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この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 スコット・ギャロウェイは今週サファリに出かけている。おそらく彼のサファリとなれば、上質な磁器が並ぶラグジュアリーなテントで、高級ラム酒のザカパを傾けながら、最新のNAD療法を受けているに違いない。 留守を預かっているのは私だ。ポッドキャスト「Prof G Markets」※1で共同ホストを務める25歳のエド・エルソン。私の役目は、スコットにより若々しい息吹を吹き込み、現代により即した存在感を与えることだ。言い換えれば、ビジネスとテクノロジーの最前線の動向を彼の耳に届けること。それと、彼の着こなしについても一言。というのも、彼は中年紳士なのに、いまだにス
さまざまな陰謀論が渦巻いた2024年の米国大統領選で勝利したドナルド・トランプが、ふたたび政権を握る2025年──。陰謀論はどこへ向かうのか。2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件に深く関与した「Qアノン」陰謀論の専門家であり、反ユダヤ主義的な陰謀論についても著作がある米国人ジャーナリストのマイク・ロスチャイルドに聞く。 ──2025年にはどんな類いの陰謀論が盛り上がりを見せそうでしょうか。ことに、米国では第2次トランプ政権が始まるわけですから、陰謀論もずいぶん話の筋が変わりそうですよね? ドナルド・トランプが勝利すると予見できていたら、私はいまごろもっと金持ちになっているでしょうね(笑)。 トランプが引き続き、諸々の陰謀論の主たるけん引役になるだろうとは考えています。そしてもちろん、トランプがイーロン・マスクと連携し、ロバート・ケネディ・ジュニア(ワクチン懐疑派として知られる)が厚
Text by Joanna Stern, Christopher Mims and Nicole Nguyen 2025年の生活を変えるテクノロジー この10年、私たちは12月になると次の1年にテクノロジー分野で何が起きるかを予想してきた。振り返れば、多くの予想は当たったが、外した予想もいくつかあることは認めよう。みんな、ハリー・ポッターの拡張現実(AR)ゲームが大ヒットすると思っていたじゃないか。 冗談抜きで今回の予想はこれまでにないほど正確だ。2025年には、TikTok(ティックトック)の法的な問題や連邦政府による電気自動車(EV)向けの補助金など、結論が出ていなかった大きな問題が決着するだろう。 また、ウーバーで自動運転車を呼んだり、よりクリーンなエネルギーでデータセンターを運転したり、一般投資家が暗号資産(仮想通貨)に投資しやすくなったりするなど、長年の約束が現実のものになるだ
検索ビジネスが今も主要事業であるグーグルにとって、「AIによって人々が検索をしなくなる」という主張は耳が痛いものだろう。実際のところ、グーグルおよびその親会社アルファベットのCEOを務めるスンダー・ピチャイはどう考えているのか。米紙が言い分を聞いた。 検索機能はこれからも進化する ──グーグルには「検索」という巨大なビジネスがあります。検索ビジネスの勢いを損ねたり、自社事業同士が「共食い」をしたりする状況は避けなければならないはずです。 人々が検索するのではなく、AIに何でも尋ねるようになる可能性を考慮した際、「検索ビジネスを守るために、AIの開発スピードを落とそう」と思うことはありませんか? AIをもっとも積極的に活用しているのは検索の分野だと思います。
中東紛争のリスクを一気に高めたガザでの戦争、長引くロシアとウクライナの戦争、米国ではドナルド・トランプの大統領選勝利と、2024年も激動の国際情勢だった。2025年、世界はこれらの火種を抱えてどこへ向かうのか──。“欧州の知性”とも称されるフランスの賢人ジャック・アタリに聞く。 混迷の中東情勢、2025年の行方 ──2025年、ガザでの戦争は落ち着いていくのでしょうか。それとも悪化していくのでしょうか。 イスラエルとパレスチナが互いを国家として承認するときにのみ和平が可能になる、と常々言ってきました。 そのためには、ガザ地区を含むパレスチナ領すべてを管理する新たな権力が必要です。それはできれば、パレスチナ人によって民主的に選ばれ、国際社会からも支持される権力であるべきで、その権力がイスラエルを国家として承認するのです。 20年前はその理想からそれほど遠くなかった。しかしラディカルなハマスが
