サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
iPhone 16
change.asahi.com
梅雨が明け、からりと晴れた夏のある日。浅草は言問橋で待ち合わせると、やって来たのはスラリと長身、和装の似合う異国風情の伊達男。彼の名は「三遊亭じゅうべえ」。長寿番組『笑点』ではピンクの着物でお馴染みの三遊亭好楽師匠の弟子として、一人前の噺家になるため日々の修業に励む夢追い人である――。 実は近年、落語家の人口は急増中だ。2016年には800人の大台を越え、江戸時代以降では過去最多を記録。かつて落語界は女人禁制の男社会だったが、今では東西の落語協会を合わせると50名以上もの女性が登録されている。一方、そんな落語界でもまだまだ希少な存在なのが“外国人”の噺家だ。 日本から遠く離れた北欧の生まれながら、じゅうべえさんはなぜ、落語家という異国の伝統芸能の「アトツギ」たる存在になろうと思ったのか。我が国でも旧習と見なされ、敬遠されがちな「徒弟制度」の世界は、彼の目にどう映っているのか。「外国人落語家
中小企業をはじめ多くの会社で「書類」「手書き」「ハンコ」という古い慣習が残っている。「今のままでいい」と片付けられがちな領域で、老舗企業も導入する新たなサービスを生み出したベンチャー企業がある。目をつけたのは、「人を雇う」ことの裏側で、会社が負担しているさまざまな業務だ。 例えば入社時の雇用契約書や労働条件通知書の発行、社会保険・労働保険の加入。氏名変更や住所変更があれば都度、届け出が必要となり、年末には年末調整がある。契約社員やアルバイトなら、契約期間毎の契約書の巻き直しも必要だ。これらの手続きは2019年現在でも、主に手書きで行われている。 その結果、エン・ジャパン株式会社が実施した『人事の「理想の働き方・キャリア」徹底解剖!―人事白書2014―』によれば、人事労務担当者は大半が月に30時間以上の残業をしている。特に年末調整前の1〜2カ月は繁忙期で、長時間の残業を迫られる担当者もいるだ
2018年9月のロンドン。日本の伝統や文化、テクノロジー、食を発信する施設『ジャパン・ハウス』で、ゲストのウィリアム王子が目を見張るシーンがあった。展示の一つである「マジックメタル」を体験したときのことだ。 金属上に浮かび上がった文字のパーツを、指で押し込んでいく。そして、パーツが完全に金属の台座に沈み込んだ瞬間、文字は視界から消える。まさに「マジック」だが、タネはシンプル。日本が海外に誇る技術力だ。 1000分の3ミリという、他の追随を許さない精度の金属加工。それにより、パーツと台座が限りなく一体化し、まるで消えたように見える文字。これを作ったのは、新潟県燕市の金型工場・武田金型製作所だ。 過去には世界的メーカーの金型も作っていた同製作所。代表の武田修一氏に、世界水準の技術の磨き方、そして近年、中国との競争などにより苦しい状況になりつつある、日本のものづくりの実情について話を聞いた。 制
イノベーションの“虎の子”である知的財産を活用できなかったり、ましてや盗まれたりしたら、中小・ベンチャー企業の未来はない。どう知財戦略に取り組めばいいのだろうか。池井戸潤さんの小説『下町ロケット』において、中小企業側に立って戦う「神谷修一弁護士」のモデルとなった弁護士、鮫島正洋さんに知財戦略の要点を聞いた。 聞き手:Gemba Lab代表 安井孝之 photo:伊原正浩 ―― 今年度に入り、知財保護を強化するために特許法が改正されたり、公正取引委員会が製造業者間で知財を侵害する行為に対する実態調査の結果を発表したりしました。知財保護が注目されていますが、現状をどう見ていますか。 公取の実態調査では、優越的な地位にある事業者が製造業者から知財を盗み取る事例などが列挙されています。盗み取られるのは中小企業だけでなく大企業の場合もありますが、実態調査で示された事例は、この15年ほどこうした事例に
JR鶯谷駅から徒歩3分の好立地、巨大な複合型マンションの1階から4階までを占めるのが、愛好家たちから「楽園」と評される銭湯『ひだまりの泉 萩の湯』。現在1日約1,000人の入浴客が訪れ、広い浴場や露天風呂、サウナなどの設備、充実したフードがネットを中心に度々話題になっている。 そんな萩の湯のオーナーは長沼雄三さん。長沼さんはもともと、地域に密着した営業で人気を博す上野の銭湯『寿湯』を実家から引き継いで経営。現在、兄が両親と共に向島の銭湯『薬師湯』を、弟が長沼さんに代わり『寿湯』をそれぞれ経営しており、三兄弟が家業を継ぐ「アトツギ」一家でもある。 「経営は右肩上がり」(長沼さん)だとする一方、2005年に1,025軒あった都内の公衆浴場の数は2017年に562軒まで落ち込み、業界全体としては厳しい状況だ。この苦境にあって、順調に事業を成長させている長沼さんに、入浴客を集める経営手法、そして兄
