれています。 「心と身体は不可分である」などというと高尚ですが、考えてみれば私たちが日常的に体験していることです。身体が疲れている時は頭もさえない、よく寝た朝は気分がすっきりしている、などというのは
米ラスベガスで今月9日まで開催された、世界最大の家電見本市CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)。今年も様々な新製品・コンセプトが発表されたが、中でも注目されたカテゴリーのひとつがドローン(小型の無人飛行機)だ。自律性能を高めたもの、手のひらサイズに小型化したものなどが登場し、いまやドローンは単なるラジコン飛行機の範疇を超え、「空飛ぶロボット」としての地位を確立しつつある。 ウォール・ストリート・ジャーナル誌も、CES2015で必見のドローンとして6つを掲げている: ■ CESで必見のドローン6種(WSJ) 米ラスベガスで開催中の家電市「2015コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」で注目のドローン(無人飛行機)6種を紹介する。ドローンの安全性向上を目指す最新テクノロジーはパラシュートや障害物回避技術などだ。米家電協会(CEA)の調査によると、商用ドローンの市場規
企画や営業、開発など、世の中には無数の仕事がありますが、その大部分は「人間」を相手にしています。開発の仕事でも、開発されるモノが人間によって使われるのであれば、間接的にであれ人間を相手にしていると言えるでしょう(だから人間工学のような研究が存在するわけです)。そう考えると、私たちは日々仕事を通じて、人間とは何か?という問いを突きつけられているのではないでしょうか。 世の中に無数の「人間とは何か?」を考える本が存在しているのも、こうした理由があるのではないかと思います。試しに書店に行けば、ビジネス書や科学読み物、ハウツー本、そして小説といった形で、娯楽や実用と人間の本質とを結びつけてテーマにした本が、数多く並んでいるのを目にすることができるでしょう。答えに迫るためのアプローチも、哲学に基づくもの、心理学の実験から考えるもの、あるいはロボットのように「人間に近い存在」との対比で考えるものと様々
うちには小学生の娘がいるのですが、12月は期末試験があり、理科や英語などを頑張って勉強していました。学校に通っていると大変だなぁ、などと端で眺めていて感じたのですが、よく考えたら社会人も勉強の連続です。簿記や会計、新しいソフトウェアの使い方、最近では統計学やデータ分析などを勉強しているという人も多いと思います。様々な知識の上に人間の社会が成り立っているのだとすれば、勉強は生涯ついて回るものだと言えるでしょう。 にも関わらず、「勉強する方法」が注目されることは意外にも少ないのではないでしょうか。自己流の勉強法を持っているという方も、それがどこまで効果的なのか、改めて検証したことはないと思います。怪しげな精神論でも、自己啓発でもなく、科学的に見て効果的な学習法とはどんなものか――それを最新の神経科学や心理学等から検証したのが、"How We Learn: The Surprising Trut
スティーブン・ジョンソンといえば、このブログでも何度か著作を紹介していますが、彼の最新刊が先ごろ発表されました。タイトルは"How We Got to Now: Six Innovations That Made the Modern World"。「何が現代の社会を作ったのか」をテーマに、6つのジャンルに関するイノベーションやテクノロジーの歴史を整理しています。ちなみに同じタイトルのテレビ番組がBBC/PBSで放送予定となっていますが、もともとこの企画のために書かれた一冊とのこと。 本書に頻繁に登場する概念が「バタフライ効果」(本書では特に、ある技術が別の技術に影響を与えるという観点から"ハチドリ効果"と命名されています)。すなわち「風が吹けば桶屋が儲かる」式に、ある出来事が思いもよらぬ流れを生み出し、それが基礎となって次の出来事を生み出していく――それこそがテクノロジーの歴史の本質なの
かつてトロント大学ビジネススクールの学長を15年間務めたロジャー・マーティン教授は、著書『インテグレーティブ・シンキング』の中で、相反する考えを前にした時にいずれかを取捨選択するのではなく、それらを並立させて検証・統合する中からベストな答えが導かれる、と指摘しました。であれば、真正面から議論がぶつかるような激しい交渉の場こそ、最高の結果をもたらす「創造」のプロセスであると言えるかもしれません。ハーバード大学ビジネススクールで1993年から交渉術の講義を担当している、マイケル・ウィーラー教授の著作『交渉は創造である ハーバードビジネススクール特別講義』は、まさに「創造としての交渉」を学べる一冊です。 世の中にはあまたの「交渉術」本がありますが、本書はマクロな視点から交渉を捉えています。もちろんどのように会話を進めるべきかといった、ミクロな戦術に関する話も出てくるのですが、やはり類書との違いは