クックCEOにとって「最も重要な日」 アップルCEOとしての在職期間は、クックのキャリアにおいて最も長いものとなった。しかし、スティーブ・ジョブズの後継者という気の重いポジションに就いてから13年経ったいまでも、大きなイベントの日には緊張するという。 それは、ウォール街が「iPhoneの誕生以来最大かつ、クックがCEOに就任して以来最も重要な日」と評した、2024年の同社の年次開発者会議(WWDC)も例外ではなかった。 2024年6月、この会議の参加者たちが、きらめきを放つ「アップルパーク」を訪れた日は、天気までもがアップルにデザインされたかのように完璧だった。キャンパス内で最初に目にした車は赤いテスラで、ナンバープレートには「VISNPRO」とある。 ほんの数ヵ月前、アップルは空間コンピューティング用のスタイリッシュなヘッドセット「Vision Pro」をリリースしていた。それは、まるで
──ハリウッド映画では、AIは「主人である人間に歯向かう悪党ロボット」という描かれ方をしています。その最たる例は『ターミネーター』や『ブレードランナー』です。これは私たちが思い描くべき正しいAIのイメージなのでしょうか。 ハラリ いいえ。まったくもって誤解を招きかねない描き方です。ハリウッドはとても重要な役目を果たしてきました。まだ誰も想像だにしていないころから、人々の関心をAI問題に向けさせてきたわけですから。 とはいえ、AIを巡るハリウッドのシナリオは誤解を招きかねないものです。AIに操られた巨大ロボットが反逆を起こす兆候などまったく見られませんよね。 ただ、ハリウッドのせいで、『ターミネーター』世代の多くはそうしたAIのイメージを鵜呑みにしています。そして、ターミネーターやスカイネット(『ブレードランナー』で反乱を起こす人工知能)のようなAIが出現する様子はまったくないので、何の心配
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 目覚めてから眠りにつくまで ティム・クックが目覚めて最初にすることは、iPhoneのチェックだ。世界で最も価値のある企業、アップルのCEOであるクックは、サイレントモードでナイトテーブルに置かれたiPhoneを手に取ると、新着メールの優先順位をつけはじめる。 彼はメールを読み、夜間の売上レポートを確認し、数字が変動している国々の状況を分析して、ビジネスの「脈拍」を測って常に活力を把握する。それが済むとiPhoneを片付ける。次は自身の脈拍を上げる時間だ。ワークアウト中はApple Watchで記録を取り、耳元ではAirPodsから往年のロックが鳴り響く。 オフィスではMacBook Air、MacBook Pro、iMacを使い、外出時は
左からレイ・ダリオ、ジェイミー・ダイモン、ウォーレン・バフェット、ラリー・フィンク、ケン・グリフィン Photos: Getty Images ビットコイン懐疑派の著名投資家5人、現在の見解は? 暗号資産(仮想通貨)のビットコインは誕生から約15年で価格が10万ドル(約1540万円)を突破した。そこに至るまでに熱狂的な急騰や大暴落を経験した。現在は政治の追い風を受けて新たに勢いづいており、時価総額2兆ドルの資産となっている。しかし、ウォール街の著名投資家の中には、まだその価値に納得していない者もいる。 世界最大の暗号資産であるビットコインは、第2次トランプ政権下でデジタル資産産業が花開くとの期待に支えられている。暗号資産の再興を見込んだ投資熱により、他の暗号資産の価格も上昇しており、全暗号資産の時価総額を合わせると4兆ドル近くに達している。 価格が上昇し、暗号資産関連企業の手元資金も潤沢に
ダロン・アセモグル マサチューセッツ工科大学教授。2024年にノーベル経済学賞を受賞。主な著書に『国家はなぜ衰退するのか:権力・繁栄・貧困の起源』『技術革新と不平等の1000年史』など。 Photo: Jenny8lee / Wikimedia Commons 2024年にノーベル経済学賞を受賞した、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学教授ダロン・アセモグル。同氏は『技術革新と不平等の1000年史』(早川書房)において、歴史上のイノベーションが多くの人に利益をもたらすことは稀であり、経済格差を助長してきた事実を突きつけている。 では、現代における最大のイノベーションの一つであるAIの発展は、多くの人にとって本当に有益なのか? アセモグルが考える「AI社会の未来」について聞いた。 AIによる大失業時代は来るのか ──ノーベル賞授賞式はいかがでしたか。 とても良かったです。とても興味深
