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生成AIモデルの大規模化がこのまま続けば、そのトレーニングを行うためのGPUリソースも、単一のデータセンターではまかない切れないほどに肥大化していく。そこで期待がかかるのが、複数データセンターのGPUリソースを連結して、巨大なGPUクラスターを構成するというアプローチだ。IOWN APNでこれを実現する「GPU over APN」コンセプトを掲げるNTTコミュニケーションズが、その実用化への第一歩を示した。 データセンターから企業の拠点や家庭まで、エンドツーエンドに光だけで通信するIOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)。その有望なユースケースの1つと考えられているのが、データセンターの分散化だ。 これは、高速大容量かつ低遅延なAPNで遠隔地のデータセンターを接続して、1つの巨大なコンピューティングリソースとして利用しようとするコンセプトである。生成AIのトレーニングのように膨
生成AIの普及が加速するなか、データセンターはどこへ向かうのか。インターネット業界やデータセンター業界を長年リードしてきた東京大学の江﨑教授は、「ここ5年くらいで状況は大変ドラスティックに変化していく」と見通す。オンプレミス向けデータセンターの復権、データセンターの地方分散、IOWNまで、縦横無尽に江﨑教授が語った。 生成AI登場でオンプレミス回帰 ――生成AIが登場し、データセンターの重要性がますます高まっています。 江﨑 生成AIは2つのディレクションを持っています。ものすごく大規模なデータセンターで動かしていく方向と、エッジで動かしていく方向の2つです。 これからはエッジ、つまりオンプレミスが大変な勢いで加速していくことになるでしょう。 なぜなら、パブリッククラウドに企業の機密情報を置くことは、残念ながら難しいからです。生成AIの有効性の高さが広く認識され、センシティブなデータを生成
GPUクラスターによる分散学習基盤を支える“ロスレス”ネットワークをイーサネットで構築・運用するには、どんな技術と仕組みが必要なのか。先駆者であるサイバーエージェントの実践例から探る。 GPU間通信に専用リンク 「1つのネットワークで複数の要件を満たすことは、もう難しい。ストレージ用、インターネットとの通信用、そしてGPU同士のインターコネクト用と、用途別にネットワークを分けて作らなければならなくなったことが今までとの違いだ。しかも、その種類はどんどん増えていく」 2023年春に日本で初めてNVIDIA DGX H100を導入し、社内向けの生成AI基盤「ML Platform」を構築したサイバーエージェント。同基盤のネットワーク構築・運用を担うCIU Platform Div ネットワークリーダーの内田泰広氏は、データセンター(DC)ネットワークの変化についてそう語る。 (左から)サイバー
ネットワークが仕事に不可欠なのは政府職員も同じ。デジタル庁は今、政府の業務を支える共通ネットワークの整備を進めている。“先進性”という観点でも注目のネットワークだ。 (左から)デジタル庁 参事官 省庁業務サービスグループ 古川易史氏、デジタル庁 ネットワークエンジニア/自然科学研究機構 国立天文台 情報セキュリティ室次長 大江将史氏 霞が関で進む国内最大級のネットワーク更改プロジェクト 国内最大級のネットワーク更改プロジェクトが現在進行中だ。主導するのはデジタル庁。ネットワークなど、政府共通の標準的な業務実施環境を提供する「ガバメントソリューションサービス(GSS)」のことである。 政府職員の日々の業務を支えるデジタル基盤は従来、府省庁間を結ぶ「政府共通ネットワーク」を除くと、各府省庁が個別に調達・整備してきた。しかし今、デジタル庁が一括して調達・整備するGSSへの移行が進んでいる。 「デ
NTTは、新たなユニバーサルサービスの必要コスト試算に関する詳細を公表した。モバイルを軸として屋外(居住エリア)まで含めたユニバーサルサービスへの転換を主張しているが、既存のモバイルのサービスエリアを最大限活用することで、コスト効率が飛躍的に上昇するという。 総務省でユニバーサルサービスの見直しが進んでいる。NTTは、従来の固定電話による屋内(固定地点)のみを保障するユニバーサルサービスから、モバイルを軸として屋外(居住エリア)まで含めたユニバーサルサービスへの転換を主張する。同社は2024年5月8日、モバイルを軸とした場合のユニバーサルサービスの必要コスト試算に関する説明会を開催した。 NTT 経営企画部門 統括部長 城所征可氏 4月23日に行われた総務省 ユニバーサルサービスワーキンググループでコスト試算結果を公表したが、構成員から試算の前提条件や算出根拠に関する疑問の声が多く聞かれた