そんな「RPGといったらTRPG(テーブルトークRPG)でしょ!?」な方、かつ「TRPGの最高峰はダンジョンズ&ドラゴンズ!」な方、そしてアラフォー世代であれば、本書"Of Dice and Men: The Story of Dungeons & Dragons and The People Who Play It"を涙無くしては読めないでしょう。 著者はフォーブス等にも寄稿されているジャーナリスト、David M. Ewaltさん。子供のころにD&Dに熱中したものの、ハイティーンになると「あいつD&Dやってるなんてオタクじゃね?」という視線に耐えられずに遠ざかり、最近になってもう一度「剣と魔法の世界」を遊びたくなって戻ってきた……という経歴の持ち主です(それ自分も同じだよ!という方も多いのではないでしょうか)。そんなDavidさんが、D&Dの歴史を振り返りつつ、自分にとってD&Dをプレ
『クラウド化する世界』でお馴染みの(最近では『ネット・バカ』でお馴染みのと言うべきか)ニコラス・カー御大、待望の新刊が発表されました。今回のタイトルは"The Glass Cage: Automation and Us"。サブタイトルから分かるように、自動化(オートメーション)をテーマにした一冊です。 前作『ネット・バカ』ではネットが生活に浸透することの負の側面を取り上げたカーですが、今回もそれと同じような論調で、オートメーションがもたらすリスクについて考察していきます。 本書はオートメーション、すなわち以前は私たちが自分の手でしていたことを、コンピューターやソフトウェアに行わせるという行為について考えている。ただ自動化の技術や経済性、ロボットやサイボーグ、ガジェットの未来について語っているわけではない(話の中には登場してくるが)。本書が主眼を置いているのは、自動化が人類に何を引き起こすの
梅棹忠夫や『知的生産の技術』といえば、失礼を承知ながら「耳にしたことはあるけど詳しくは知らない」という存在のひとつではないでしょうか。梅棹先生は京都大学名誉教授や国立民族学博物館初代館長などといった肩書きを持ち、文化人類学や民族学など幅広いフィールドで旺盛な研究活動を行った人物。情報学の分野にも大きな影響を与え、IT界隈の方々にとっては「情報産業」という名前の名付け親としても知られているでしょう。しかし半世紀近く前に書かれた著作も多く、正直どんな議論を行ってきたのか、よく知らないんだけど……という方が多いと思います(僕自身もその一人です)。 本書『知的生産の技術とセンス 知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術』は、そんな梅棹先生の人物像や思考アプローチがコンパクトにまとめられた一冊。ただ梅棹先生が行われた研究活動といっても、前述のようにその領域は非常に幅広いため、本書ではタイトルの通り『知的生
先日テスラモーターズのイーロン・マスクCEOが来日し、メディアでも大きく取り上げられましたが、彼が「ペイパルマフィア」として知られるグループの一人であることをご存じの方も多いでしょう。1998年に立ち上げられたペイパルは、ドットコムバブルを潜り抜けて2002年に150億ドルでイーベイに売却され、創業に関わったメンバーは多くの利益を手にします。それがペイパルマフィアで、彼らは手にした利益を基に、その後様々な道へと進んでいきます。冒頭のイーロン・マスクを初めとして、リンクトインのリード・ホフマン、イェルプのジェレミー・ストップルマン、ユーチューブのチャド・ハーリーやスティーブ・チェン、ジョード・カリムなど、さらなる成功を収めたメンバーも少なくありません。 そんなペイパルマフィアの"ドン"と称されるのがピーター・ティール。ペイパルの共同創業者で、その後ヘッジファンドのクラリアムとベンチャーファン
お知らせです。監訳という立場で参加させていただいた『世界で闘うプロダクトマネジャーになるための本~トップIT企業のPMとして就職する方法~』が来週金曜日の8月22日に発売されますので、ちょっとご紹介を。 Kindle版も同時発売されますので、電子版をご希望の方はご確認下さい。 原著のタイトルは"Cracking the PM Interview: How to Land a Product Manager Job in Technology"といって、直訳すれば『プロダクトマネジャーの採用面接を突破する――テクノロジー業界でプロダクトマネジャー職に就くには』といったところでしょうか。文字通り、テクノロジー業界(中でもGoogleやAppleといったIT系企業)でプロダクトマネジャー(PM)職に就くために必要な情報や心構え、テクニック等がまとめられた一冊です。 著者の一人であるゲイル・ラーク