──AIはいまだ原始的な段階にあると言いますが、私たちはもうすでに、AIが及ぼす影響力の規模と範囲を目の当たりにしていると言えませんか。 ハラリ そのとおりです。ここでいうAIの影響には、未来のことに限らず、AIがすでにもたらしたことも含まれています。少なくとも、アルゴリズムによって動くソーシャルメディアが世界中の民主主義や社会を不安定化させているという大きな災難が、私たちにはもう降りかかっています。 自ら決断を下すエージェントを世に解き放ったときに起きる事態を、人類が初めて体験していると言えるでしょう。 XやYouTube、Facebookなどのソーシャルメディアが使っているアルゴリズムは、非常に原始的です。しかし、生まれたての初代AIであるにもかかわらず、歴史に大きな影響を与えています。 そういったソーシャルメディアのアルゴリズムは、ユーザーのエンゲージメントの向上や、Facebook
若き日のバフェット氏に学ぶ投資の心得 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏の盟友だった故チャーリー・マンガー氏は、優れた投資家になるには魚のいる場所で釣りをしなければならない、とよく語っていた。しかし、偉大な投資家になるには、釣り船さえ行かない場所で釣りをする必要がある。 これは、並外れたキャリアを築き始めたばかりの、ある投資家の手法と考え方を記した新刊書のメッセージの一つだ。ブレット・ガードナー氏の著書『Buffett’s Early Investments(バフェットの初期投資)』は、バフェット氏が20~30代だった1950~66年に投資した10社を取り上げている。 バフェット氏が当時行っていたことは、今も再現できるのだろうか。ある意味では、それはもっと簡単にできるはずだ。情報は広く入手でき、取引手数料はほぼ無料な上、個人投資家は機関投資家に対して重要な優位性を持っているからだ。
──物語のうえに築かれたネットワークが、入手可能な情報を通じて人と人を結びつけるというわけですね。とはいえ、あなたの言う「情報に対する未熟な見方」のせいで、物事は改善せず悪化することがあります。これについて説明していただけますか。 ハラリ 情報に対する未熟な見方とは、シリコンバレーなどで非常に一般的です。それは、情報とはすなわち真実だ、という考え方です。もし情報が真実だとすれば、情報が多ければ多いほど、知識も英知も増えるということになる。つまり、どんな問題でも、情報が増えれば解決するわけです。 誰しも認めるように、つくり話、プロパガンダ、誤った情報、偽の情報が広まっています。しかし、情報に対して未熟な見方をする人は、「情報を巡るこうした問題を解決できるのは、さらなる情報、さらなる情報の自由だ。世界を情報でいっぱいにすれば、その情報の海から真実、知識、英知が浮かび上がってくるはずだ」と考えて
2024年に世界が注目した日本人 「社会・報道」部門 1 伊藤詩織(ジャーナリスト) 元TBS所属の山口敬之から性暴力の被害を受け、声をあげて日本の#MeToo運動を主導し、大勢の人々を勇気づけると同時に激しいバッシングを受けてきた伊藤詩織。自身で調査をし、訴訟を起こし、事件と向き合い続けた彼女の闘いを振り返るドキュメンタリー映画『ブラック・ボックス・ダイアリー』が、2024年に公開された。 同作は2024年のサンダンス国際映画祭で上映されたことを皮切りに、数々の映画祭で18の賞を、ドキュメンタリーのアカデミー賞とも言われているIDA(International Documentary Association)ドキュメンタリー賞で新人監督賞を受賞している。さらに、第97回アカデミー賞の、長編ドキュメンタリー映画賞のショートリストにも選出された。日本人として初のことだ。 米紙「ニューヨーク・