伊勢神宮の鳥居前町にある創業100年を超える老舗料理店「ゑびや」は、営業戦略づくりにAIをフル活用し、2012年からの6年間で売上高を4.8倍に伸ばした。背景には、「勘と経験」に頼らない、徹底したデータにもとづく戦略がある。 文・photo:ライター 五木田勉 伊勢神宮内宮の参道口に続く、おはらいまち通り。雨にもかかわらず、お伊勢参りの観光客は、ひきも切らない。 「5月以降、店の前を通る人が増えています。おそらく令和効果でしょうね」 そう語るのは、1912年に創業した老舗食堂「ゑびや」の代表取締役、小田島春樹さんだ。平成から令和に変わり、御朱印を求めて参拝する観光客が増えているという。 「ゑびや大食堂」と土産物店「ゑびや商店」を営んでいる。2階の事務所に上がると、IT企業のような雰囲気。もとは物置だったが、改装したそうだ。 応接スペースの大型モニターには、店の軒下にあるカメラで撮影した店先
全社員にタブレット端末を支給し、残業を劇的に減らした株式会社武蔵野(東京都小金井市)。本業はダスキンのクリーンサービスやライフケア事業だが、社長の小山昇さんは「経営の神様」の異名を持ち、中小企業を対象にした経営支援事業にも力を入れる。18年連続増収の武蔵野で進める「社員の生産性を上げ、人材の流出も防ぐ『人材戦略』」を中小企業経営者に説いている。小山さんは「業績を上げるには、IT導入は必須」と言う。 文:羽根田真智 photo:伊原正浩 武蔵野では2012年以降、263人の社員だけでなくパート、アルバイト、内定者も含めて全員にタブレット端末を支給した。総数は670台に上る。最近ではスマートフォンも全社員に支給した。しかも2年ごとに新機種に買い替える。2年ごとにかかる購入費と通信費は、タブレット端末でだいたい6千万円、スマートフォンで5千万円。合計で1億1千万円になるという。 そんなにお金をか
アクセスデータの利用について 本ページでは、株式会社朝日新聞社及び株式会社セールスフォース・ドットコムが、Cookieを使用してユーザーの端末情報(IPアドレス、オペレーティングシステムやブラウザーの種類等)及びユーザーの行動履歴(アクセスした時刻、URL、訪問回数等)等のアクセスデータをそれぞれ取得し、以下のような目的に利用します。 (1)アクセス状況の把握・解析や広告効果の測定 (2)ユーザーに最適と推定されるコンテンツの配信 (3)行動ターゲティング広告等の広告配信 (4)広告配信事業者・調査会社・広告主等の顧客・提携企業等の第三者への提供 朝日新聞社及びセールスフォース・ドットコムは、上記(1)~(4)の目的に必要な範囲で、各社が有する個人情報や単独では個人を特定できない属性情報(生年や性別、職業等)と組み合わせ、過去のデータを含めて用いる場合があります。 アクセスデータの利用に関
文:羽根田真智 写真:松嶋愛 メッセージの内容の強さとは裏腹に、やわらかな物腰と丁寧な口調が印象的な「株式会社ふらここ」の代表取締役、原英洋さんは、東京都出身の55歳。創業100年以上続く人形師の家で生まれ育った。 作家を志して大手出版社に就職したが、父が他界し、23歳で家業を継ぐことを決意した。父亡き後、社長に就いた人形作家の母のもと、倉庫で荷造りなどの下働きから始め、経営学についても必死に勉強した。がむしゃらに働く一方で、頭にあったのは、「このままでは、人形業界は衰退の一途をたどるのではないか」という漠然とした不安だった。そんな時、たまたま受けた1本の電話が、新たな道へ踏み出すきっかけとなった。 「当時、実家が経営する人形店で売り子をしていて、あるお客様からの電話を私が受けたのです。若いお母様でしたが、『両親からもらったひな人形を返品したい』と……。ご注文の承り伝票を確認すると、おじい
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『生成発展「テクノロジーで変革する中小企業の未来」』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く