かつて地中海一帯に、ローマ帝国と呼ばれた国家がありました。そんなこと改めて言われるまでもない、ですよね。それではこの国はいつ始まり、いつ滅んだのでしょうか?始まったのは「紀元前27年の共和制から帝政への移行」?それとも「紀元前8世紀頃の都市国家ローマの形成」?終わったのは「395年の東西分裂」?それとも「1453年の東ローマ帝国滅亡」?東ローマ帝国はビザンチン帝国であってローマ帝国ではない、と思われるかもしれませんが、彼ら自身は自らを「ローマ帝国」と名乗っていたそうです。また1467年にはモスクワ大公のイヴァン3世がコンスタンティノス11世(東ローマ帝国最後の皇帝)の姪と結婚し、ローマ帝国の継承者を自称しているそうですから、考えようによってはもっと最近まで「ローマ帝国」が続いていたと言えるでしょう。 残念ながら歴史はあまり詳しくないので(大好きなのですがどうも人名や地名が覚えられません……
覚えておられる方も多いと思いますが、2010年に米国の外交公電がウィキリークスに流出するという事件が起きました。当時米軍の情報分析官を務めていたブラッドリー・マニング(その後性転換発言を行い、チェルシー・マニングと名乗るように)上等兵が、公電のデータをCDに焼いて流出させ、それを入手したジュリアン・アサンジが自身のサイトであるウィキリーク上で公開するという事件でしたね。当初アサンジは、手に入れた膨大なデータを処理しきれず、世界の著名紙(ガーディアン・ニューヨークタイムズ・シュピーゲル・ルモンド・エルパイスの5紙)に情報を渡して裏付け作業を依頼しています。その経緯と顛末を英ガーディアン紙の関係者がまとめたのが『ウィキリークス アサンジの戦争』という本でした: ■ 【書評】『ウィキリークス WikiLeaks アサンジの戦争』(シロクマ日報) あれから4年。今度は米NSA(国家安全保障局)の職
海外では既に事例があったのですが、日本でもついに「3Dプリンターで殺傷能力のある銃を製造、所持していたとして逮捕される」という事件が起きました: ■ 3Dプリンターで銃自作か 大学職員を所持容疑で逮捕(朝日新聞) 3D(3次元)プリンターで自作した銃2丁を所持していたとして、神奈川、兵庫の両県警は8日、湘南工科大職員の居村(いむら)佳知容疑者(27)=川崎市高津区=を銃刀法違反の疑いで逮捕し、発表した。居村容疑者は「警察が銃と認めたのであれば仕方がない」などと話し、容疑を認めているという。 神奈川県警の説明では、3Dプリンター製の銃の摘発は全国で初めて。 報道されている銃の形状から、例のDefense Distributedが開発した「リベレーター(Liberator)」かなと考えていたのですが、やはりそうだったようです: ■ 容疑者、米ネット情報を利用 3Dプリンターで銃自作(朝日新聞)
平成25年版の厚生労働白書によれば、次の東京オリンピックが開催される2020年頃、日本の労働力人口(15~64歳)は5728万人になると予測されています。2010年の同人口が6047万人だったそうですから、10年間で約320万人、対2010年比で5%以上も減少することになります。トヨタ自動車の従業員数が、連結子会社も含めると約32万5000人(平成24年度の時点で)だそうですから、実にトヨタグループ10個分の労働力が失われることになるわけですね。 労働力は経済力に直結しますから、政府もこの事態を黙って見ているわけではありません。例えばご存知の通り、安倍政権は通称「ウーマノミクス」と呼ばれる女性の労働参加促進策を打ち出し、社会の中で休眠状態に置かれている女性の労働力を活用しようとしています。他にも高齢者や外国人、国外にいる邦人や外国人など、労働力という資源を様々な場所から「発掘」できる可能性
昨年末に『今こそ読みたいマクルーハン』という本を出させていただいたのですが、その関連イベントとして、「マクルーハンは3Dプリンターの夢を見るか?――50年目の『メディア論』と最先端テクノロジー」というタイトルでセミナーを開催させていただくことになりました。日時は2月7日(金)19:00からとなります。 マーシャル・マクルーハンの代表作のひとつである『メディア論』。文字通りメディア論の古典と言える本書は、1964年に発表され、今年で50周年を迎えます。つまり半世紀が経過することになるわけですが、メディアの本質を捉えた本書はいまなお色あせず、最先端の技術を理解する上でも大きく役立つ内容となっています。 例えばマクルーハンは、あらゆるテクノロジーがメディアであると捉え、人間の身体を拡張するものであると捉えました。そして身体を拡張するものである以上、テクノロジーの変化は人間が受信する情報の変化や、