一時は日本勢が技術的に世界をリードし、大きなシェアを誇っていた太陽光パネルも、いまや中国メーカーが市場を牛耳るようになっている。日本政府は脱炭素の動きを「強み」に変えようと号令を発しているが、どういった取り組みが今後必要になっていくのだろうか。東京大学未来ビジョン研究センターの江守正多教授に話を聞いた。 ──アメリカで第二期トランプ政権が誕生することで気候変動対策には逆風が吹く、といった報道も一部にはありますが、日本では「脱炭素」の取り組みに積極的な企業や自治体が増えてきていますし、欧州の基本姿勢も変わっていないように感じます。 一方で、11月のCOP29では途上国支援目標額の合意(途上国支援目標を「2035年までに少なくとも年間3000億ドル」と決定)は得られたものの、途上国からは不満の声も聞こえました。
2024年に世界が注目した日本人 「作家」部門 1 九段理江 「全体の5%くらいは生成AIの文章をそのまま使っている」──記者会見でのこの発言によって、「英語圏ではほとんど知られていなかった日本の文学賞が、世界中のニュースの見出しを一気に奪った」と英メディア「アンハード」への寄稿で、文芸編集者のサム・リースは書く。 第170回芥川賞を受賞した九段理江による小説『東京都同情塔』は、人工知能(生成AI)が普及した社会を描いた未来小説だ。選考委員の一人は、「完成度が高く欠点を探すのが難しい」と評した。 注目を集めたのは、受賞会見での九段の冒頭の発言だ。「ChatGPTのような文章生成AIを駆使して書いた小説」だと明かし、「これからもうまく(AIを)利用しながら、自分の創造性を発揮できるようつきあっていきたい」と述べた。 実際には、仏紙「リベラシオン」が報じるように、物語中のAIが登場人物のように
2024年に世界が注目した日本人「漫画・アニメ」部門 1 萩尾望都(漫画家) 2024年1月、フランス南西部の街アングレームで開催されたヨーロッパ最大級の漫画の祭典「アングレーム国際漫画祭」で、特別回顧展が催された萩尾望都。それに合わせて渡仏した萩尾に、フランス中の漫画ファンが沸いた。仏紙「ル・モンド」や「フィガロ」が彼女のインタビュー記事を掲載したほか、多数のメディアが萩尾を「少女漫画の女王」などと紹介した。 1949年生まれの萩尾望都は、「70年代に日本の少女漫画を刷新した世代の代表的漫画家の一人であり、暗いトーンのSF作品や恋愛物語、ファンタジーを通して、『第九芸術』と呼ぶべき漫画という芸術を一変させ、それまでの古典的なコマ割りを打ち砕いた」とル・モンドは伝える。さらに、「ボーイズラブや美少年を主人公とする物語の礎も築き、それは当時の若い日本人女性や後続のアーティストに強い影響を与え
中国当局がヒマラヤ山脈の峡谷に巨大な水力発電ダムをいくつも建設する計画を推し進めている。この峡谷の深さは、米国のグランド・キャニオンの3倍にもなる。このダム建設計画については、チベットの人権団体やインド政府から懸念する声が上がっている。 チベットからインド、バングラデシュへと流れるヤルンズアンボ川(雅魯蔵布江)の下流域にダムを作る計画を中国政府が承認したと、国営通信社の新華社が12月25日に報じた。 新華社はこの事業について以下のように述べている。 「わが国がグリーンで低炭素なエネルギーに移行するうえで大きな一歩だ。チベットで生活するすべての民族にも進歩と幸福と安心の感覚をもたらすだろう」 このダムの建設場所や建設の開始時期、承認された事業の規模については、新華社は何も述べていない。 ヤルンズアンボ川は、源流が世界一の標高を誇る川であり、陸上では世界最大の深さをもつ峡谷を流れている。峡谷の
過去80年間で「ますます難解になった」 学術論文、特に人文学・社会科学分野の可読性(文章の読みやすさ)が、過去80年で著しく低下していることが調査でわかった。 1812〜2023年に発表された34万7000件の英語の博士論文の要旨(アブストラクト)を分析した結果、1940年代には平均37だった可読性スコアが、2020年代には18にまで低下した。 過去80年間で、あらゆる分野で論文の要旨が読みにくく難解になっていることが判明した。なかでも最も顕著だったのは人文科学と社会科学だった。
