友人の旅行のお見送りに行くことになった。 その際、 「崎陽軒のシウマイ弁当を買ってきて」 と、頼まれた。 なので、途中のデパートで買った。 しかし、集合地点へと向かう道すがら、 シウマイ弁当がつぶらな瞳で こちらを見てくるのに気づいた。 きっとこの弁当は私に食べられたがっている。 その証拠においしそう。 だが、ここで食べてしまい、 「ごめん、食べちゃった。 でも、おいしかったよ。 はい、これ空き箱ね」 とやったら、次からは友人ではなく、 知人になってしまうことだろう。 友情を取るか、シウマイを取るか。 究極の選択である。 しかし、なんとか我慢して友情を取り、 シウマイ弁当を渡した。 ここでメロスなら、 「俺を殴れ、セリヌンティウス! 俺は一度お前を見捨て、 シウマイ弁当を食べようとしてしまった!」 と叫ぶことだろう。 だが、私は黙して語らず、 笑顔でシウマイ弁当を渡した。 古代中国であれば