昨年末に『今こそ読みたいマクルーハン』という本を書かせていただきました。タイトルの通り、メディア論の元祖とも言うべきマーシャル・マクルーハンをテーマにした本です。そのマクルーハンの代表作のひとつに、1964年の『メディア論』(Understanding Media: the Extensions of Man)があるのですが、発表から半世紀が経とうとする現在に読み返してみても、内容がまったく色あせていないことに驚かされました。 その理由はもちろん、マクルーハンという研究者が優れた洞察力を持っていたからに他なりません。しかしもう一方で言えるのは、それだけ「メディア」や「メッセージ」といった人間的な活動の中に、時代を経ても変わることなく存在し続けるものがあるということでしょう。確かに表面的なものだけ見れば、パピルスから紙へ、テレビからインターネットへといった一方通行の変化があり、それが退行する
音楽のデジタルコンテンツ販売数が、iTunes立ち上げ以来初めて前年を下回ったとのこと。その一因として挙げられているのが、ストリーミング型音楽配信サービスの流行です: ■ Digital Music Sales Decrease For First Time in 2013 (Billboard) Overall for the full year 2013, digital track sales fell 5.7% from 1.34 billion units to 1.26 billion units while digital album sales fell 0.1% to 117.6 million units from the previous year’s total of 117.7 million, according to Nielsen SoundScan. Wh
中世ヴェネチアの商人であったマルコ・ポーロは、13世紀頃に編纂された『東方見聞録』の中で、東洋に「ジパング」と呼ばれる黄金郷があると述べています。もちろんこれは誤った情報で、一節によれば、世界遺産にもなった中尊寺金色堂がモデルになっている可能性もあるのだとか。実はマルコ・ポーロ自身がジパングを旅したわけではなく、訪れた中国でジパングの話を耳にして、それをヨーロッパに伝えたわけです。 東方見聞録にはジパングだけでなく、ヨーロッパの東に位置する風変わりな国々の情報が収められており、マルコ・ポーロを嘘つきよわばりする声も少なくなかったそうです。しかし「世界の果てに黄金の国がある」という情景が人々の心に響いたのか、東方見聞録は写本という形で広く普及し、後の大航海時代にまで影響を与えたと言われています。伝聞の中で情報が姿を変え、人々を動かすまでの力を得ることとなったわけですね。 現代に生きる私たちも
"Shazam"というスマートフォンアプリがあります。街角で流れている曲を聴いて「この曲なんだろうな」と思ったとき、その曲をマイクで拾うだけで、音から検索をして曲名を教えてくれるというもの。似たような音楽検索/音声認識アプリは他にもあり、同じ技術を使って、テレビの音声を拾うだけで見ている番組を識別してくれるアプリなども登場しています。 で、その音楽検索アプリと同じ技術を使い、ネオナチ対策に役立てるという取り組みをドイツ警察が検討中なのだとか: ■ 'Nazi Shazam': Police Devise App to Curb Far-Right Music (Spiegel Online) なぜShazamとネオナチ対策が結びつくのか。実はネオナチのような極右グループの思想を歌い上げるロックがあり(昨年だけで79曲がネオナチ思想を含んでいるとして有害指定されたとのこと)、彼らの集会でよく
ネイト・シルバーの"The Signal and the Noise: Why So Many Predictions Fail – but Some Don’t"をご紹介したのが昨年の10月。それから1年が経ち、いよいよ邦訳が出版されることになりました。その名も『シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」』です。 ネイト・シルバーって何者?という方のために、本書の紹介文を引用しておきましょう: ネイト・シルバー (Nate Silver) 1978年生まれ、ニューヨーク・ブルックリン在住の統計専門家。『マネー・ボール』で有名になった野球データ分析会社ベースボール・プロスペクタスの予測モデル「PECOTA」の開発者。2008年の米大統領選挙の結果を予測し、ほぼ完ぺきに(50州のうち49州)的中させたことで一躍脚光を浴びた(2012年の大統領選は50州すべて的中)。タイム誌の「世界で