NTTは2024年4月24日、用途ごと・設置場所ごとに異なる様々な種類の光ファイバにおいて、通信断を生じさせることなく分岐・合流させる施工技術を世界で初めて実証したと発表した。 めざす柔軟な光ネットワークと同成果のポイント 世界的に広く使われている光ファイバは、多様な屈折率分布(光ファイバのコアの直径およびコアとクラッドの屈折率)を有しており、それぞれ伝搬特性(実効屈折率)が異なる。これらの光ファイバを分岐させる従来技術においては、分岐元の光ファイバと分岐先の光ファイバとで同じ伝搬特性である必要がある。 そのため、分岐元の光ファイバの実効屈折率を現地で把握し、それに適した分岐用光ファイバを用意する必要がある。ところが、実効屈折率の把握を行うためには、分岐元の光ファイバをサービス停止する必要があるため、現実的には困難な状況だった。以上の背景から、通信中の光ファイバがどのような実効屈折率を有し
<サイバーセキュリティ戦記>NTTグループのプロフェッショナルたちNTTのレッドチーム「Team V」の活動実態 「管理者権限はほぼ確実に取れる」 NTTグループ サイバーセキュリティ戦記 セキュリティ サイバー攻撃を疑似的に仕掛け、ターゲット組織のサイバーセキュリティに関する弱点を見つけ出すレッドチーム。NTTグループでは、2019年からグループ内向けのレッドチーム「Team V」が活動している。NTTグループの上級セキュリティ人材を紹介する連載「<サイバーセキュリティ戦記>NTTグループのプロフェッショナルたち」の第18回に登場するのは、Team Vの精鋭メンバーの1人であるNTTセキュリティ・ジャパンの羽田大樹だ。 対象組織の社員が標的型メールに引っ掛かり、一般社員のPCが攻撃者に掌握されてしまった――。これが、NTTグループのレッドチーム「Team V」によるサイバー攻撃演習の前提
<サイバーセキュリティ戦記>NTTグループのプロフェッショナルたちNTT Comはセキュリティ運用をどう自動化したのか? オリパラ男が主導したDX NTTグループ サイバーセキュリティ戦記 セキュリティ 大量発生するセキュリティアラートへの対応に追われて疲弊していく現場――。多くのセキュリティ部門が直面している課題だが、NTTコミュニケーションズの情報セキュリティ部も同じだった。そこで取り組んだのがセキュリティ運用のDX。主導したのは、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会への出向から戻ってきたばかりの男だった。NTTグループの上級セキュリティ人材を紹介する連載「<サイバーセキュリティ戦記>NTTグループのプロフェッショナルたち」の第15回は、NTTコミュニケーションズ 情報セキュリティ部の大西真樹を紹介する。 NTTコミュニケーションズの情報セキュリティ部、別名「NTT Co
光で無線通信する「LiFi」が、無線LAN標準規格の1つ「IEEE802.11bb」として承認された。Wi-Fiや5Gの利便性を高める可能性も持つこの新たな無線は、通信市場にどんなインパクトをもたらすのか。 無線LAN規格のIEEE802.11に、新規格「11bb」が加わった。 2023年7月に公開された11bbは、11ac(Wi-Fi 5)や11ax(Wi-Fi 6)とは大きく異なる。電波ではなく光を使う技術だ。紫外線・可視光・赤外線で無線通信する「LiFi」技術をベースとし、LEDを使って人の目にはわからないほど高速に光をオン/オフすることでデータを送信する。 LiFi機能は、一般的な照明にも搭載することが可能だ。上下ともに赤外線を使う、あるいは下り通信は照明の白色光を使い、端末からの上り通信には目に見えない赤外線を用いるといった組み合せも可能だ。標準規格の11bbでは、上下ともに赤外
NTTドコモが研究開発する5G Evolution(5Gの高度化)/6G技術の1つに「確定性通信」がある。URLLCの性能をさらに追求したもので、5G/6Gの産業用途開拓の切り札として期待される。 通信業界で今、最も熱いテーマの1つが「低遅延」だ。5G URLLC(高信頼低遅延通信)もMEC(Multiaccess Edge Computing)もオール光のIOWNも、通信遅延をコントロールすることで、リアルタイム性が要求される産業領域へと通信ネットワークの適用範囲を広げようとしている。 遅延の制御は、無線通信が最も苦手とするものの1つだ。その意味で、セルラー通信で初めて低遅延性を特徴に掲げた5G URLLCの意義は大きい。だが、5G商用化から3年を経た今も、商用環境での実用例はない。NTTドコモ R&Dイノベーション本部 6G-IOWN推進部 アーキテクチャデザイン担当部長(取材当時)の