「台湾有事」とは武力侵攻だけを意味するのではない。中国は米国などの第三国が介入できないような「グレーなやり方」で台湾を脅かそうと準備を進めている。その「隔離」シナリオと日本がいまできることについて、FNNワシントン前支局長のダッチャー・藤田水美氏が考察する。 台湾有事について、これまでワシントンのシンクタンクでは議論の中心は武力侵攻だった。中国の人民解放軍の艦船やミサイルの数を分析し、米国のインド太平洋軍のそれと比較して、勝算を予測する。 また、日本にある米軍基地がどれほどの被害を受け、死傷者数がどの程度になるのか、詳細なシミュレーションが繰り返されてきた。 しかし、2024年10月に台湾周辺で実施された中国海警局が主導する大規模演習を経て、その風向きが完全に変わった。安全保障の隙をついた中国の非対称戦略に米政府関係者も頭を悩ませているのだ。 10月14日、台湾の建国記念日に相当する「双十
※本記事は『経済学の堕落を撃つ』(中山智香子)の抜粋です。 科学や技術が戦争に利用されるようになると、経済学も戦争と平和の問題に深く関わることになった。自由を謳う側が提唱する平和構想は一見説得的ではあったが、実は圧倒的に強者の論理であり、またやがてはAIに結実することになるような、いわゆる「合理的推論」に沿って、ただたんに平和を概念的に定義しただけにすぎないものでもあった。 しかし平和とはほんらい、そんな小むずかしいものではないはずだ。ひとの暮らしがそれぞれ違っており、にぎやかでやかましかったり、あるいは間が抜けていたりというように、平和もまた、ムダや遊びを大いに含む、ユーモラスで優しいものであるはずだ。生き延びるためには自由を手放し相互に監視し合わなければならない、などと厳しい選択を迫られるのは、人間の生存が脅かされているときだけにしていただきたいものだ。 ところが生の解放を標榜したはず
米ジョージア州に住む同性愛者のカップルが、養子縁組した2人の少年に対する凄惨な性的虐待の罪で、それぞれ100年の禁固刑を言い渡された。 一見、裕福なアトランタ郊外で幸せな家庭を築いているように見えた2人の正体は、自らの養子に性的虐待を加え、その様子を撮影して小児性愛者向けの動画を制作する異常者だった。 米紙「WSB-TV」によると、ウィリアムとザカリー・ズーロック(34歳、36歳)は、クリスチャン系の特別支援施設から引き取った当時10歳と8歳の兄弟に、継続的に性的虐待を加えていた。銀行員と公務員という安定した職業を持つ2人は、SNSでその様子を仲間に自慢し、「今夜、息子とヤる。待っていろ」などというメッセージとともに虐待の画像を送信していたという。 さらに2人は地域の小児性愛者ネットワークの一員として、少年たちを他の男性に斡旋していた疑いもある。 事件は2022年、このネットワークの関係者
なぜ人間はキスをするのだろう? このふだん何気なくやっている行為について真剣に考えてみたことはあるだろうか? キスを歴史的、科学的、社会学的に考察してみたら、想像以上に深い世界が広がっていた。 「最古のキス」は4500年前? 人々は大晦日の真夜中にヤドリギの下でキスを交わす。おとぎ話ではキスはカエルを王子に変え、お姫さまを魔法の眠りから目覚めさせる。私たちはキスで仲直りをして、結婚を誓い、そして『ロミオとジュリエット』のロミオに限っては、キスで命を落とす。 私たちの文化におけるキスの重要性は極めて高く、その言葉は唇が触れ合わない行為にさえ使われている。たとえば、まつ毛で触れ合う「バタフライ・キス」や、鼻を擦り合わせる「エスキモー・キス」(イヌイット文化では「クニク」と呼ばれている)などだ。 キスにまつわる最古の記録は4500年前の古代メソポタミア(現在のシリアとイラク)まで遡り、楔形文字の
中国で堅調が続く理由 グッチやバレンシアガなどの高級ブランドを束ねるケリング、ルイ・ヴィトンやフェンディを傘下に置くLVMHなど、名だたる高級ブランド企業が売り上げの低迷や株価の下落に苦しむなか、異質な成長を見せるのがミュウミュウ(プラダ社)だ。 ミュウミュウは9月30日までの3ヵ月間で売上高105%増を記録し、プラダ社全体の売り上げに大きく寄与した。躍進の理由は何なのか? まず、中国でも売り上げが依然好調な点が挙げられる。経済低迷と習近平政権のもとでの「贅沢禁止」の風潮が要因となって中国人の支出は減っており、高級ブランドの業績は軒並み悪化している。しかし、ミュウミュウは若い層を中心に強い支持を受けている。