ニューヨークに拠点を置くIMRSVという会社が、市販のウェブカムを使い、画像から来店客層の分析ができるというサービス"Cara"を始めたそうです。しかもその料金というのが、カメラ1台あたり$39.95/1ヶ月という価格破壊なのだそうで: ■ New software brings face detection to stores and streets for $40 a month (The Verge) 25フィート(約7.6)先から顔認識が可能で、年齢層と性別を90パーセントの精度で識別可能とのこと(複数人を同時に認識することもOK)。どこぞで話題になったような、コンビニで年齢確認ボタンを押す/押さないという問題にも応用できるかもしれません。実際にニューヨークの5番街にあるリーボックの店舗で、このCaraを使った解析が行われているのだとか。 でも、お高いんでしょう? Off-the-
プレディクティブ・アナリティクス(Predictive Analytics)。日本語では「予測分析」などと訳されている言葉で、文字通りこれから起きることを予測するための技術です。ご想像の通り、流行りのビッグデータなどにも関係している分野なのですが、「何をするのか」が明確なだけビッグデータよりも分かりやすい概念かもしれません。あるいはビッグデータに続くバズワードになるかもしれない――ということで、その予測技術をテーマにした一冊が、最近発売された"Predictive Analytics: The Power to Predict Who Will Click, Buy, Lie, or Die"です。 表紙に描かれているのは「機械仕掛けの水晶玉」。未来を見通すということで、まるで占い師の水晶玉のような存在である予測技術について、その裏側にある機械の仕掛けを解説してくれています。 著者のエリッ
あまりビジネス書は好きじゃない、という方も(実は)多いと思いますが、そんな方にも本書はぜひお勧めしたいと思います。シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタリストがいま何を考えているのか?どんな行動を取っているのか?を知ることができると同時に、スタートアップの最前線で力を尽くす若者たちの素顔が見えてくる、まるで映画のような一冊です。 本書『Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール』は、以前ご紹介した"The Launch Pad"の邦訳となります: ■ 【書評】「ベンチャー養成講座」を疑似体験できる一冊"The Launch Pad" 言わずと知れたベンチャーの「聖地」シリコンバレー。そのシリコンバレーで最も注目されるベンチャーキャピタリストの傍らで、彼が開催する「短期集中ベンチャー養成講座」に参加できるとしたら、エキサイティングな体験にならないはずがないでしょう。しか
M2MやIoT(インターネット・オブ・シングス)、そしてウェアラブルコンピュータなど、一歩先ならぬ半歩先のネット+コンピュータのあり方を示す言葉が登場していますが、正直いまいち何が変わるのかイメージしにくい、という方も多いのではないでしょうか。こうした要素の重要性が増すことは確実ですが、一般の視点で考えるとまだまだ「次の社会」のあり方は見えてきていません。そこで各要素を束ねて「機械がソーシャル化する」という概念にまとめた上で、どんな状況が実現されるのか・その中でサービス提供者として活動するにはどうすれば良いのかを論じた本が"Social Machines: How to Develop Connected Products That Change Customers' Lives"です。 著者のピーター・センメルハック氏は、自らもBug LabsというIoT系のプロダクト/サービスを提供す
ソーシャルメディア全盛の時代となり、クチコミを起こすのはずいぶん簡単になった、と思われる方も多いのではないでしょうか。確かに毎日のように「ネットで話題のビデオ!」「話題の記事!」「ブログ炎上!」のようなニュースを目にしていると、面白いものさえあれば放っておいても拡散してゆくような印象を受けるかもしれません。しかしクチコミを専門的に研究しているケラー・フェイ・グループの調査によれば、クチコミ全体の中でネット経由のものはわずか7%であり、大部分(91%)は対面や電話越しに伝わってゆくのだとか。これが正しいとすれば、何がクチコミを起こすのかを考えるためには、ネットだけでなく現実世界での人間の行動を理解する必要があります。本書"Contagious: Why Things Catch On"は、分かったようでよく分かっていない「なぜクチコミが起きるのか」をテーマにした一冊です。 Contagiou
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『シロクマ日報:オルタナティブ・ブログ』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く