「Softbank World 2023」で講演するソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏 「孫さんが10年以内にAGI(汎用人工知能)が実現すると言っていたが、絵空事なのか。実は私は『もっと早く実現するかもしれない』と思いながら聞いていた」 ソフトバンクグループが開催中のイベント「Softbank World 2023」。孫正義氏の基調講演に続いて登壇したソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏はこのように述べた。 その“根拠”はある。 テクノロジーが最初に発見・発明されてから、社会実装が始まるまでにかかる時間サイクルの短縮だ。 人類はこれまで3度の産業革命を経てきたとされている。第1次産業革命をもたらしたテクノロジーは蒸気機関だが、宮川氏によると世界初の蒸気機関は紀元前1世紀までさかのぼる。 ギリシャのヘロンが発明した「アイオロスの球」で、
セキュアリンクは2023年9月18日、Wi-FiセンシングとAIを用いた見守りシステム「Care Sense(ケアセンス)」の販売を開始した。 「CareSense」デバイス 同システムはWi-Fiセンシングの技術やデバイスを開発しているai6から技術提供を受けている(参考記事:Wi-Fiセンシングトライアルキット販売 デバイス、APIセットで3カ月4万5000円から|BUSINESS NETWORK)。 検知手法はWi-Fiのマルチパスを利用し、動いている人や物に反射することによって生じる波紋を測定する。高齢者などの見守り対象者の動きの有無や動きの量、呼吸の有無や呼吸数、睡眠の有無や睡眠量、ノンレム睡眠やレム睡眠を検出できるという。介護施設における介護士の夜間巡回などの業務負荷の軽減や、入居者の睡眠状態を通じた健康確認や介護方針の立案などに役立てることができるとしている。 機器は親機のC
ソフトバンクらが採用・出資するホワイトボックス向けネットワークOSベンダー、Arrcus(アーカス)のCEOが来日。「目的に合わせてネットワークOSを変える必要がない」「レガシーのネットワーク機器との相互接続性の検証に力を入れている」などとアピールした。 Arrcus(アーカス) 会長 兼 CEO シェイカー・アイヤー氏 Arrcus(アーカス)は2023年8月25日、記者説明会を開催した。2016年に創業した同社は、ホワイトボックス向けネットワークOSである「ArcOS」などを提供している。 会長 兼 CEOのシェイカー・アイヤー氏は2021年9月にアーカスに参画する以前は、VMwareに14年在籍し、エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)兼 ゼネラルマネージャーとして、通信およびエッジクラウド事業をリードした人物だ。SDNのNicira、SD-WANのVelocloudの買収なども
ミッシングリンクの日本海ルートを作る──。デジタルインフラ強靭化を目的に、岸田政権が完成を目指す日本周回ケーブル。今年4月の“改訂版”整備計画で示された次の目的とは。 デジタル田園都市国家構想の下、5G整備の推進やデータセンター(DC)の地方分散化などを柱にスタートしたデジタル田園都市国家インフラ整備計画。その目玉の1つが「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」だ。日本を周回する海底ケーブルを整備することで、日本のデジタルインフラ強靭化を図ることが目的だ。 日本は世界最高レベルの光ファイバーネットワークが整備されており、この陸上網と複数の海底ケーブルが日本列島をつないでいる。ただし、海底ケーブルは太平洋側に偏在している。総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 データ通信課 インターネットドメイン利用推進官の関裕介氏によれば、「秋田から九州がミッシングリンク。現在、稼働しているものがない」状況