日本には生育不良型の小粒のスタートアップ企業「ピュニコーン」が多い。企業価値10億ドル以上の未上場スタートアップ「ユニコーン」を創出するためには、活気あるビジネス環境づくりが急務だと英紙が指摘する。 発育不良な「ピュニコーン」とは 人工知能(AI)で睡眠ビッグデータ解析を行うヘルスケアのスタートアップ、エコナビスタが2023年7月に、誕生間もない東証グロース市場に上場すると、同社の株価は一気に上昇した。しかしほどなく、下落が始まり、同社は時価総額の60%を失った。 エコナビスタはいま、日本の広大な産業界に生息するきわめて不思議な企業群の一員としてさまよっている。その群れとは、悲しげな鳴き声をあげる「ピュニコーン」だ。 ピュニコーン(punycorn)のpunyは「未熟で弱々しい」という意味である。つまり、ピュニコーンは成長が止まってしまったユニコーンなのだ。 このピュニコーンが進化し繁殖す
この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 なんでもない私の人生に、若い彼はやって来た 彼はロサンゼルスに来て1ヵ月になるが、まだあまり、いろんなところには行っていないという。海と2、3軒のレコードショップ、そして私が働く図書館に続くコンクリートの上り坂くらいしか知らない、とのことだった。 持っていたナサニエル・ウェストの小説『いなごの日』を彼に貸し、それから街を案内することを申し出た。 もうすぐ37歳の私より、彼はずっと若かった。どれくらい若いかを知るのが、怖かった。 1年半前にロサンゼルスに引っ越してきた私には志があった──脚本家になるという夢をかなえ、恋に落ち、結婚し、子供を産むこと。とりあえずの仕事が必要で、私は有名な映画アカデミーの研究図書館でエントリーレベルの職
ニュージーランド国内には使用されていない廃水池が多くあり、ここから発生するバイオガスが環境に悪影響を与えている。 この問題を解決するためにいま注目されているのが「廃水池での発電」だ。同国のリンカーン大学でイノベーションを教えるフェイス・ジェレマイア講師が提案する「逆転の発想」とは? 3つの課題、1つの解決策 ニュージーランドは3つの関連性のある課題に直面している。不安定な電力供給、温室効果ガスの排出削減、そして汚染した廃水池の管理である。 廃水池を再生可能エネルギー源に変えるために、浮体式ソーラーパネルを設置するという策はある。しかし、これだけでは初期費用や製造・廃棄時の環境負荷などが問題になるだろう。 より即効性があり、費用対効果の高い解決策はほかにもある。太陽光発電の半分のコストで継続的に発電すると同時に、メタンガス排出や藻類の繁殖といった問題にも対処する方法だ。
アイスランドでは、労働者の90%が週36時間労働を取り入れているという。驚くことに、多くの人は仕事をため込んでストレスを抱えることもなく、この取り組みはうまくいっているようだ。同国で教師をする筆者が、その成功の背景と労働時間短縮のメリットを解説する。 私は古い共同墓地を散歩しながら、墓石の碑文を読むのが好きだ。アイスランドでは通例、生前の職業の肩書きが故人の名前の下に刻まれる。年をとってきて思うのは、自分の墓にはどんな肩書きが刻まれるのだろうか、ということ──それは「教師」だろうか? 自分の仕事は大好きだが、できればほかの肩書きのほうがいい。 女性の墓の場合は過去数百年、「主婦」や「……(夫の職業名)の妻」以外の肩書きが墓石に刻まれることはほとんどなかった。今日(こんにち)アイスランドの女性はさまざまな職に就いているが、完全な男女間の平等を手に入れるには至っていない。それでも、機会の平等を
戦争が長引きロシア軍がウクライナへの侵攻を進めるなか、兵士たちは愛する家族のもとに帰るという希望をほとんど持たずに戦っている。そこで、ウクライナの女性たちは恋人や夫に会うため、電車や車で何時間もかけて危険な前線近辺へと赴く旅に出る。子供連れの姿も珍しくない。 彼女たちはハルキウのような、自分たちが住んでいる場所よりも危険な場所にまで足を運ぶこともある。戦線に近く兵士が多いハルキウは、「前線デート」のホットスポットになっているのだ。駅には、花屋が2軒ある。その主な顧客は兵士だ。 ジャーナリストのカテリーナ・カプースチン(32)は、9歳の息子ヤロスラフを連れて、夫のイホル・カプースチン(34)がいる最前線の村で休暇を過ごした。かつて整備士だったイホルは、現在ロシア軍と対峙する危険な場所から壊れた車両を撤去する作業をしているという。カテリーナは、米「ニューヨーク・タイムズ」紙に「息子とイホルは私
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