5月末、FCNTが経営破綻した。富士通から分離し約5年、急遽の幕引きとなった。プラットフォーマー支配と市場のグローバル化が、メーカーをふるい落としていく。日本メーカーに残された時間はあるか。 突然の発表だった。2023年5月30日、携帯電話の国内シェアで3位のFCNTが東京地裁に民事再生手続き開始の申立てを行い、即日受理された。グループ3社の負債総額は1775億円に上り、2023年6月末時点で今年最大規模の倒産となる。 この2週間前の5月15日には、京セラが個人向けの携帯電話事業から撤退することが明らかになっていた。日本のスマホメーカーの退潮の波が徐々に大きくなってきていたとはいえ、このタイミングでの経営破綻にショックを受けた人も少なくないはずだ。 FCNTのプレスリリース一覧を見ると、経営破綻発表の1週間前にはスマートフォン「arrows N」が国際的なデザイン賞を受賞したことが発表され
「大赤字を出して、恥ずかしくて引っ込んでいるのでは、という説もあるが、とても活発に動いている。そろそろ反転攻勢の時期がやってきそうだ」。ソフトバンクグループは6月21日、株主総会を開催。約半年ぶりに表舞台に登場した孫会長兼社長は昨年10月以来、630件もの発明を個人で行うなど、AI革命による人類の未来設計に全精力を投入しているという。 「反転攻勢」を宣言する、ソフトバンクグループ 代表取締役会長兼社長 孫正義氏 ソフトバンクグループは2023年6月21日、定時株主総会を開き、孫正義会長兼社長がプレゼンテーションを行った。 「AIによる革命がいよいよ爆発的に大きくなりそうだ、とひしひしと感じている」。冒頭、ChatGPTの登場によって、AI革命は新たなフェーズに入ったとの認識を示した孫氏が、続いて披露したのが自身のエピソードだ。 昨年10月、孫氏は、これまでのビジネス人生を振り返り、「この程
NTTが進めるIOWN構想が2023年、大きな節目を迎える。IOWNの基盤となる「オールフォトニクスネットワーク(APN)」の商用サービス第一弾が3月に開始。最初のユースケースと今後の展望を探る。 2023年3月、IOWNオールフォトニクスネットワーク(APN)の商用サービス第一弾が開始される。IOWNの社会実装がいよいよ始まるとともに、既存ネットワークをはるかに凌ぐIOWNの性能・機能を活かすアプリケーションの開発・実証が本格化する。 IOWN1.0は超低遅延 思ったより商用化が早く、驚いた──。通信業界からそんな声も聞かれる「IOWN1.0」とはどんなサービスなのか。 APNはIOWNの基盤技術の1つで、電気信号への変換なしに光のみで伝送するネットワークのことだ。NTTの島田明社長は11月16日から開催した「NTT R&Dフォーラム 2022」で、その狙いと内容を説明(図表1)。早期商
2021年11月の発表時に米国で大きな話題を集めた「AWS Private 5G」。容易にプライベート5Gを設定・管理できるマネージドサービスで、数日間での構築を可能にする。小規模ユーザーの導入も可能だ。 Amazon Web Services(AWS)からプライベート5G市場向けに、画期的なサービスが登場した。2022年8月、米国東部(オハイオ)、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)の各リージョンで一般提供を開始した「AWS Private 5G」がそれだ。 AWS Private 5Gとはどのようなサービスなのか。その前に、米国のプライベート5Gについて簡単に見ておこう。 米国では、携帯電話事業者(MNO)が提供するパブリック5Gとは別に、企業等が自営システムとしてプライベート5Gを構築することができる。このプライベート5Gは、国防総省(主に米国海軍)に使われている3.5G
<サイバーセキュリティ戦記>NTTグループのプロフェッショナルたちNTTデータ 新井悠のセキュリティ人生「自分自身を常にアップデートしていたい」 NTTグループ サイバーセキュリティ戦記 <トラスト(信頼)>あるデジタル社会の実現を目指して挑戦する、NTTグループの上級セキュリティ人材を紹介する本連載。第10回に登場するのは、NTTデータでエグゼクティブ・セキュリティ・アナリストを務める新井悠だ。 数々のテレビ出演や講演、著書などで知られるセキュリティ業界の著名人である新井は、どのようなセキュリティ人生を歩み、今どこへ向かおうとしているのだろうか。 新井の挑戦を支えてきたのは、「自分自身を常にアップデートしていたい」という情熱だった。 「とんでもないところに来ちゃったな」 記帳を求められたNTTデータの新井悠は、そう思わざるをえなかったという。 その日、招かれていたのは、日本記者クラブの記
ネットワーク構築に欠かせないLANケーブル。現在、10Gbps伝送が可能なCat.6A規格の採用が加速している。10G時代のLANケーブルにまつわる注意点と、未来像を紹介する。 10G伝送が当たり前になる時代が見えてきた。クラウド活用や映像伝送の増加などを背景に、高速大容量通信へのニーズはますます高まっており、ネットワークもそれに合わせて進化している。新規に無線LANアクセスポイント(AP)を購入する場合、そのほとんどがWi-Fi 6に対応しているが、無線区間の速度は理論値で9.6Gbps。次世代規格のWi-Fi 7(仮称)に至っては30Gbps以上が目標となっている。 無線通信が高速大容量化していく中で、有線部分についても見直しが進んできている。ネットワークの高速化を検討する際、まずはWAN回線の変更、最新規格のルーターやスイッチングハブの採用、不要なハブを減らすといったネットワーク構成
<サイバーセキュリティ戦記>NTTグループのプロフェッショナルたちCSIRTの成熟度を測る「SIM3」 世界にたった6人しかいない“権威”の素顔 NTTグループ サイバーセキュリティ戦記 セキュリティ CSIRTを設置する企業が増えるなか、「なんちゃってCSIRT」も増加している。 なんちゃってCSIRTの特徴は、「何も起きないから何もしないし、何の見直しもしていない」「メンバーとの連絡方法を更新しておらず、連絡ができない」など。なんちゃってCSIRTのままでは、重大なインシデントは乗り切れないし、社内でCSIRTの有用性の認識や他のCSIRTから信頼を得ることは難しい。 そこで近年、関心が高まっているのが、CSIRTの成熟度を評価するモデル「SIM3」だ。SIM3は、自組織のCSIRTの現状を点検し、継続的に改善していくための評価軸を提供する。 <トラスト(信頼)>あるデジタル社会に向け
本連載では、未来の通信・ネットワークを描いている研究者を訪ね、その研究内容や人となりを伺う。第1回は、2021年の電子情報通信学会 情報ネットワーク研究会研究賞を、「エンド間・ネットワーク内制御に基づく輻輳制御アーキテクチャの提案」で受賞された、東北大学 電気通信研究所 システム・ソフトウェア研究部門 コミュニケーションネットワーク研究室の長谷川剛教授を訪ねる。 東北大学 教授 長谷川剛氏 受賞した研究は、簡単にいうとインターネット「輻輳制御」の新しいアーキテクチャを提案するものです。輻輳とはネットワークに対して、その容量を超える通信の要求があり、そのために遅延などが増大して性能が極端に落ちてしまうことをいいます。イメージ的には高速道路の「渋滞」のようなものです。これを回避する技術を輻輳制御といい、昔から研究されてきたテーマの1つです。 現在のインターネットでは、この輻輳制御を送信側と受信
超小型・低消費電力のIoTデバイス「ナノコン」の代表格が、ArduinoやRaspberry Piよりも小さく、さらに省電力のLeafonyだ。LTE-M対応等、Leafonyの最新動向を後編では紹介する。 <[前編]IoTデバイスを「ブロック玩具」のように>はこちら 誰もがIoTを簡単に使いこなす未来には、小型で電源コードを必要としないデバイスが必要だが、個人をはじめとするビギナーが、そうしたIoTデバイスを製作することは容易ではない。 東京大学名誉教授の桜井貴康氏は、生活に役立つ価値や新しい社会に浸透する技術の創出には、IoTやCPSの応用が重要とし、「トリリオンノード・エンジン」の研究開発を始動、「Leaf ony」というプラットフォームが誕生した。ArduinoやRaspberry Piよりも小型でありながら、コイン電池で動く低消費電力化を実現。また、Arduinoのソフトウェアが
多様なIoTビジネスを生み出すうえで、従来はIoTデバイス開発がハードルとなるケースが少なくなかった。しかし「ナノコン」の登場が状況を変えようとしている。 サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合したSociety 5.0 が実現する社会では、IoTで全ての人とモノがつながり、今までにない新たな価値を生み出すことが期待されている。これを現実のものとするために、我々はどのように取り組めばよいのだろうか。 IoTの世界をより広く普及させるには、従来のマイコンよりもさらに小型、低消費電力、かつ容易にインターネットに接続できるコンピューターが必要である。また、誰でもIoTビジネスに参画できること、技術とビジネスの両面から容易にPoC(概念検証)が行えることが求められる。 モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)では、この小型、バッテリー駆動、そしてモジュール化されて容易に取り扱える
<サイバーセキュリティ戦記>NTTグループのプロフェッショナルたちNTTのCSIRTで“定点観測”する男、その信条は「ギブ&ギブ」 NTTグループ サイバーセキュリティ戦記 セキュリティ CSIRT(シーサート)というと、発生したセキュリティインシデントへの対応がまず思い浮かぶかもしれないが、CSIRTの仕事はそれだけではない。 NTTグループのCSIRTには、国内外のセキュリティ関連ニュースなどを、じっと“定点観測”しているチームがある。公開情報を収集・分析するOSINTのチームだ。同チームを作ったのは、かつてセキュリティ嫌いだった男。いまはNTTのCSIRTの“顔”の1人として、社内外から信頼を寄せられている。 <トラスト(信頼)>あるデジタル社会の実現に向けて戦うNTTグループのプロフェッショナルを紹介する本連載の第3回に登場するのは、NTT-CERTの神谷造だ。 NTT-CERTは
NTT ComとNTTコムウェアの子会社化で誕生した新ドコモグループ。その成長の鍵を握るのが、移動・固定のネットワーク統合とオープンRANなど5G技術の海外展開だ。「今まで以上にR&Dの役割が重要になる」と語る谷常務に、新ドコモグループにおけるネットワークおよびR&D戦略を聞いた。 ――1月1日付でNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)とNTTコムウェアが子会社化され、新ドコモグループが誕生しました。7月には、大規模な組織再編も控えています。R&D部門を率いる立場から、新ドコモグループに対する意気込みをお聞かせください。 谷 2021年10月に新ドコモグループの事業戦略が発表され、今後の重点領域や事業の進め方等が明確になりました。将来の事業運営に向けて、今まで以上にR&Dの役割が重要になってくることから、以前にも増して迅速にイノベーションを創出していかなければならないと身を引き
2022年春から5G-Advancedの標準化作業が始まる。5G特許で世界をリードするファーウェイは、その将来像をどう描いているのか。ポイントは、「5つの新機軸」と「バランスの取れた進化」だ。 2021年12月初旬、3GPPが開催したオンライン会議においてRelease 18(Rel-18)の標準化作業項目が承認された。Rel-18は、2020年代後半に実用化される「5G-Advanced」の初版となるもので、2022年第2四半期に標準化作業を開始する予定だ。 この“5Gの第2フェーズ”について、いち早く方向性を示したのがファーウェイだ。2020年末に「5.5G」の名称で同社が提示したビジョンは、2021年6月から始まったRel-18 Workshopの議論にも影響を与えた。標準化作業に携わるファーウェイ・ジャパン 標準化・事業推進部 事業戦略・レギュレーション ディレクターの朱厚道氏は、
<サイバーセキュリティ戦記>NTTグループのプロフェッショナルたちNTT Comサイバー攻撃事件の舞台裏「侵入者は対策メンバーのアカウントにもなりすましていた」 NTTグループ サイバーセキュリティ戦記 セキュリティ 社会経済のデジタルシフトが加速している。我々を待ち受けるのは、サイバー攻撃や情報漏えい、フェイクニュースなどのリスクにあふれた未来か、それとも――。 <トラスト(信頼)>のあるデジタル社会を目指して、サイバーセキュリティに注力しているのがNTTグループだ。業界屈指の実績・スキルを持った人材が数多く在籍し、セキュリティの最前線で日々戦っている。今回からスタートする連載「<サイバーセキュリティ戦記>NTTグループのプロフェッショナルたち」では、そんな彼らたちの取り組みを紹介していく。 第1回に登場するのは、NTTコミュニケーションズの水口孝則。「あらゆる企業・個人がサイバー攻撃の
私たちの生活・ビジネスに深く浸透し始めた自然言語処理(NLP)。今や医療・金融、コールセンターなど様々なビジネス現場でもNLPを活用したアプリケーションが当たり前に使われるようになった。このNLP研究と実用化をリードしているのがNTTグループとLINEだ。 SiriやAlexaといった対話型AIは、今やすっかり日常生活の一部となった。人間とコンピュータの関係を劇的に変えたこのAI技術は音声認識や機械学習、ディープラーニングなど様々なテクノロジーによって実現されている。なかでも核となる技術が「自然言語処理(NLP)」だ。 NLPとは、人間が日常的に使っている自然言語をコンピュータに分析・処理させる技術だ。その応用範囲は急速に広がっている。 例えば、医療分野では電子カルテの入力支援や記載内容のチェックに活用され、コールセンターでは音声認識と組み合わせて会話内容のテキスト化や感情分析、自動応答な
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